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【黒の創造召喚師 ―Closs over the world―】
第021話 ゴミはゴミ箱へ、クズはくずカゴへ②
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「……なんだ、コレ?」
ツグナがその手紙に気づいたのは、初登校の日から四日目のことだった。帰り際、家に持って帰る荷物を整理しようと机の中に手を入れた際、誰かが入れたものであろう封筒があるのが分かった。
「どうしたの……って、何それ?」
後ろから聞こえてきたツグナの呟きを拾った彰彦が、身体を彼の方に向けて訊ねる。
「手紙……か? 差出人は書いてないみたいだが」
「差出人不明? でも間違えて入ってたってワケじゃないんでしょ?」
「あぁ、ちゃんと宛名に俺の名前が書いてある」
ほら、とツグナは彰彦に封筒の表を見せながら答える。確かに彼の言うように、封筒の表には「佐伯継那様へ」とご丁寧に宛名が書いてあった。
「へぇ……ちなみに、どんな内容なの?」
「ちょっと待ってろ……」
彰彦に促され、封筒から手紙を抜いて中を開いたツグナは、そこに書かれた内容に盛大に顔を顰めた。
「……うん? どうしたのさ?」
顔を顰めたまま押し黙るツグナに、彰彦が首を傾げつつ訊ねる。
「あぁ、悪い悪い。いや、この手紙を書いたヤツ曰く、俺はヤツの『女神様たち』にまとわりつくお邪魔虫なんだとさ」
「女神様……? あぁ、彼女たちのことか」
ツグナの妙に回りくどい言い回しに、最初は訝しむ顔を見せていた彰彦だったが、すぐに彼が言う「女神様たち」が誰のことを指すのか思い至り、納得顔で頷いた。
ツグナと彰彦が思い浮かんだ顔は、同時期にこの白桜学院に所属することとなったソアラ・キリア・リーナ・アリアの顔である。
初登校時に既に学院の同級生、その全ての注目の的となった彼女らは、その数日後には学院でも十指に入るマドンナ的地位を確立していた。
その噂は離れた場所にあるツグナのいる普通科クラスにも伝わり、男女問わず会話の俎上に上るほどだ。
……というよりも、昼休みや下校時になると、ソアラたちがわざわざツグナのいるクラスへと押しかけて来るのだから話題にならないワケがない。
そして、リーナとアリアを妹、ソアラとキリアを親戚と紹介すると、何人かの男たちの目が嫉妬と羨望に染まるのが見てとれた。
彰彦や瑞基もツグナから直接彼女らを紹介されたクチなのだが、他の生徒とは異なり、それだけで変な色眼鏡でツグナを見たりはしない貴重な存在だった。
だからこそ、こうしてツグナは手紙の内容を教えられる。
「ったく……よっぽど気に食わないらしいな、この手紙の主は。長ったらしい文章で『如何に自分が優れているか』、『女神様と釣り合うのは自分だ』って書いてある。ご丁寧に『特段取り柄もない』、『凡庸そのものの普通科の生徒が』、『女神様たちを惹きつけるのがおこがましい』とさ」
辟易した態度で手紙の内容を端的に伝えるツグナに、彰彦は引き攣った笑みを見せる。
「よ、よくもまぁ、ここまで一途になれるものだね。継那が彼女たちの家族である以上、一緒に登下校したり、昼休みに一緒に昼食を摂ったりするのは自然なことなのに……」
「まったくだな。向こうから来てるのに、どこをどうしたら俺が『まとわりついている』って解釈できるんだ?」
ツグナは盛大にため息を吐くと、封筒に手紙を仕舞い込み、そのままゴミ箱へ投げ入れる。
「――っ!? だ、大丈夫かい!? 彼女たちに相談したりさなくて……」
ツグナの行動に目を見開いて驚いた彰彦は、不安気な表情で訊ねる。
「うん? まぁ大丈夫だろ。今のところ、実害は出て無いしな」
「実害って……まぁ、それはその通りだけどさ……」
さらりと告げたツグナの言葉に、彰彦は不安の色拭い切れていなかったものの、「まぁ本人がそう言うのなら……」とそれ以上は何も言わなかった。
そして、同様の手紙はこの日以降にも送られ、一日に何通も送られて来る日もあった。だが、ツグナは最初の一通だけ読んだだけで、以降は中身も見ずにゴミ箱に放り込んでいる。
――実害は無いから、と高を括っていたツグナだったが、「後で面倒なことになるぞ」という瑞基の言葉に、
