メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井

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第四章『王女2人』

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 恐怖で体を強張らせていたものの、なんとか動くことができたのは不幸中の幸いというべきだろうか。脳は恐怖という名の麻薬で麻痺していても体は上手く動くことができたようだ。

 なんにせよ、今は悠介の方が有利な立場にいるのは事実。刀を握り締めながら反撃の機会を伺う。

 しかしどうしてロバートは自分の方が不利な立場にあるというのに笑みを浮かべたのだろうか。そのことが悠介には分からなかった。

 通常のアンドロイドであれば自身の不利を自覚した後であれば有無を言わさずに刀を奪い取ろうとするはずだ。

 少なくとも冷徹なコンピュータを揃えた他のアンドロイドであればロバートのような人間臭い態度を取ったりはしないだろう。喉の奥の隙間に蕎麦の破片が挟まったような気持ち悪さが残った。

 悠介が頭の片隅でそんなことを考えていると、もう一度ロバートが拳を突き出す。

 今度も体を逸らすことで身を交わしたので体は無事である。ロバートは悠介の無事な姿を見たことで舌を打ち、もう一度攻撃を繰り出すが、結果は同じ。

 出来の悪いVTRを見せられているかのようであった。

 いや、それどころか悠介が拳を日本刀で迎撃したことでロバートの拳の表層が剥がれて、中の機械が剥き出しにさえなっていく。転げた時に皮膚が剥がれて血が出るかのように。

 人間であれば大泣きしているところだが、その状態でもまだ攻撃を繰り出してくるのだから大したものではないか。

 そこが人間とアンドロイドの異なる点であるに違いない。

 悠介は感心しつつも手加減はしていられないとばかりに攻勢へと打って出た。刀を前面へと打ち込み、ロバートの頭をかち割らんとしていた。やろうとしていることは鹿児島県に伝わる示現流の剣術の応用である。

 もっとも悠介は鹿児島出身でもなければ示現流の剣を習ったわけでもない。それでも会社の講習で初めて知った時に、ひたすらに打ち込む「先手必勝」の剣術に強く惹きつけられていたのも事実。

 それ故に猛攻に出ていた。それを両手を前に突き出して盾の代わりにすることで防ぐロバート。

 といっても彼もやられっぱなしだったわけではない。車の振動を利用して時には悠介のバランスを崩しかけ、刀を奪い取ろうとさえしていた。

 両者がこういった壮絶な戦いを繰り広げていたのは狭いタクシーの後部座席の中。車の振動に大きく揺られながら、刀をめぐっての取っ組み合いが続いたが、やはり生身の体でアンドロイドの強靭な肉体に勝利を収めるのは難しかったかもしれない。

 ロバートの攻撃を前にして幾度もバランスを崩されかけた末にとうとう体が耐え切れず、尻餅をついてしまったことが悠介の命運を分けてしまうことになってしまった。

 ロバートはその隙を逃さず、悠介の生身の顎に向かって強烈な一撃を喰らわせたのである。「ううっ」と呻めき声を漏らすほど弱った悠介からロバートは容赦なく刀を奪い取った。

 ロバートに刀が奪還された今この瞬間に悠介は途方もない絶望の淵へと叩き落とされた。例えるのであれば戦場で数十人の部隊で千の部隊を相手にするような心境といったところだろうか。

 いや、下手をすればそれよりも悪いかもしれない。

 どんな形で表すのであれ、悠介が途方もないどん底の窮地に心を蝕まれたのは事実。

 思わずこれで終わりかと覚悟を決めて両目を閉じた時のこと。

 神の救いとやらが悠介を助けてくれた。いや、正確にいえば事情を見た運転手が急ブレーキをかけてくれて助けてくれたのだ。急ブレーキのため身を乗り出していたロバートは窓ガラスへと首を突っ込む。大昔の喜劇映画に登場する間抜けなコメディアンのように。

 首の皮一枚で繋がったという言葉を頭の中に浮かべつつも悠介は慌ててロバートの側に落ちていた刀を拾い上げる。
 それから運転手が運転席から這い出るのと同時にタクシーの後部座席の扉を蹴破って脱出したのである。

 その場から慌てて逃げ出す運転手の姿。無様にも背中を見せて逃げる様子から見て彼が一般市民であることに間違いない。

 本来であれば悠介も逃げるべきだろう。

 だが、悠介は逃げなかった。敢えてその場に留まったのだ。仁王像のようにどっしりと構えて。

 這い出てきたロバートは悠介の姿に気が付いたか、生身のまま襲い掛かってきた。本来であれば悠介は逃げるべきなのだろうが、ロバートを放っておけなかったというのが本音であった。

 ロバートはここで倒しておかなければ自分たちの社会に多大なる損害を与えることになる。それに加えて今この場でロバートから逃げれば自分ばかりではなく運転手も犠牲になってしまう。

