魔物パーツコレクター ～ツンデレで鈍感系の俺が魔物の力でフォーリンラブ～

獅子は四肢を無くす

◆58階◆

　この階はどうやら獣人種のようだ。
　地上にいるような耳が生えているだけのなんちゃって獣人じゃなくて、毛むくじゃらの獣率８０％はある獣人だ。

「お前ら、まとめて俺のパーツにしてやるぜ」
　そう言うと狼人ワーウルフが一斉に俺にめがけ飛んでくる。
　　狼人ワーウルフは単体自体の攻撃力は大したことがないのだが、群れで来るので厄介だ。
　しかもこいつらの毛は剣の刃が通りにくい。
　そこで短槍に持ち替え刺し殺すことにした。

　狼人ワーウルフの毛は刺し毛で防寒には向いてないようだが刃が通りにくい特性を考えれば防具としては高く売れそうだ。

　部位交換用のパーツはアイテムの方に入っている訳じゃなく別枠なので直接取り出すことは出来ないが、アイテムに移動することで問題なく取り出すことができる。
　売れる素材だけを取り出すことも可能なので金に困ることはなさそうだ。

　狼人ワーウルフを駆逐すると一匹の虎人ワータイガーが現れた。
　虎人ワータイガーは脚力が強く岩を易々と粉砕し、その爪は鋼鉄の盾をも引き裂いた。

　それでも、今の俺の相手じゃない。
　虎人ワータイガーの喉を短槍で一撃で貫いて絶命させる。

　虎人が故人になったわけだ。

　なんておやじギャグを言っていたら、猪型の獣人が猛烈な体当たりをかましてきた。

　名前を見ると猪人ボアマンという種族でがワーボアじゃないのは今までの法則を無視して何か気持ち悪い感じだが気にしないことにした。

　猪人ボアマンは突進力があり一瞬で距離を詰めてきてショルダータックルを喰らわしてきた。
　試しに受けてみたが中々の威力だ。だが、俺を弾き飛ばすには威力が足りない。

　そのまま猪人ボアマンを受け止めてアイアンクローで頭を握り潰す。

　先程の虎人の爪を拝借したのでリンゴを潰すよりも簡単に潰れた。
　ちなみにこの爪はちゃんと毒も出せるように調整してある。

　返り血を浴びてしまい血でベタベタになってしまった。
　次からはできるだけ血は避けよう、今更だけど気分が違う。

　血の臭いを嗅ぎ付けたのか、どこからともなく小型の鼠人ラットマンが俺を取り囲む。

　こいつらどこから現れてるんだ。

　ピット器官を使って探知をすると、小さい洞窟のような通路がありそこから這い出てきているのだ
　その姿はサーモグラフィーのように見えてすべての行動が丸わかりになっている。

　この小さな洞窟はなぜだかわからないがマップに写らない。
　そこからたくさんの鼠人ラットマンがわらわらと涌き出てくる。

　こいつらは対して強くないのだが数が多い。
　殺しても殺すても涌いてくるのだ。

　パーツもこんな弱いの要らないかな？

　３種の毒をカクテルにして殺虫剤のごとく爪先より噴出させる。
　その効果は絶大で、鼠人ラットマンは一瞬で絶命した。

　まさに殺ちゅう・・・剤だな。

　よしこの毒をブラック・ウィドウと名付けよう。
　毒カクテルの名前はクロゴケグモの英語名でかなり強力な毒をもつ、まあ蜘蛛の毒じゃないけどね。

　かっこよければ良いじゃない。
 
　殺ちゅう剤を洞窟に散布して鼠人を駆除しているといつの間にか大きな扉の前についた。

　ここがボス部屋か。

　観音開きの扉を豪快に蹴り飛ばし開けると、そこには赤く燃え上がるたてがみを備えた巨大な獣人がいた。

　獅子王
名前:ナラシンハ
HP8592
MP500

力:320
速:600
知:120
技:240
運:100

基本技能《メインスキル》
　拳術Ｓ級
　怪力Ｂ級
　俊足Ａ級

固有技能ユニークスキル
　獅子王の鬣レオブースター


　その鬣たてがみにショートスピアは溶かされてしまった。
　取り敢えずこいつのパーツは欲しいので、内蔵を破壊する腹パンを食らわせた。
　その一撃で獅子王は血反吐を吐き床に沈んだ。

　しかし、倒れたのも束の間すぐに立ち上がると俺目掛け爪を振るう。

　どう言うことだ、俺の一撃は内蔵を破壊したはずだぞ。

　回復したのか？

　しかしそんなスキルや魔法は見当たらないぞ。

　回復するならばと虎人ワータイガーの爪で首を切り離した、爪がボロボロになってしまった、なにげに硬いな。

　だが首は切り落とした、生物なら心臓と頭を切り離して生きてはいられない。

　だが切り落とした頭がニヤリと笑うと、首の下からうねうねと肉がうごめき、みるみる身体を再生した。

　おいおい嘘だろ回復じゃなくて再生じゃないか。
　だがこれで一つ分かった、再生能力は頭の方にあると言うことだ。

　そして回復した瞬間ＭＰが大幅に減った。
　つまりはこの再生能力はMPを仕様しなければいけない不完全な不老不死だ。

　俺は何度も何度も首を切り落とし、その都度身体を再生させた。５回ほど首を切ったところ虎人ワータイガーの爪のストックが無くなった。
　だが奴のMPも尽きた、もう再生はしない。

　鬣たてがみも火が消え金色の髪になっている。
　獅子王は体を振るわせ怯えている。
　あれだけ何も考えず俺に襲いかかってきたのに今では借りてきた猫のように大人しい。

　こいつもしかしてMPが無いと何もできないんじゃ。

　俺が側に寄ると、絶望の表情を浮かべ後ずさる。

　ボロボロになった爪で獅子王の首を飛ばす、今度はまるでマシュマロのように柔らかく難なく首を切り離すことができた。

　今度は再生できないようでみるみるHPが減っていく。

　素材回収をして筋肉や鬣たてがみ右手の爪を獅子王の物と交換した。

　獅子は四肢を無くしたわけだ。

　皮膚と骨格はBブッティ・オーガロードの方が優秀なのでそのままにしておいた。

個有技能ユニークスキル
　獅子王の鬣レオブースター
　　『ＭＰ消費により身体強化や自己再生力を発揮できる』

　どうやらこの鬣が身体強化や自己再生も担っているらしい。

　不完全な不老不死でも俺は魔法が使えないから、回復はかなりありがたい。

　しかし魔法全然覚えないな、俺才能無いのか？