魔物パーツコレクター　～ツンデレで鈍感系の俺が魔物の力でフォーリンラブ～

のきび

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隣国のお嬢様

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「カオスまってよ！」
　ホテルに入る直前、メリリとクリリが後ろから俺たちを追い抜き俺の前に立ちはだかる。

「お前ら、しつこいぞ」
　さすがに、これ以上は俺的にも迷惑なので少し強めに言うと、少し引き下がったが効果は薄かったようだ。

「その子はなによ、なんで私たちはダメでその子は良いのよ」
「カオスがそう言う趣味なら私たちもまだ若いですから夜の相手できるです」
　何が彼女達をそうさせるのか、自分の体を差し出しても俺のパーティーに入りたいと言う。
　俺は呆れて腕を組みため息をつく。

「この娘は俺が引き取った子だ、冒険者にする気はない。今度は娼婦の真似事か？　素人が体を売ってもプロに及ばないし、プロを越えるほどの価値はお前らに無いぞ」
　あえて蔑むようにそう言うと顔を真っ赤にして反論する。

「わ、分からないでしょ！　抱いてみて味見すれば良いじゃない」
「がんばります」
　アホ臭くて相手にする気も起きない。

「何度も言うが、お前達をパーティーに加える気はない？」

「なんでもするから、夜伽でも荷物持ちでもなんでもするからパーティーに入れてください」
　そう言うと二人は馬糞が落ちているような道で土下座をする。

「チッ、面倒臭いやつらだな」
　俺は二人に蹴りを入れ土下座をやめさせた。

「お願いします、家族の命がかかってるんです！」
　そう言うと俺の足をつかみ靴の上に頭をつける。これはあなたに絶対服従しますと言う意味で奴隷がやるような行為だ。
　俺は二人の襟首をつかみ立たせると両脇に抱え直した。

『ケバ子服が汚れた、綺麗にしてくれ』

『かしこまりました、二人の服もですね』
　そう言うとニヤリと笑う。ぶっとばすぞこのやろう。
　ケバ子は生活魔法で俺達の汚れを落とした。

　ホテルに入った俺はギルド長からもらったカードを見せ、5人部屋をお願いした。こいつらをこのまま返せば確実に人拐いに襲われるからだ。

　この二人は俺をつけることで精一杯で自分のことが見えていない。後ろから数人の男が二人を襲う準備をしていた事に全く気がついてなかった。

　この町って治安悪すぎだろ。

　部屋の鍵をもらい二人を部屋に投げ入れると俺は上着を脱いだ。

「初めてなので優しくしてください」
「です」

　部屋につれてきたことで抱いてもらえると思ったのだろうか、二人も服を脱ぎ出す。
『では、私も……』

「お前らぶっとばすぞ」
『特にケバ子』
　俺はそう言うと脱いだ上着をコート掛けに吊るし。二人に椅子に座るよう促した。

　椅子に座るとケバ子がすぐに紅茶を入れて持ってきた。それを一口飲み人心地ひとごごちつく。

「それで、お前らなんでそんなにしつこいんだよ。まずは理由を言え、理由を」
　俺がそう言うとメリリがポツリポツリと話し出した。

　二人は隣国グランドルス王国の田舎の地方の領主の娘で、バルモンテ男爵の子弟なのだと言う。
　領地を大規模な野盗集団に奪われ、二人は執事と共に逃げたが途中捕まりそうになったところを執事が命を懸けて逃がしてくれ、この国まで命からがら逃げてきたのだと言う。

「自分の国に援軍を求めれば良いだけじゃないか」

「それがダメなんです。私たちの領地がある場所が三ヶ国と隣接しているので条約でそこには兵を派遣できないのです」
　野党が集まっていると言う情報を元に国に助けを求めたが戦争になってしまうと理由で援軍を出してもらえなかったと言うのだ。

　なるほど、野党はそれを逆手にとったと言うわけか。中々頭が回る奴だ。

「それで、俺にどうして欲しいんだ？」

「領地の民を助けて欲しいのです」
　野盗に襲われたのは三ヶ月前で領主達は生きてはいないだろうと涙をためて話す。でも領民だけは守りたいと二人は言う。

　なるほど良い家のお嬢様だから家宝と言ったとき簡単に引き下がったのか。それに二人を付けていた連中も追手かもしれないな。

「それで、俺一人でそいつらを倒せって言うのか？」

「いいえ、仲間を集めてから討伐をしたいの」

「悠長なことだな、すでに三ヶ月もたっているのに、まだ仲間がゼロじゃないか」
　俺のその言葉にクランチは私達の事情を聞いて仲間になってくれたんだよと言う。
　まあ、お前らを利用しようとしただけだけどなと言うと、二人は何も言えなくなる。

「まあいい、今日はこのホテルに泊まっていけ、今から帰っても暴漢に襲われるだけだ」
　俺がそう言うと、夜伽のためにつれてきたのではないですかとメリリが聞く。
　俺はメリリに拳骨を落とし、俺に手をだしたらその時点でお前らを叩き出すと念を押しておいた。

『俺はちょっと用事ができた、ケバ子三人の面倒を頼むぞ』
　俺はコート掛けから服を取り、再び羽織るとドアノブに手をかける。

『いかれるのですか？　それでしたら私も』
『俺は頼むと言ったぞ』
『申し訳ありません、三人のことはお任せください』
　そう言うと行ってらっしゃいませとお辞儀をして俺を見送った。

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