【完結】騎士団でいつの間にか外堀埋められ陥落した話+その後の話

文字の大きさ
13 / 45
陥落するまでの話

13.懐柔

しおりを挟む

 塞がれて苦しかったはずなのに、レオンの唇が離れてしまえば寂しいとさえ思ってしまった。まるで灯っていたあかりが消えたときのように、確かなものがない喪失感。
 これは同意じゃない。俺の意思など関係なしに好き勝手されているというのに。本当は憤っていいはずだ。暴れて罵って、レオンへの非難だって滝のように浴びせていい。

 けれど──

 間近で碧眼が俺を見る。すべて見透かされている気がして、何も言えない。どうしたってレオンの手は拒めないのだ。俺は……

「平気そうだね。嫌悪されると思ったのにアルは素質あるみたいだ……もっといっぱい挿入れてあげよう?」
「く、んぅ……ぁ、っあっ あ、ちがう、できなっ……うぁ」

 身を起こしたレオンは嬉々としてゆっくり指の根元までうずめた。そして内壁を撫でながら引き抜き、また奥まで差し入れる。何度も何度もそうやって挿入れては引き抜き、指を曲げて後孔の入口を引いては拡げ、すんなり動かせるようになると他の指が増やされた。
 一度精液を吐き出し硬度をなくしていた分身へ再びレオンの手が伸びる。後孔を弄られながら扱かれると、どこで湧いた快感なのか境目がわからない。休む間もなく昂らされて、身体を巡る熱が沸騰しそうだ。

「そんな、っあ、……」

 後孔へ含む指は三本に増やされていた。動き回る指先がコリッと内壁のどこかへ当たったとき、俺は顕著に腰を戦慄かせ、同時にあられもない声が漏れ出ていた。

「ひぃ、あぁっ!」
「ここにあった」

 感じる場所を知られてしまえば容赦なくそこばかりを攻められる。ぐにぐに押されては何度も指先で弾かれた。

「あっあ、ぁっ、……んぅ、うぁ」

 それなのに追い上げられても絶頂の手前で動きを緩められてしまい、腰を揺らして強請るが、それ以上与えてはもらえない。すっかり身体が反応するようになってしまった俺は、レオンに翻弄されていた。

 視界が滲み、目尻から耐えきれない涙が溢れた。それに気づいたレオンが唇を寄せ、わざとらしくチュッと音を鳴らす。敏感になっている俺はそういった些細な行為でも快感として拾ってしまうのに。
 何かが足りない。熱くなっている身体に触れられていても、満たされたいのは別のものだ。

「もっ、と……」

 かさついた唇の隙間から舌先を出してレオンへキスを強請る。正気ならきっとこんなことはできない。自分から求めるなんて。おかしくなっていたのだ、このときの俺は。なにもかも。

 妖艶に笑んだレオンが顔中にちゅ、ちゅ、ちゅと触れてから望みどおり唇へ辿りついた。俺は首に腕を回し巻きついた。
 隙間がないほど深く結び合わせ、俺の舌と絡める。それから口蓋を舐め、舌の横側をくすぐり、ぐるぐる口腔を荒らし回った。

「んふ、ぅ」

 飲み下せなくなった唾液が口角から溢れ、首筋を伝ってだらりと流れる。そんな些末なことは気にもならず、深く貪るような口吻を続けた。

 こんなに乱され、わけのわからないことをされているというのに。レオンは決して乱暴なことはせず、傷つけはしない。

 そして何度も何度も丁寧に愛撫され、感じるはずのない場所でも快感を拾うようなった。レオンは何も言わない。触れる唇や手から俺に対する欲は伝わっても、真意は何もわからなかった。

「くっふ、っう……っ、──っ!!」

 俺のナカへ埋められていた三本の指に代わって、レオンの先端が入口に充てがわれた。そのままずぶずぶ躊躇うことなく雄が挿入れられた。

 息を止めて声にならない絶叫までも塞がれ、身を硬くしている俺をまるごとレオンが抱きしめた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

白い結婚を夢見る伯爵令息の、眠れない初夜

西沢きさと
BL
天使と謳われるほど美しく可憐な伯爵令息モーリスは、見た目の印象を裏切らないよう中身のがさつさを隠して生きていた。 だが、その美貌のせいで身の安全が脅かされることも多く、いつしか自分に執着や欲を持たない相手との政略結婚を望むようになっていく。 そんなとき、騎士の仕事一筋と名高い王弟殿下から求婚され──。 ◆ 白い結婚を手に入れたと喜んでいた伯爵令息が、初夜、結婚相手にぺろりと食べられてしまう話です。 氷の騎士と呼ばれている王弟×可憐な容姿に反した性格の伯爵令息。 サブCPの軽い匂わせがあります。 ゆるゆるなーろっぱ設定ですので、細かいところにはあまりつっこまず、気軽に読んでもらえると助かります。 ◆ 2025.9.13 別のところでおまけとして書いていた掌編を追加しました。モーリスの兄視点の短い話です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

処理中です...