 無関係な彼が被害に遭うことだけは避けなくてはならない。

 父親である修也も同じ立場であれば同じことをするに違いない。悠介は勇者からの教えを受け継いだ弟子の気分だった。

 だが、自惚れてばかりもいられない。タクシーの扉が蹴破られる音が聞こえてきた。推定であれば蹴破った後でロバートは短距離走の選手がクラウンチングポーズを取ってゴールへ走るようにこちらへと向かってくるだろう。確実に悠介を仕留めるために。

 もし、仕留め損ねることがあれば悠介はロバートにそのまま始末されてしまうだろう。もしくはシーレの代わりとして人質にされてしまうはずだ。

 悠介は最悪な事態ばかりを考えてしまう自分に嫌気が差したのか、慌てて首を真横に向かって振る。

 首を大きく振って不安を払い落とした後で悠介は両手に刀を握ったままロバートを迎え撃つ。ベテランの野球選手が試合でボールを待ち構えるかのように。

 ロバートは悠介が想定した通りに全力疾走を決め込んだようだ。もう武器も持っていないというのに闘牛に出てくる牛のように突っ込んできた。

 悠介はゆっくりと息を吐き出して呼吸を整えてから突進するロバートへと向けて刀を構える。

 そしてロバートが目の前に差し掛かるのと同時に首筋の部分へと向けて思いっきり刀を振るう。バットの素振りをするような思いっきりのよい一振りであった。

 直撃と同時にアンドロイドの首が思いっきり飛ぶ。びっくり箱から飛びした首のような勢いで。

 幸いにも周りは夜中。この光景を見てトラウマを抱えるような人間がいなかったのは幸いなことである。

 悠介はゆっくりと息を吐き出しながらその場に座り込む。

 生きているという実感をたっぷりと味わってから日本刀をその場に放り捨てて自身に託された『ゼノン』のカプセルの探索を始めた。

 辺り一帯を砂つぶに混じった砂金を探し当てるかのような懸命さで探し出した後で倒れていたロバートの服のポケットからカプセルを探して当てた時には思わず両腕を突き上げたほどである。

 タクシーの側で休憩をしていると、ようやくパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。ウーウーとけたたましい音が鳴り響いていく。

 悠介は苦笑いを溢しながらパトカーへと向けて手を振っていく。これで一段落はついたというべきだろう。















 *

 大津修也にとってその日はなんてことのない1日で終わるはずであった。

 久し振りにひろみとのんびりしながら晩酌を楽しんでいたのがその証拠であるといえるだろう。

 晩酌用の酒として用意したのは紹興酒。味付けに梅干しと角砂糖。そしてつまみに生ピーマンの麻婆和えと山椒と唐辛子のスパイスで和えたじゃがいも。長方形の形に切った芋を揚げたものに辛めのスパイスを混ぜているからどことなくフライドポテトを連想させられる。

 つまみも美味いが、やはり先に嗜むのは酒の方。砂糖と梅干しを加えた紹興酒はほんのりとして甘い。その中に微かな酸っぱさが混じっているからたまらないのだ。

 その上、修也が呑んでいたのは熟成して3年目という比較的熟成年数が若い酒。

 それ故にスパイスが効いたつまみが合っていた。やはりひろみの料理と酒のセンスは抜群だろう。

 昼間にはデ・レマと麗俐と共に大手ショッピングセンターでの買い物に付き合っていたということもあってか、ひどく疲れ切った1日であった。

 デ・レマは教養を持つ一国の王女であり、麗俐も「子ども」というよりかは「若者」に近い年齢であるから世間一般で見る幼い子どもを連れた時に生じるであろう大きなトラブルには陥ってはいないものの、それでも目が離せなかったのは事実。

 費用は全て国が持ってくれたのだけが幸いであったが、そうでなければ既に40を過ぎた男には辛いものがある。

 修也が疲れを癒すため透明のグラスに注がれた紹興酒を一気に飲み干すと、隣に座っていたひろみが机の上を沈んだ表情で見つめていた。

「おい、どうした?」

 修也の問い掛けにひろみは何も言わなかった。それからしばらくの間は互いに無言で酒を啜っていたのだが、そろそろ限界がきたのだろう。

 ひろみは紹興酒を片手に修也へと自身が胸に抱いていた思いを吐露していく。

「ねぇ、あなた。あの他の星のお姫様……デ・レマ殿下だっけ? あの子、本当にいい子よね。これから地球でさまざまなことを学んでいくんでしょうね」
「……そうだが、それがどうかしたのか?」
「心配なの。もし、あの子が自分の星に帰った後に地球で学んだことを活用すれば一気にその星は発展するでしょうけど、それは悪いことなんじゃないかなって?」
「悪いこと?」

