魔物パーツコレクター ～ツンデレで鈍感系の俺が魔物の力でフォーリンラブ～

竜を殺して溜飲が下がる。

◆59階◆

　竜人ドラゴニュート種の階層のようだ。
竜人ドラゴニュートは硬い鱗を持ちブレスを吐く、筋力的には獣人に劣るが知能は高いので魔法攻撃や多彩な攻撃を仕掛けてくる。


　竜人ドラゴニュート種と言っても蛇人レプトイドもいるようだ、57階層で出てきても良かったんじゃないか？　と思わなくもないが。

　この蛇人レプトイドは竜人ドラゴニュートに指揮されており軍隊の様相を呈している。

　とは言え格下の蛇人レプトイド俺の相手ではないと思っていたら複数の群れに一瞬で囲まれ槍の突き攻撃を喰らった。

　槍は俺のオーガの皮膚を裂き体を貫いた。

　オーガの皮膚を切り裂くなんてなんて、この穂の部分並みの金属じゃないぞ。
　それに一瞬で蛇人レプトイドが現れたのはどんな手品だ。

　HPがガリガリと削れていく。だが身体中を槍で貫かれて動けない。

　俺よりはるかに弱いとは言え、槍装備の兵がこれだけいるとさすがに下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるか。

　獅子王の鬣レオブースターを使ってみるか。

　髪に移植した鬣にMPを流すと火のように燃え上がり蛇人レプトイドと槍の柄を焼き尽くす。
　やりが燃え尽きると体の傷も一瞬で回復した。

　蛇人レプトイド達は丸焼けになって全員倒せたが竜人ドラゴニュートは二匹とも無傷だ。

　蛇人レプトイドと違い鱗の質が段違いのようだな。

　「お前らのパーツも俺が使ってやるよ」

　だが手持ちの武器が金棒しかない。

　獅子王の爪で動脈を切って出血性ショック死を狙うか。

　爪を元の形の鍵爪状にもどし一体の竜人ドラゴニュートに向かった。
　動きは獣人のそれも獅子王の筋肉を持つ俺の方が速い、更に獅子王の鬣レオブースターで身体強化もしているのだ、負ける要素はない。

　実力では俺の方が強いと察した竜人ドラゴニュートは遠距離からの魔法攻撃を仕掛けてきた。

　魔法が俺の体を焼く、オーガの体は魔法耐性が低くく魔法による攻撃を軽減することなく受けてしまう。

　魔法は厄介だが俺のHPの高さと自己再生能力ですぐ治る。

　数十発以上の魔法攻撃を耐え凌ぎきった。

「じゃあ俺の番だな」

　俺が咆哮ほうこうを放つと二匹は一瞬硬直する。
　竜人ドラゴニュートは咆哮に耐性があるのだろうか、すぐに武器を構え直すが俺の素早さの前にはその一瞬が命取りだった。

　一匹目の竜人ドラゴニュートの首が地面にボトリと落ちる。
　もう一体はその光景に驚き及び腰になる。

　当然そんな腰つきでは俺の動きに対応できるわけもなく首を落とされ死ぬこことなった。

　もうちょい手こずると思ったが以外に弱かったな。
　いや、俺が強すぎるのか。

　武器を回収して分かったのだが俺の体を貫いたのはミスリルだった。
　ファンタジー物質きましたわ。

　オリハルコンとかもあるんだうか？
　あるなら是非とも欲しい勇者の剣。

　いや俺なら魔王が使う武器がふさわしいだろう。もし魔界があるなら魔界最強の鉱石とかそっちの方がどう考えてもかっこいい。
　とか厨二妄想をしていたらまたか困れていた。

　さすがに鈍感な俺でも気がつく、俺がこんな簡単に囲まれるわけがない。
　こいつらは突然目の前に現れたのだ、転移魔法とかの類いかもしれない。

　まあ、一度戦った相手に苦戦するほど馬鹿じゃない。
　まず５人の司令塔である竜人ドラゴニュートを始末すると蛇人レプトイドは烏合の衆になった。指揮官のいない軍隊など気の抜けた炭酸ジュースのようなもの。

　あっという間に一山いくらの素材が出来上がった。

　そして階層ボスは古代龍エルダードラゴンブレイズ、4属性のブレスに加えて、無属性のブレスも吐く、そして何より手こずったのが龍魔法だ、その魔法はとてつもなく強力だった。

