魔物パーツコレクター ~ツンデレで鈍感系の俺が魔物の力でフォーリンラブ~

のきび

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一人にさせておけない

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 エミリの隣に一緒に座り、地球の話をしたり、外の状況などを教えてあげた。

「そういえば俺、魔法が使えるようになったよ」
「すごい! 私なんて力だけだから見てみたい」

 目を輝かせるその姿はまさに子供のそれである。
 標的を壁辺りにしようとしたら、自分を狙って欲しいと言う。
 良いだろう殺してやるよ。

「燃え尽きろこの紅蓮の炎で。インフェルノ!」
 エミリに放った極大魔法は炎の火柱をあげエミリを包み込む。だがその炎はエミリには全く効かず、エミリが炎の中から現れる。

「ハハハッ! おろかな勇者よ、我がこの程度の炎で死ぬと思ったか!」
 エミリが腕を組み仁王立ちになり高笑いをする。

「ナレーション その炎の中から髪を掻き上げ現れる姿はまさしく魔王。
 この世の全てを破壊つくさんとする悪魔の化身! 果たして勇者はかの魔王を倒すことができるのか?」

「もう勝手に魔王にしないでください、かわいい女子高生ですよ?」

「女子高生って言っても一万と16歳のどこかの悪魔男爵みたいな女子高生だけどね」

「ひどいですね」

 エミリはリスのように頬を膨らませて怒ってますのポーズをする。

 魔法が効かないのは分かっていたが、まさか極大魔法が全く効かないと言うのは想定外だ。これでは現状どんな魔法でもエミリを殺すことは叶わない。

 となると次は剣技かな地球の剣技でも伝説的な技とかある。
 この世界ならエミリを殺せるような特別な技スペシャルアタックがあるかもしれない。

 最終手段は女神様に直接直談判、むしろこれが一番近道じゃね?

 
「なに考えてるんですか、エロいことですか? 分かりますよ、食べ頃の女子高生と二人きりでこんなところにいたら欲情しちゃいますよね?」

 そう言うと俺の頬をグリグリといじる。
 触感もある、暖かさもあるのにこちらからはさわれない。

「いや、しないけど? 小娘に興味ないけど? なにほざいてるんですかね、このど腐れ女は1万16歳じゃ賞味期限切れですよ?」
 そう言われたエミリは力を込め頬を指でグリグリとする。
 やめてください、謝ります。穴あきそうです。


「今日はありがとうございます」

「……何もしてない」

「魔法じゃ私は殺せないことが分かりました、十分な収穫です」

「いや、だからと言って魔法を捨てるのも早計だよ。俺は使えるだけだ、魔法の深奥しんおうに至ったわけじゃないしな」

「あのう、難しい言葉を使われると分かりませんよ?」

深奥しんおうって言うのは奥が深いってことだけど、例えるとテレビを使うことは出来るけど作ることはできないでしょ? 見ることも作れることもできる人のことを言うんだよ」
 ドヤッたけど例えが微妙に違う気がして
 苦笑する。
 まあ、なんとなく分かってくれたので良しとしよう。

 談笑していると時間がたつのを忘れてしまう。
 俺は左手の腕時計を見る動作をする、無いから分からないけど癖だなこれは。

「そろそろ戻るね明日は早いから」

「うん、また殺しに来てね」

「ああ、絶対に殺してやるよ」

 俺は踵を返し出口に向かうが体が引っ張られる。
 何事かと見るとエミリが俺の服を握っていたのだ

「あのう……」

 俺が振り向くとキョトンとした顔で俺を見る。

「ん?」

「服離してください」

 俺は恐る恐るエミリにお願いした。

「あれ? なんで……。うそ、はずれない。なんで!? なんで!?」

 必死になって服を握った手を離そうとするが本当に離れないようだ。
 俺はさわれない頭をなでまたすぐ来るからと慰めると指が離れた。

 こんなところに1万年も一人で居て、ようやく来てくれた人間と別れたくないのだろう、誰でも良いからそばに居て欲しいと。

「お土産楽しみにしとけよ」

「うん!」

 少し笑顔が戻ったがどこか影がある。
 やはり人肌恋しいのか。

「なあエミリ」

「はい」

「俺ここに住むことできる?」

「え? え? え? え?」

 俺の言葉にエミリは目をクリクリさせて驚く。

「ダメか?」

「ううん全然OKだよ! 今日から住む?」

 エミリはピョンピョンと跳ねて喜びを隠さない。

 これだけ喜んでくれれば勇気を出して言ったかいがある。

 正直、見た目女子高生に一緒に住むかとか断られたら心折れるからね。
 明日から二日間遠出するから帰ってきてからなと言うと、残念そうに「そっか~」とタメ息をつく。

「でも ありがとう」

 別に礼を言われる筋合いはないここに住めば宿代が浮くなと思っただけだ。
 それにケバ子も話し相手になるだろうからな。

 俺はエミリに手を降ると今度こそ帰路についた。

 帰りは面倒なので転移魔法で宿屋の前に帰った。
 宿屋に入るとケバ子がしおらしく待っていた。

『おかえりなさいませ』
 頭を下げ俺を迎え入れると、すぐにティーカップに紅茶を注ぐ。
 
「メイドさんに入れてもらうからお前がする必要はない」

『カオス様のために一生懸命入れました』
 なにを言ってるんだこいつは、紅茶に一生懸命も糞もあるわけないだろ。
 出された紅茶を一口啜ると昨日飲んだメイドさんの紅茶よりも香りも味も上だった。

「同じ茶葉だよな?」
『はい、同じものです』
 一瞬ケバ子を褒めそうになる自分を押し留め、俺はなにもないというような振りをしてそのまま紅茶を飲み干した。


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