ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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81~90話

83b、私は多忙の理由をわかっていない

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眠い目を擦り、ガルを見る。

「ガル様……最近お城でトラブルか何かあったんですか?」

「トラブル? いいや、城は至って平和だが、どうしてだ?」

「毎日……すごく忙しそうなので……」

「ああ、これは仕事とは別件でな。少々個人的な借りがあって動いているんだ」

「そう、ですか……」

「ああ。マヤは何も心配なしなくていい」

大きな手の平があやすようによしよしと頭を撫でる。

「……」

ガルはただ、遅い帰宅を心配する私を安心させようとしてくれているだけ。
自分には関係ないと言われているような気がしてしまうだなんて、被害妄想もいいところだ。

ダメだ、ダメだ。
最近あまり一緒にいられなかったからか、気持ちが後ろ向きになってしまっている。

ふるふると思考を振り払い、ぎゅっとガルの首筋に抱きつく。

「ちゃんと、休んでくださいね!」

「善処しよう。……マヤはもう風呂に入ったのか?」

「はい、……ふわぁぁ」

堪えきれず、大きな欠伸が出た。

「俺もさっさと済ませてくるとしよう」

そう言ってガルは寝室のベッドの上に私を下ろすと、一人風呂場へと向かった。




「先に眠っていてもよかったんだぞ?」

「いいえ……ガルさま、と、いっしょに……」

ふかふかのベッドの上に座ったまま、気を抜くと落ちそうになる頭を必死に持ち上げてガルを向く。
瞼が重い。ふっと全身から力が抜けそうになる。
それでも力を振り絞って、ふらふらとガルに両手を伸ばした。

「ああ、マヤ……」

風呂で温められた腕がぎゅうと私を包む。
ぬくぬくとして、その力強さにひどく安心して。
石鹸の香りのするガルの胸元にむにむにと頬を擦りつけながら、私は緩やかに意識を手放した。
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