ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

２１～３０話

２６c、私はご主人様の行動をわかっていない

ガルと一緒にいるのに、抱きしめられていないなんて。
自分の気持ちを自覚した途端、こんなにも唐突にその腕の中から追い出されてしまうなんて。

側にいたいだなんて、分不相応な願いを口にしてしまったせいだ。
ガルなら私の願いを受け入れてくれるかもしれないと、身の程知らずにも期待をしてしまったから。

こうして、唯一の居場所さえなくすことになるなんて。

「マヤ？　どうした？」

「……いえ」

居場所を追われ、さらにこれからされる話は死刑宣告のようなものだろう。
逃げ出せるものなら今すぐこの場を逃げ出したい。

こちらを向いて隣に座るガルは、私の両肩を掴むと射抜くほど強い眼差しで私を見据え、言った。

「昨日の、俺といたいと言ってくれた気持ちは本心か？」

「……はい……」

昨日あっさりと流された願望を蒸し返され、再び胸が痛む。

「考えたんだが……マヤを、解放してやることはできない。が、マヤが俺といると約束してくれるのなら、その邪魔な首輪を取ってやることはできる」

「え……」

「いや、違うな。マヤからすれば首輪が別の物に置き換わるだけだ。それでも、その首輪よりはマシだろう」

どうやら彼女ができたという話でも私を手放すという話でもないらしく、詰めていた息をゆっくりと吐く。

でも、首輪の代わりに別の物を身につける？
何のためにわざわざそんなことをするのだろう。
やっぱりその『別の何か』も、熱を発したり痛みを与えたりするのだろうか。

ガルは騎士服の胸元から、小さな革の袋を取り出した。

「これなんだが……」

ガルの広げた手に、革袋からコロリと小さな指輪が転がり出た。