ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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61~70話

64b、ご主人様は人目をわかっていない

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「マヤ、腹が減っただろう。昼食は外でとる予定だったから用意させていないんだ」

風呂を上がると、足腰の立たなくなってしまったマヤを椅子に座らせ服を着せる。

「今からまた外へ食べに行こう。……子犬が鳴く前に」

服の上からよしよしとマヤの腹を撫でる。
マヤが腹を空かせると、腹の中の子犬が悲しげに鳴いてしまうから。

「むぅぅ……! 立てないから抱っこしてください!」

俺の揶揄に頬を膨らませながらも、当然のように俺へと腕を伸ばす。
その真っ直ぐ伸ばされた腕に俺がどれほどの幸せを感じているか、マヤは知っているだろうか。

「仰せのままに」

膨らんだ頬をつんと突つきたくなるのをこらえてマヤを抱き上げると、昼食をとるため再び街へと繰り出した。




食事を終えて店を出る。
せっかく街に出たのだ、このまま帰るのでは勿体ない。

「マヤ、年齢に見合った服を新調しに行くか?」

マヤが今持っている服は、年齢を誤解した俺の用意した幼い子供の着るようなヒラヒラとしたものばかりだ。
ぱっちりと大きな瞳をして小作りなマヤにそれはまるで人形のようによく似合っているのだが、18ともなればもう少し大人びた物を好むだろう。

「? 今あるので十分だって言ったじゃないですか」

マヤがこてんと首を傾げる。

「以前は遠慮もあったろう。もう、何も遠慮することはないんだぞ?」

結婚するのだから、俺の財産はもうマヤのものでもある。
これといって欲しい物も趣味もなく仕事ばかりしていたおかげで、蓄えだけは十分にあるつもりだ。

「いいんです! ガル様が買ってきてくれた服が、たくさんありますから」

そう言ってマヤは、不本意な提案をされたとばかりに唇を尖らせた。
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