少しはマジメに対処法を考えておくべきだった、とわずかに後悔することになるのだった。
ツグナがその手紙に気づいたのは、初登校の日から四日目のことだった。帰り際、家に持って帰る荷物を整理しようと机の中に手を入れた際、誰かが入れたものであろう封筒があるのが分かった。
「どうしたの……って、何それ?」
後ろから聞こえてきたツグナの呟きを拾った彰彦が、身体を彼の方に向けて訊ねる。
「手紙……か? 差出人は書いてないみたいだが」
「差出人不明? でも間違えて入ってたってワケじゃないんでしょ?」
「あぁ、ちゃんと宛名に俺の名前が書いてある」
ほら、とツグナは彰彦に封筒の表を見せながら答える。確かに彼の言うように、封筒の表には「佐伯継那様へ」とご丁寧に宛名が書いてあった。
「へぇ……ちなみに、どんな内容なの?」
「ちょっと待ってろ……」
彰彦に促され、封筒から手紙を抜いて中を開いたツグナは、そこに書かれた内容に盛大に顔を顰めた。
「……うん? どうしたのさ?」
顔を顰めたまま押し黙るツグナに、彰彦が首を傾げつつ訊ねる。
「あぁ、悪い悪い。いや、この手紙を書いたヤツ曰く、俺はヤツの『女神様たち』にまとわりつくお邪魔虫なんだとさ」
「女神様……? あぁ、彼女たちのことか」
ツグナの妙に回りくどい言い回しに、最初は訝しむ顔を見せていた彰彦だったが、すぐに彼が言う「女神様たち」が誰のことを指すのか思い至り、納得顔で頷いた。
ツグナと彰彦が思い浮かんだ顔は、同時期にこの白桜学院に所属することとなったソアラ・キリア・リーナ・アリアの顔である。
初登校時に既に学院の同級生、その全ての注目の的となった彼女らは、その数日後には学院でも十指に入るマドンナ的地位を確立していた。
その噂は離れた場所にあるツグナのいる普通科クラスにも伝わり、男女問わず会話の俎上に上るほどだ。
……というよりも、昼休みや下校時になると、ソアラたちがわざわざツグナのいるクラスへと押しかけて来るのだから話題にならないワケがない。
そして、リーナとアリアを妹、ソアラとキリアを親戚と紹介すると、何人かの男たちの目が嫉妬と羨望に染まるのが見てとれた。
彰彦や瑞基もツグナから直接彼女らを紹介されたクチなのだが、他の生徒とは異なり、それだけで変な色眼鏡でツグナを見たりはしない貴重な存在だった。
だからこそ、こうしてツグナは手紙の内容を教えられる。
「ったく……よっぽど気に食わないらしいな、この手紙の主は。長ったらしい文章で『如何に自分が優れているか』、『女神様と釣り合うのは自分だ』って書いてある。ご丁寧に『特段取り柄もない』、『凡庸そのものの普通科の生徒が』、『女神様たちを惹きつけるのがおこがましい』とさ」
辟易した態度で手紙の内容を端的に伝えるツグナに、彰彦は引き攣った笑みを見せる。
「よ、よくもまぁ、ここまで一途になれるものだね。継那が彼女たちの家族である以上、一緒に登下校したり、昼休みに一緒に昼食を摂ったりするのは自然なことなのに……」
「まったくだな。向こうから来てるのに、どこをどうしたら俺が『まとわりついている』って解釈できるんだ?」
ツグナは盛大にため息を吐くと、封筒に手紙を仕舞い込み、そのままゴミ箱へ投げ入れる。
「――っ!? だ、大丈夫かい!? 彼女たちに相談したりさなくて……」
ツグナの行動に目を見開いて驚いた彰彦は、不安気な表情で訊ねる。
「うん? まぁ大丈夫だろ。今のところ、実害は出て無いしな」
「実害って……まぁ、それはその通りだけどさ……」
さらりと告げたツグナの言葉に、彰彦は不安の色拭い切れていなかったものの、「まぁ本人がそう言うのなら……」とそれ以上は何も言わなかった。
そして、同様の手紙はこの日以降にも送られ、一日に何通も送られて来る日もあった。だが、ツグナは最初の一通だけ読んだだけで、以降は中身も見ずにゴミ箱に放り込んでいる。
――実害は無いから、と高を括っていたツグナだったが、「後で面倒なことになるぞ」という瑞基の言葉に、
少しはマジメに対処法を考えておくべきだった、とわずかに後悔することになるのだった。
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