メスビッチお兄さん研修センター

橘 咲帆

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万年Fランクのメスビッチお兄さん【後日譚】

マスターメスビッチお兄さん

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 マコトが研修を受けてから6年、SSランクメスビッチお兄さんとして認定を受けた頃、マコトは誰にでも抱かれるメスビッチお兄さんからただ一人に抱かれることを宣言する、マスターメスビッチお兄さんの申請を出した。

 マスターメスビッチお兄さんの識別は、耳の軟骨部分にメスビッチお兄さんを象徴するマークである桃をデザインに取り入れたピアスをすることにより識別する。

 ただ一人に抱かれる。──もちろん相手は田中だ。
 田中は、MTC職員としてこれが正しい道なのかと自問し、この度けじめとしてMTCから退職することを決めた。田中は優秀だったため、MTCを退職してもMTCを管轄する国の省庁から別の外郭団体である、性犯罪対策機構に就職することになった。メスビッチお兄さん保護機構とのパイプもあるため、大変重宝される人材としてここでも頭角を現すこととなる。

「マコト、今日からは僕だけのマコトなんですね。」

 MTCのお抱え医師により付けられたマスターメスビッチお兄さんの識別ピアスを見て田中は破顔し、マコトをぎゅっと抱きしめた。
マコトはつうと一筋の涙を流し、田中の肩を濡らす。

 ──ああ、長かった。僕はもともと他のメスビッチお兄さんほど性に積極的な方ではなかった。確かに快楽には弱いので、抱かれると気持ちよくなってよがってしまうが、やはり田中がいい。田中だけに抱かれたかった。今日からはピルを飲むのをやめよう。子宮内避妊器具(IUD)も医療機関で取り去ってもらった。高齢出産になってしまうが、僕は田中さんの子どもが欲しい。

「田中さん。僕、赤ちゃんが欲しい。」
「マコト、そろそろ僕の事を名前で呼んでよ。博隆だから、ヒロで。」

 田中改め、ヒロが「ここを開けて」とぺろりとマコトの下唇を舐めると、マコトは舌を出し、ヒロの舌へと絡めると、マコトの咥内へヒロの舌を迎え入れる。

「ん♡・・・ん♡ヒロ♡・・・好き。愛してる。こんなおじさんでごめん・・・。」

 ヒロはマコトの咥内を侵すのを一旦止め、コツンと額を合わせる。

「マコト、僕はマコトの今まで生きて来た人生ごとマコトの事が好きなんだよ。だから謝らないで。マコトの歳は誇らしいことだよ。」

 マコトの瞳が揺れ、涙が溢れる。流れる涙にヒロは唇を寄せてその涙の一粒一粒をすくっていく。

 ──二人の新しい生活はこんな風に始まった。

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ムーンライトノベルズで感想を頂いたので書いたSSです。
感想を下さった方がマコトが研修で妊娠してしまったのではないかと疑問を持たれていたためこのようなSSになりました。
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