ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

文字の大きさ
228 / 486
51~60話

52d、ご主人様は許可の真意をわかっていなかった

しおりを挟む
どんどんと欲深くなっていく。
その瞳に映るだけで、その笑顔を向けられるだけで、何よりの喜びを感じていたはずなのに。
赤い瞳を、魔族であることを受け入れられたなら次は、口付けを、愛を受け入れて欲しいなど。

すべてが欲しい。
心も、身体も。
現在いまも、未来これからも。

俺のものだ。
俺が手に入れた、俺の、俺だけの愛玩奴隷。
しかし俺のものである証の首輪が、マヤの白く細い首に似つかわしくない無骨な金属の輪が、契約により無理矢理マヤをここに留めているだけなのだと知らしめる。
そこにマヤの意思による是非などないのだと。


「はっ……はっ……」

唇を離して荒い息を吐き、ソファに組み敷いたマヤを見下ろす。
どちらともつかぬ唾液で唇を濡らし陶然とこちらを見上げてくる潤んだ瞳に、拒絶の色はない。

拒絶されないのなら、いっそこのまま……

熱を増した眼差しの先に、鈍色にびいろの首輪が映った。
―――俺に何をされようと、マヤはただ、逆らえないのだ。

拒絶されないからなどと……。
己の浅ましい考えを振り払い、後ろめたさにふいと目を逸らす。

「…………少し頭を冷やしてくる」

頭にのぼった熱を冷ますため浴室へ向かおうとする俺のシャツを、くいとマヤが引いた。

「待って……! あ、あの! も! 嫌じゃ、なかったですからね……!?」

湯気がたちそうなほど赤い顔をして、懸命に『不快ではなかった』と伝えてくれる。

「マヤ……」

マヤはどこまで俺を甘やかすつもりだ。
これ以上愛しさを募らせて、俺をどうしようというのか。

「ガル様……?」

「ああ、わかった」

口付けても不快にはさせないのだと、確かにマヤの気持ちは受け取った。

窺うようにこちらを見つめるマヤのこめかみに口付けを落とすと、俺は今度こそ熱を冷ますため浴室へと向かった。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...