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19.カ、カチコミ…?
カ、カチコミ…?④
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それから二週間ほど経過した、ノー残業デーだ。亜由美は奥村と一緒に会社を出た。
この日はお礼に、と四人でディナーをする日だったのだ。
「本当に気にしなくてよかったのに……って言っても亜由美ちゃんは気になるか……」
奥村には性格を読まれている。
店に向かいながら、亜由美はもう一度奥村に伝える。
「鷹條さんの上司の方もいらっしゃるんですけど、とても気さくな方なので」
「ふふっ、実を言えば興味津々なの」
奥村はとてもしっかりとした人だし、コミュニケーション能力も高い。鷹條の上司が同席したとしても問題はないだろう。
それに以前に久木のことを話した時はちょっと良い手応えだったので、亜由美は少し楽しみでもあるのだ。
駅前のビルの中の個室がある創作和食の店で食事をすることにしていた。
案内された席は、ビルの中にあるにも関わらず小さな庭があり食事をしながら庭の景色も楽しめるような部屋だった。
亜由美と奥村が席に座って、程なく鷹條と久木が姿を見せる。
「待ったか?」
「いいえ。私たちも今来たところなの」
亜由美と奥村は席を立った。
「久木さん、今日はお忙しいところ、ありがとうございます」
「初めまして。姫宮商事で杉原さんと一緒にお仕事をさせていただいています。奥村と申します」
亜由美の隣で奥村が丁寧に頭を下げる。久木もそれに返す。
「こちらこそ、今日はよろしくお願いいたします。鷹條くんの同僚の久木といいます」
亜由美と奥村が隣同士で座って、亜由美の向かいに鷹條が座った。
食前酒や先付が揃ったところで、軽く乾杯をした。鷹條が口を開く。
「お二人には、いろいろとお気遣いいただいてありがとうございます」
鷹條が頭を下げるのに、亜由美も一緒に頭を下げた。
「亜由美には了承をもらったので、杉原家への挨拶が終わったら然るべき時に入籍をしたいと思います」
「わぁ! 本当におめでとう! いつ頃を検討しているんですか?」
「三ヶ月後くらいになりそうですね。結婚式の準備や披露宴も検討しなくてはいけないですし」
鷹條がそう言うと久木が言った。
「そうだ、鷹條くん、礼服も貸し出しの申し出が必要ですよ」
「あ……そうなんですね」
「礼服?」
首を傾げた亜由美に久木がにこりと笑う。
「警察礼服、儀礼服と呼ばれている服です。普段着用しませんが、結婚式などの特別な時は着用を許されます。金モールや記章がついている華やかな制服なので、結婚式では人気ありますね」
(確かに、あまり街中では見ないけど金モールが付いた制服あるかも! それ絶対千智さんに似合う!)
それだけで亜由美はどきどきしてしまった。
「あ、想像しました?」
「しました。千智さん、着てほしいです!」
「着てほしいのか?」
鷹條に尋ねられこくこくっと亜由美は頷く。そんなの絶対に見たいに決まっているからだ。なぜか隣で奥村も頷いているのは謎だったが。
「分かった」
「鷹條くんが甘くて驚きますね」
亜由美の言うことを素直に聞く鷹條のことを、久木がほほえましそうに見て、言った。
「あ! 分かります。亜由美ちゃんも普段すごくしっかりしてて、こんな風に甘えることはないから側で見ていて本当にお似合いだなぁって思うんです」
普段の業務の時とは違う鷹條の姿に微笑む久木に、奥村も同意する。
「そうですね。本当にお似合いで幸せになってほしいお二人です」
「その通りです」
お礼で食事に招待したはずだったのに、とても幸せな気持ちにさせられてしまって、改めていい上司に恵まれたと亜由美と鷹條は目を合わせてお互いに微笑んだ。
この日はお礼に、と四人でディナーをする日だったのだ。
「本当に気にしなくてよかったのに……って言っても亜由美ちゃんは気になるか……」
奥村には性格を読まれている。
店に向かいながら、亜由美はもう一度奥村に伝える。
「鷹條さんの上司の方もいらっしゃるんですけど、とても気さくな方なので」
「ふふっ、実を言えば興味津々なの」
奥村はとてもしっかりとした人だし、コミュニケーション能力も高い。鷹條の上司が同席したとしても問題はないだろう。
それに以前に久木のことを話した時はちょっと良い手応えだったので、亜由美は少し楽しみでもあるのだ。
駅前のビルの中の個室がある創作和食の店で食事をすることにしていた。
案内された席は、ビルの中にあるにも関わらず小さな庭があり食事をしながら庭の景色も楽しめるような部屋だった。
亜由美と奥村が席に座って、程なく鷹條と久木が姿を見せる。
「待ったか?」
「いいえ。私たちも今来たところなの」
亜由美と奥村は席を立った。
「久木さん、今日はお忙しいところ、ありがとうございます」
「初めまして。姫宮商事で杉原さんと一緒にお仕事をさせていただいています。奥村と申します」
亜由美の隣で奥村が丁寧に頭を下げる。久木もそれに返す。
「こちらこそ、今日はよろしくお願いいたします。鷹條くんの同僚の久木といいます」
亜由美と奥村が隣同士で座って、亜由美の向かいに鷹條が座った。
食前酒や先付が揃ったところで、軽く乾杯をした。鷹條が口を開く。
「お二人には、いろいろとお気遣いいただいてありがとうございます」
鷹條が頭を下げるのに、亜由美も一緒に頭を下げた。
「亜由美には了承をもらったので、杉原家への挨拶が終わったら然るべき時に入籍をしたいと思います」
「わぁ! 本当におめでとう! いつ頃を検討しているんですか?」
「三ヶ月後くらいになりそうですね。結婚式の準備や披露宴も検討しなくてはいけないですし」
鷹條がそう言うと久木が言った。
「そうだ、鷹條くん、礼服も貸し出しの申し出が必要ですよ」
「あ……そうなんですね」
「礼服?」
首を傾げた亜由美に久木がにこりと笑う。
「警察礼服、儀礼服と呼ばれている服です。普段着用しませんが、結婚式などの特別な時は着用を許されます。金モールや記章がついている華やかな制服なので、結婚式では人気ありますね」
(確かに、あまり街中では見ないけど金モールが付いた制服あるかも! それ絶対千智さんに似合う!)
それだけで亜由美はどきどきしてしまった。
「あ、想像しました?」
「しました。千智さん、着てほしいです!」
「着てほしいのか?」
鷹條に尋ねられこくこくっと亜由美は頷く。そんなの絶対に見たいに決まっているからだ。なぜか隣で奥村も頷いているのは謎だったが。
「分かった」
「鷹條くんが甘くて驚きますね」
亜由美の言うことを素直に聞く鷹條のことを、久木がほほえましそうに見て、言った。
「あ! 分かります。亜由美ちゃんも普段すごくしっかりしてて、こんな風に甘えることはないから側で見ていて本当にお似合いだなぁって思うんです」
普段の業務の時とは違う鷹條の姿に微笑む久木に、奥村も同意する。
「そうですね。本当にお似合いで幸せになってほしいお二人です」
「その通りです」
お礼で食事に招待したはずだったのに、とても幸せな気持ちにさせられてしまって、改めていい上司に恵まれたと亜由美と鷹條は目を合わせてお互いに微笑んだ。
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