 予想外の言葉を聞いて修也は目を丸くしながら問い掛ける。

 そんな修也の態度にも関わらず、ひろみは話を続けていく。

「うん。あなたも習ったでしょ? 世界史」

 何を当たり前をと言わんばかりの顔で修也はひろみを見つめていたが、彼女は構うことなく揚げたてのじゃがいもを箸で掴み上げて歯で噛みちぎっていく。何か弱いものを蹂躙する強者のように。

 何か思うところがあったのか、修也は無言のまま同じように箸でピーマンを口の中へと頬張る。

 互いに無言のままつまみを嗜んだ後で不意にひろみが言った。

「世界史の授業だと有利な力を持った強国が弱い国を常に虐げていたよね? 地球では最近になってそれはいけないことだと気が付いたけれど、他の星ではどうかな?」
「つまり、デ・レマ殿下が星に帰った後で他の星を蹂躙する可能性があると言いたいのか?」

 修也は両目を尖らせながらひろみに向かって問い掛ける。無意識のうちとはいえ我が子を庇う父の目になっていたのだが、ひろみは敢えてそれを指摘せずにポツリポツリと話を続けていく。

「そうじゃなくて……そりゃあ、デ・レマはいい子だよ。今日会った時にそれを実感したんだもの。けれど、問題はあの子の後だよ。暴君が出てこないなんて保証はどこにもないでしょ?」

 ひろみの言葉は正論である。王制や皇帝制度の欠点というのは暴君や暗君が出てきた時にも民が従わなければならないという点にあるだろう。

 確かに、王や皇帝には大統領や首相にはない『権威』というものが確実に存在するが、そういった欠点があるのも事実。

 修也は言葉に詰まってしまった。デ・レマ本人であれば擁護もできるが、彼女の後の代となれば確実に暗君や暴君が出てこないという保証などどこにもない。競馬や競輪の解答が必ずしも予想とは一致しないように。

 もし、デ・レマやシーレが星に帰った後で技術を自分の国にもたらした後でその子孫が他国を蹂躙すれば修也に責任など取れない。いや、そもそも修也1人で背負える責任の範疇を大きく逸脱しているというべきだろう。
 責任を取るとすればメトロポリス社、そして日本政府へと及ぶ。

 現在地球は原則交易のみを行い、他の星には口出しをしないことになっているが、そんな事態が起こればデ・レマやシーレの祖国に対して容赦のない制裁を行い、全ての技術を白紙に戻すことに躍起になるだろう。幼児が散らかした玩具を片付ける保育士たちのように。

 その後で待っているのは日本への各国からの批判。下手をすれば経済制裁を喰らう羽目になるかもしれない。

 嫌な考えばかりが頭に浮かぶ。もちろんその時に修也は存命していないだろうが、責めを追うことになるのは修也の子孫ということになるだろう。

 言葉に詰まり、難問を抱えた受験生の如く頭を抱える修也に対してひろみは恐る恐ると言わんばかりに声を震わせながら提案した。

「ずっと考えていたんだけれど、2人を帰化させられないかな?」
「はっ?」
「2人を帰化させて地球に住まわせようよ。もっというのならば日本国籍を取得させてーー」
「待て待て、そんなこと向こうの親が了承しないよ。それに2人が帰りたいと言ったらどうするんだ?」
「それはーー」

 ひろみは言葉に詰まった。確かに、彼女が考えていたことは地球や日本という視点から見れば魅力的な提案であったに違いない。

 地球の技術は持ち出されない上に将来において各国から批判されることもない。

 ただ、2人の意思を無視した判断であるというのも事実。例えるのであればご馳走を食べにきた客を拉致監禁して軟禁するようなものではないだろうか。

 人道に反する行為だ。修也が難しい顔を浮かべたまま紹興酒を啜っていた時のこと。

 携帯端末のバイブルの音がけたたましく鳴り響いていく。慌てて端末を取り上げると、そこには町田署の文字。

 警察にお世話になるような真似をした覚えはない。それでも万が一のことがある。

 修也が恐る恐る携帯端末を手に取ると、若い警察官の声が聞こえてきた。

『もしもし、大津さんのお宅ですか?』
「はっ、はい。大津修也ですが……」
『実はですね。息子さんが誘拐の危機に遭いまして今警察で保護をしているのですが、よろしければ迎えにきていただけないでしょうか?』
「は、はい!すぐに向かいます!!」

 修也は慌てて携帯端末を切り、椅子の上から立ち上がっていく。

「悪いけど、悠介が大変なことになったみたいだ!悪いけど、晩酌はお預けだ!」

 修也は慌てて椅子の背もたれに引っ掛けていた上着を手に取って警察署へと向かう。

 車は使えないので走っていくことになるが、我が子の危機に足が痛いなどとは言っていられない。

 修也は吐き出しかねないほどの苦しみを腹の底に抱えつつも警察署へと向かって走り出す。
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