　この魔法に比べると先ほどの竜人ドラゴニュートの魔法は児戯に等しい。

　武器をミスリルの槍に持ち替え戦っているのだが、硬い、この鱗にはミスリル出さえ歯が立たない。
　これではいくら戦っても決着がつかない。

　獅子王の爪での攻撃に切り替えたが、軽く傷がついた程度でダメージがない。
　こちらは爪にヒビが入った。

　「糞が、これ替えがないんだぞ！」

　俺は古代竜の頭に飛び乗ると、こぶしを握り古代龍エルダードラゴンブレイズの頭部をひたすら殴った。
　拳の皮は裂け血がほとばしるが、おかまいなしに殴る。

　殴られたことで古代竜は怒り暴れ狂うが俺は足を両端の角にかけ振り落とされないように踏ん張る。
　落ちない俺に苛立ち、周りの壁や岩に頭をぶつけて俺を落とそうとするがそのくらいで俺がダメージを負うわけもなく馬耳東風である。

　壁に叩きつけられても殴るのをやめなかったので衝撃が脳を揺らし、ついに古代竜は脳震盪を起こし倒れた。

　だがそれでも殴るのをやめない、殺さなければ意味はないのだ。
　古代竜が倒れてから更に数分殴り続け頭蓋の中にまで振動を行き渡らせると、すごい勢いでHPが減りだす。

　どうやら脳が破壊されたようだ。古代龍エルダードラゴンブレイズの死だ。

　古代竜は死んだが、代償として真っ裸になってしまった。
　魔物が着ていた布切れとかもアイテムボックスに入れてはあるが、あの臭いは正直我慢して来れるレベルじゃない。
　あの臭い布を着るなら裸の方がましだ。

　古代竜の死体を回収すると、大量のアイテムとお金が増えた。
　どうやらこいつ体の中に今まで挑戦してきた冒険者の防具や金を蓄えていたらしい。

　逆に言えばこいつを攻略できた奴はいないと言うことか。

　早速、古代竜の部位を増加形成ジャンクビルドで設置し回復を図るためその場で休憩をとることにした。
　その間は暇なのでステータスを確認して時間を潰した。


名前:カオス

LV67

Age:24

職業:造型師モデラー

HP584910（8730）
MP669933（9999）

力:83750（1250）
速:50250（750）
知:1005（15）
技:43550（650）
運:67（1）

基本技能メインスキル
棍棒:C級
体術:A級
投擲:C級
槍術:B級

特殊技能パッシブスキル
　龍気オグル

個有技能ユニークスキル
　造型師モデラー
　　部位交換ミキシングビルド
　　増加形成ジャンクビルド
　　接着剤ペースト
　　次元注型キャスティング
　　
獅子王の鬣レオブースター
咆哮ほうこう
龍核ドラゴンドライブ
龍の気吹ドラゴンブレス
　血液毒A級
　神経毒A級
　腐食毒A級

　レベルが上がり新たなスキル接着剤ペーストと次元バキューム注型キャスティングを手に入れた。

接着剤ペーストはアイテムの補修、改造用で周りの素材と同化して接着する。
　なるほど、これは人体には関係ない生産系だな、と言うかむしろこれが一番模型製作っぽいよ？

　そして、次元バキューム注型キャスティングはあらゆるものを溶かして一つの型にする。ということらしい。

　ちょっと意味不明な能力だ。

　ステータスを確認していると龍核ドラゴンドライブのおかげであっという間にHP、MP共に回復したので俺は次の階層に向かった。

　身体技能はスキルに追加されないが、毒散布や獅子王の爪は普通に使える。

　基本技能メインスキルがなにげに上がってるのが嬉しい 。
これは部位交換ミキシングビルドや増加形成ジャンクビルドじゃ獲得できないからな。

　古代龍エルダードラゴンブレイズを殺したせいか先ほどまでのやるせない怒りは収まり落ち着きが出てきたように感じられる。竜を殺して溜飲りゅういんが下がったのか。
　まあ、強者の余裕と言うやつだろうか。

　怒りは収まっても、この世界のやつらは信用するに値するとは思えない。

　怒りが収まるとそれに呼応するように腹の音がなる。腹が減ったのでアイテムボックスからリンゴを取り出してかぶりつく。

「まあ、悪いやつばかりでもないのかも知れないが……」

　リンゴは酸っぱくどこか懐かしい味がした。