魔物パーツコレクター ~ツンデレで鈍感系の俺が魔物の力でフォーリンラブ~

のきび

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ケバ子の武具じょうずにできました。

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 ベッドに寝転んでみてみたものの、寝るにはまだ時間が早い。
 未練がましくベッドの前にいるケバ子の視線に耐えられなくなった俺は、転移してドミニティの最下層にきた。

 最下層の中央ではエミリが体育座りで相変わらずボーッとしている。
 俺がきたことにすら気がついていない。

 1時間ほど呼びかけたのだがエミリの意識が戻ることはなかった。
 仕方がないので手紙と鉢植えを目の前に置いて、またサラメスにトンボ返りした。

 ギルドの宿舎に戻ると、サラメスの冒険者ギルドのギルド長が来ていて、明日運ぶ荷物を今のうち虚空ボックスに入れておいてくれと頼まれた。

 面倒だが約束だから仕方がないかと思い腰を上げ冒険者ギルドの倉庫へと向かう。

 物資のある倉庫は大量の食糧と魔物の素材でひしめき合っていた。
 俺が拠点にしてる町ボゴレイヌに今回輸送して欲しいのは食料だそうで馬車3台分にもなる。

 馬車10台分と聞いていたが少ないのは、新人で実績のない俺を信用できないから取り合えずお試しと言うことだろう。
 ギルド長は用意された荷物を早く虚空ボックスに入れてみろとせかす。
 その前に納品書で個数をチェックさせてくださいと頼むと、納品書など無いと言うのだ。

 当然俺は食品をアイテムボックスに入れるのを拒んだ。

 「なぜだ、今回のクエストが達成できないとお前はB級にはなれんぞ?」と疑問を口にするが考えてもみれば単純だ。
 入れた数がわからないのだから受け取り手が足りないと言えば、それを証明できないし、また送り主がちゃんと送ったと言われたらそれを覆せる証拠がないのだ。
 それに、この荷物に関して誰が責任を持つか明示されていない。

 こんなのは日本のサラリーマンならだれでもわかることだ。いや、web通販で買い物をしてるニートですらわかるだろう。

 これでは運ぶことなどできない。

 こんな当たり前のことも分からないとは考えにくい、いくら異世界がレベル低くてもこれはさすがに無い。
 なにか良からぬ企てをしてると思った方が良いだろう。

「……うむ、合格だ」
 だが予想に反してギルド長からでた言葉は合否の判定だった。

 俺はその言葉に苦笑した。どう考えてもテストと言うのは嘘だ。
 先程、俺が言った手で失った荷物の損失を弁済させるために飼い殺しにするための策略だろう。
 やってくれるじゃないか冒険者ギルド。

 リンゴ屋のおっさんの助言通りだな。今度また大量にりんごを買ってやるか。

 それはさておき、俺を罠にハメようとしたなら俺のやることは一つだ。
 俺をハメようとした報い、受けてもらうぜ。

「つまり、俺を試したんですか?」
「そう言うことになるな」

「分かりました、このギルドクエストは破棄します」
  俺のクエスト破棄宣言にギルド長は焦りを隠さない。

「なっ!? お前新人だろこのクエストをクリアしなければ昇格できんぞ」
 そして極めつけは脅しである。

「構わんよ、冒険者は片手間にやっているだけだ。いんとん生活しても差し支えないほどの蓄えもあるからな」
 俺が涼しい顔でそう言うと事態の不味さを認識したのかすぐに謝ってきた。

 謝らせればこちらのものだ、イニシアティブは取った。

「謝罪など、なんの役にも立たないだろ? 俺が仕事する条件を″このクエストを終了したらA級の確約″と言う条件に変えてもらう」

「いや、さすがにそれは」
 俺は渋るギルド長に苛立った。こいつはまだ自分にイニシアティブがあると思っているからだ。ならばお前にはもう選択肢がないということを教えてやろう。

「ちなみに、俺は極大攻撃魔法の使い手だ、一人でこの街を壊滅させることもできるぞ」
 俺は呪文を唱え上空に巨大な閃光球を作り出した。外は昼のように明るくなり外が騒がしくなる。これは実際に町に落とせば確実に街を一つ消滅させることが出来る龍魔法の一つだだ。

