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63 再びの解呪
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「何これ? どういうこと?」
ケンブル先生が作ってくれたチョーカーのおかげで、ちゃんと人間の言葉を発する事が出来た。
もっともウサギの鳴き声なんて聞いたことがなかったから、ちょっとだけ残念だわ。
「キャサリン嬢がウサギに!? サイモン! これはどういう事だ!?」
アラスター王太子もウォーレンも驚愕の表情を浮かべている。
まさか、これはサイモンの仕業なの?
私の呪いを解呪すると言っておきながら、新たな呪いを私にかけたのかしら?
そんな考えが頭をよぎったけれど、同じように驚愕の表情を浮かべているところを見ると、サイモンにも予想外の出来事なのかしら?
サイモンは目を見開いてウサギになった私を凝視していたけれど、やがて唇を歪めて「クククッ」と笑いをこぼした。
「一つの呪いを解いたら次の呪いが発動するように仕掛けていたみたいですね。…面白い。受けて立とうじゃありませんか」
サイモンの後ろに真っ赤に燃えたぎる炎が見えるようだ。
私に呪いの重ね掛けがしてある事で、サイモンのやる気が爆上がりしたみたい。
ガタン、と椅子を倒しそうな勢いで立ち上がると、サイモンはテーブルを回って私の後ろに立つとヒョイと私を後ろから抱き上げた。
何の前触れもなく身体が宙に浮いた事で私はジタバタと手足をバタつかせる。
「サイモン、何を!」
隣に座っているアラスター王太子が私の代わりに抗議の声をあげてくれる。
「失礼。断りもなく女性の身体に触れてしまい申し訳ありません。呪いを解くためですから少々我慢してくださいね」
そう言われてはアラスター王太子も文句を言えなくなったようで、立ち上がりかけた身体を椅子へと戻した。
私は首を回して後ろにいるサイモンを見ると、サイモンは目を閉じて何やら呪文を唱えだした。
突然、身体の中を何かが駆け回るような感覚にゾワッとなる。
「キャサリン嬢、そのまま水晶玉に手を置いてください」
サイモンに言われて水晶玉に触ろうとしたけれど、ウサギって意外に前足が短いのね。
届かなくて前足をバタバタさせていると、見かねたサイモンが私の身体を水晶玉に近付けた。
前足が水晶玉に触れた途端、何かが水晶玉へと吸い込まれていく。
先程とは桁違いの勢いに私の魂まで引き出されるんじゃないかと思ってしまう。
必死で抗っていると、吸い込まれる感覚が不意に消えた。
目の前の水晶玉は黒く染まったままだけれど、その黒い色は光すら反射しない程に暗い。
ふとそこで私は自分の身体に違和感を感じた。
先程まで宙に浮いていたはずの身体は、しっかりと椅子に腰掛けた状態になっている。
水晶玉に添えていた手も元の人間のものだ。
(やった! 元に戻れたわ)
それでも拭えない違和感に視線を下ろすと、その胸の部分に二つの手が張り付いている。
(そっか。後ろから抱き上げられていたんだから、サイモンの手は当然私の胸を持っている形になるわね)
そう理解はしたけれど、流石に胸を触られている状態なのに平静ではいられない。
「きゃあっ!」
私の叫び声と同時にサイモンが手を離したが、アラスター王太子は椅子を倒しながら立ち上がった。
「サイモン! 何処を触っている!」
胸を抑えてうずくまる私の横でアラスター王太子は、サイモンに掴みかかろうとしてウォーレンに羽交い締めにされている。
「不可抗力ですから許してくださいよ。それに私はもうちょっと豊満な方が好みなのでね」
不可抗力なのは認めるけれど、その後の言葉は余計だわ。
アラスター王太子もサイモンの言葉で顔を赤くするのはやめてもらいたいわね。
人間に戻してもらった事で胸を触っていた事は不問にしてあげましょうか。
ケンブル先生が作ってくれたチョーカーのおかげで、ちゃんと人間の言葉を発する事が出来た。
もっともウサギの鳴き声なんて聞いたことがなかったから、ちょっとだけ残念だわ。
「キャサリン嬢がウサギに!? サイモン! これはどういう事だ!?」
アラスター王太子もウォーレンも驚愕の表情を浮かべている。
まさか、これはサイモンの仕業なの?
私の呪いを解呪すると言っておきながら、新たな呪いを私にかけたのかしら?
そんな考えが頭をよぎったけれど、同じように驚愕の表情を浮かべているところを見ると、サイモンにも予想外の出来事なのかしら?
サイモンは目を見開いてウサギになった私を凝視していたけれど、やがて唇を歪めて「クククッ」と笑いをこぼした。
「一つの呪いを解いたら次の呪いが発動するように仕掛けていたみたいですね。…面白い。受けて立とうじゃありませんか」
サイモンの後ろに真っ赤に燃えたぎる炎が見えるようだ。
私に呪いの重ね掛けがしてある事で、サイモンのやる気が爆上がりしたみたい。
ガタン、と椅子を倒しそうな勢いで立ち上がると、サイモンはテーブルを回って私の後ろに立つとヒョイと私を後ろから抱き上げた。
何の前触れもなく身体が宙に浮いた事で私はジタバタと手足をバタつかせる。
「サイモン、何を!」
隣に座っているアラスター王太子が私の代わりに抗議の声をあげてくれる。
「失礼。断りもなく女性の身体に触れてしまい申し訳ありません。呪いを解くためですから少々我慢してくださいね」
そう言われてはアラスター王太子も文句を言えなくなったようで、立ち上がりかけた身体を椅子へと戻した。
私は首を回して後ろにいるサイモンを見ると、サイモンは目を閉じて何やら呪文を唱えだした。
突然、身体の中を何かが駆け回るような感覚にゾワッとなる。
「キャサリン嬢、そのまま水晶玉に手を置いてください」
サイモンに言われて水晶玉に触ろうとしたけれど、ウサギって意外に前足が短いのね。
届かなくて前足をバタバタさせていると、見かねたサイモンが私の身体を水晶玉に近付けた。
前足が水晶玉に触れた途端、何かが水晶玉へと吸い込まれていく。
先程とは桁違いの勢いに私の魂まで引き出されるんじゃないかと思ってしまう。
必死で抗っていると、吸い込まれる感覚が不意に消えた。
目の前の水晶玉は黒く染まったままだけれど、その黒い色は光すら反射しない程に暗い。
ふとそこで私は自分の身体に違和感を感じた。
先程まで宙に浮いていたはずの身体は、しっかりと椅子に腰掛けた状態になっている。
水晶玉に添えていた手も元の人間のものだ。
(やった! 元に戻れたわ)
それでも拭えない違和感に視線を下ろすと、その胸の部分に二つの手が張り付いている。
(そっか。後ろから抱き上げられていたんだから、サイモンの手は当然私の胸を持っている形になるわね)
そう理解はしたけれど、流石に胸を触られている状態なのに平静ではいられない。
「きゃあっ!」
私の叫び声と同時にサイモンが手を離したが、アラスター王太子は椅子を倒しながら立ち上がった。
「サイモン! 何処を触っている!」
胸を抑えてうずくまる私の横でアラスター王太子は、サイモンに掴みかかろうとしてウォーレンに羽交い締めにされている。
「不可抗力ですから許してくださいよ。それに私はもうちょっと豊満な方が好みなのでね」
不可抗力なのは認めるけれど、その後の言葉は余計だわ。
アラスター王太子もサイモンの言葉で顔を赤くするのはやめてもらいたいわね。
人間に戻してもらった事で胸を触っていた事は不問にしてあげましょうか。
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