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1~10話
7d、私は時間の潰し方をわかっていない
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結局昨晩の入浴も、ベッドで抱きしめられて眠ることも、今朝の着替えも、全てガルに押し切られている。
あの大きな体躯をしょげさせて「楽しみにしていたのに……」と言われると、何だかこちらが我が儘を言って悲しませている気になってくるのだ。
そしてガルの方も、途中から私が泣き落としに弱い事に気付いてやっていた気配があるからたちが悪い。
背中の傷の手当だけは、自分では出来ないので助かったけれど。
寝室へ歩を進めた私は、何気なくそこに据えられた本棚を眺めた。
「字は読めないのかぁ……」
言葉が通じるのだから文字も読めるのではと期待したが、そこまでのチートは無かったようだ。
並んだ本の背表紙には、文字とも図形ともつかない記号が描かれている。
試しに一冊抜き取ってパラパラとめくって見るけれど、やっぱり理解できる文字は一つも無かった。
本でも読めれば暇が潰せると思ったのに。
不貞腐れた気持ちでベッドに倒れ込めば、清潔なシーツがサラリと肌を撫でた。
朝食に食堂へ行っていた間にだろうか、すでにシーツが新しい物に換えられている。
「そうだ!」
名案が浮かんだ私は、ガバリと起き上がると裸足のまま部屋を飛び出した。
「いいアイディアだと思ったのに……」
貰った焼き菓子を片手に、とぼとぼと廊下を歩く。
部屋を飛び出してすぐにメイドを見かけた私は、自分にも何か雑用を手伝わせて欲しいと申し入れた。
若いメイドは「私では判断いたしかねます」と言ってどこかへ行ってしまったので、自分で仕事を探すべくうろうろと歩き回った末に辿り着いた厨房でまた手伝いを申し出ると、豪快なシェフに頭をクシャクシャと撫でられ焼き菓子を与えられて終わった。
その後どこからともなく若いメイドに呼ばれたらしいメイド長が現れ、素敵な笑顔と丁寧な言い回しながらもきっぱりと手伝いを断られて今に至る。
プロの仕事に、素人が手伝えるような物はないのかもしれない。
散々迷った挙げ句最終的にメイドに案内されて部屋に戻った私は、読めもしない本の挿し絵を眺めて時間を潰した。
あの大きな体躯をしょげさせて「楽しみにしていたのに……」と言われると、何だかこちらが我が儘を言って悲しませている気になってくるのだ。
そしてガルの方も、途中から私が泣き落としに弱い事に気付いてやっていた気配があるからたちが悪い。
背中の傷の手当だけは、自分では出来ないので助かったけれど。
寝室へ歩を進めた私は、何気なくそこに据えられた本棚を眺めた。
「字は読めないのかぁ……」
言葉が通じるのだから文字も読めるのではと期待したが、そこまでのチートは無かったようだ。
並んだ本の背表紙には、文字とも図形ともつかない記号が描かれている。
試しに一冊抜き取ってパラパラとめくって見るけれど、やっぱり理解できる文字は一つも無かった。
本でも読めれば暇が潰せると思ったのに。
不貞腐れた気持ちでベッドに倒れ込めば、清潔なシーツがサラリと肌を撫でた。
朝食に食堂へ行っていた間にだろうか、すでにシーツが新しい物に換えられている。
「そうだ!」
名案が浮かんだ私は、ガバリと起き上がると裸足のまま部屋を飛び出した。
「いいアイディアだと思ったのに……」
貰った焼き菓子を片手に、とぼとぼと廊下を歩く。
部屋を飛び出してすぐにメイドを見かけた私は、自分にも何か雑用を手伝わせて欲しいと申し入れた。
若いメイドは「私では判断いたしかねます」と言ってどこかへ行ってしまったので、自分で仕事を探すべくうろうろと歩き回った末に辿り着いた厨房でまた手伝いを申し出ると、豪快なシェフに頭をクシャクシャと撫でられ焼き菓子を与えられて終わった。
その後どこからともなく若いメイドに呼ばれたらしいメイド長が現れ、素敵な笑顔と丁寧な言い回しながらもきっぱりと手伝いを断られて今に至る。
プロの仕事に、素人が手伝えるような物はないのかもしれない。
散々迷った挙げ句最終的にメイドに案内されて部屋に戻った私は、読めもしない本の挿し絵を眺めて時間を潰した。
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