「ヒッ!」
 その閃光球を見たギルド長は腰を抜かし俺を化け物を見るような目で見る。俺の身体は魔物で作られているから間違いではないがな。

「どうする? 俺をだまそうとしたんだ、断ればその報いを受けてもらうが」

「わ、悪かった。何でも言うことを聞くからやめてくれ!」

「良いだろう、その言葉に嘘がないならさっさと行動に移すことだな」

「わかった。期待しておいてくれ」
 ギルド長はそのまま俺に頭を下げると踵を返しギルドに戻っていった。

 俺の実力を見ていないギルド本部がギルド長の言うことを聞くかは分からんが、ダメだったら後でタップリいじめてやろう。

 宿舎に帰るとケバ子がいない。

 俺の側を命令無しには離れられないからいるはずなのだが見当たらない。あのゴブリンの身体は無臭なので俺の鼻も聞かない。マップで確認すると部屋の隅に居た。
 そちらに向かうとケバ子は体育座りをして恨めしそうに俺を見る。

『なんだいつまでもウジウジして』

『……申し訳ありません』
 そう言うと俺の側にきて、かしずく。

 面倒な奴だと思いはするがケバ子は何気に優秀なのでこの状態は良くない。
 何かプレゼントをやって機嫌をとるか。

 別に強制的に命令すればいいが、後自分から何もしなくなってしまう恐れがある。自分で考え行動してくれるのが一番便利だ。
 
 そう言えばケバ子の持っているスキルで剣術があったな。
 弓だけだと装備が心もとない。

『おい、ケバ子。お前の剣術ってどのくらいの長さの剣を使うんだ?』

『私の剣術は極剣術ですので刃がついている刀剣でしたら短剣から両手剣まで使いこなせます』
 ハイスペックなのは知っているが、なんで受付なんてやってんだよ。
 妹のためか病気じゃ遠くに行けない。冒険者では町の外に出なきゃいけない、だからいつでもそばに居られる安定した事務職になったのか。

 ゴブリンに合うサイズの武器か短剣かな? 
 弓メインで戦って、近接する場合短剣で攻撃するスタイルで良いかな。

 もう少し研究したら両手剣を持たせるのも面白いかもしれないな。

 取り敢えずは短剣だ。素材は古代龍の爪に柄を付けよう。
 柄がないので骨を増加整形ジャンクビルドで加工して柄にした。

 龍の爪に龍の骨をサイズ調整した。そのままだと大剣だからな。
 それに接着剤ペーストを使って融合させる。
 骨の部分に獅子王のたてがみを巻いて滑り止めにした。

 完成だ。

◆龍爪の短剣
(トレジャーウエポン)
 品質スコア:5/10
 ステータスが20%上昇
  製作者カオス

 これ失敗か? 微妙に品質スコア低いんだが。
 トレジャーウエポンってことは秘宝級か、中々だよな?

 あとは防具だな。防具は元のゴブリンが着ていた革鎧を流用しよう。

 ゴブリンの革鎧に竜人ドラゴニュートの鱗革を接着剤ペーストで付けて、両肩に古代龍の鱗五枚をサイズ調整して使い、武者鎧の肩についている大袖ような物をつけた。
 兜は竜人ドラゴニュートの骨に蛇人レプトイドの鱗革を張った。蛇人レプトイドの鱗革は摩擦係数が低いので頭部のダメージを防ぐためにちょうど良い。

 なかなかの出来だな。

◆龍骨の兜(頭部パーツ)
(トレジャーウエポン)
 品質スコア:6/10
 ステータスが20%上昇
  製作者カオス

◆ゴブリンの革鎧・あらた(胴部パーツ)
(ハイクオリティー)
 品質スコア:4/10
 中々良いできだ
  製作者カオス

◆グレムリン・ガントレッド(腕部パーツ)
(レジェンドウエポン)
 品質スコア:8/10
 物理攻撃を1/5でそらす
  製作者カオス

◆グレムリン・グリーヴ(足部パーツ)
(レジェンドウエポン)
 品質スコア:9/10
 魔法攻撃を1/5でそらす
  製作者カオス

 正直ケバ子にはもったいないが俺はゴブリンが着た服なんてどんなに綺麗でもごめん被りたい。
 新品のときよりも、きれいなんだろうけど。

『ケバ子、新しい鎧と武器だ装備してみろ』

『こんな素晴らしいものをよろしいんですか?』
 ケバ子は俺が渡した武装を嬉しそうに抱きしめる。

『勘違いするな、素材が余ったから作っただけだ』
 素晴らしいもなにも俺の自作だ。そうだ、ただの練習品だ。

『はい、処分に困ったからですね。それでもありがとうございます』
 何か言い方がむかつくが、処分に困ってたんだ、こんな素材ギルドに売れば大騒ぎになるだろうしな。
 いつものようにケバ子の親愛度が上限越えようとビンビンと光る。
 
 喜んでいるケバ子の顔を見ると、薄暗闇で見えたゴブリンの顔が人の顔のように見えた。
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