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闘争心というものは交感神経系を支配する感情である。逆に副交感神経を刺激してやれば、闘争心は無くなる。
私を殺そうとする気も起きなくなるだろう。
副交感神経を刺激する為には?
満腹中枢を刺激するのだ。
お腹が満たされれば、狩りをしてか弱い獲物を狙う必要は無くなる。
かくして私の高蔵君の満腹中枢刺激作戦は得意の中華料理フルコース弾幕によって実行された。
今までも他の男に何度かやって来た作戦ではあるが、育ち盛りの高蔵君相手には抜群に効果を発揮した。
高蔵君は中華料理の数々に目を輝かせ、演技とは思えない程私を滅茶苦茶に褒めてくれた。
「先輩の作る料理、最高です!毎日でも食べたいです!」
そう言いながら一気に4人前をペロリと平らげて、満足そうに私の部屋のソファーベッドで高蔵君はうとうとと寝てしまうのだった。
1週間はその作戦で事なきを得た。
学校では流石に人目に付く場所では暴力は振るわれないだろうと清々しい笑顔で挨拶するものの、2人きりにはならないように細心の注意を払いながら接している。
高蔵君が研究室で何か言いたげにしているのも見て見ぬふりをした。おおかた私が恋人ごっこにのめり込んでいるのを高みの見物したいのだろう。悪いがその手には乗ってやらない。
恐怖の告白から6日間、学校では上手く距離を置いていたけれども、既にアパートの部屋は知られてしまっているから高蔵君は部活が終わるとすぐにうちに来るようになってしまった。
高蔵君と付き合って丁度1週間目の日曜日も高蔵君は私の元にやって来た。
最初はいつになく無言で、ついに佳奈との事を打ち明けられるのかと思いきや、高蔵君は急に抱きついてきた。
「先輩。今日こそは夕飯だけじゃなくて先輩の事も食べて良いですか?」と怖い事を言いながら。
曖昧に誤魔化してその日も沢山中華を振舞った。
満腹になった高蔵君は上機嫌でシャワーを浴びていた。その隙に私は24時間営業のファミレスに逃げて事なきを得──られなかった。
高蔵君はバスタオル一丁でアパートを出ても追ってきた。流石に2月の寒空の下、裸では追って来ないだろうと思ったがタオルを押さえながら本気で走ってきた。
余り騒ぐとご近所さんになんと噂されるか分からないので、無理に抵抗しないで渋々アパートに戻った。
私を殺そうとする気も起きなくなるだろう。
副交感神経を刺激する為には?
満腹中枢を刺激するのだ。
お腹が満たされれば、狩りをしてか弱い獲物を狙う必要は無くなる。
かくして私の高蔵君の満腹中枢刺激作戦は得意の中華料理フルコース弾幕によって実行された。
今までも他の男に何度かやって来た作戦ではあるが、育ち盛りの高蔵君相手には抜群に効果を発揮した。
高蔵君は中華料理の数々に目を輝かせ、演技とは思えない程私を滅茶苦茶に褒めてくれた。
「先輩の作る料理、最高です!毎日でも食べたいです!」
そう言いながら一気に4人前をペロリと平らげて、満足そうに私の部屋のソファーベッドで高蔵君はうとうとと寝てしまうのだった。
1週間はその作戦で事なきを得た。
学校では流石に人目に付く場所では暴力は振るわれないだろうと清々しい笑顔で挨拶するものの、2人きりにはならないように細心の注意を払いながら接している。
高蔵君が研究室で何か言いたげにしているのも見て見ぬふりをした。おおかた私が恋人ごっこにのめり込んでいるのを高みの見物したいのだろう。悪いがその手には乗ってやらない。
恐怖の告白から6日間、学校では上手く距離を置いていたけれども、既にアパートの部屋は知られてしまっているから高蔵君は部活が終わるとすぐにうちに来るようになってしまった。
高蔵君と付き合って丁度1週間目の日曜日も高蔵君は私の元にやって来た。
最初はいつになく無言で、ついに佳奈との事を打ち明けられるのかと思いきや、高蔵君は急に抱きついてきた。
「先輩。今日こそは夕飯だけじゃなくて先輩の事も食べて良いですか?」と怖い事を言いながら。
曖昧に誤魔化してその日も沢山中華を振舞った。
満腹になった高蔵君は上機嫌でシャワーを浴びていた。その隙に私は24時間営業のファミレスに逃げて事なきを得──られなかった。
高蔵君はバスタオル一丁でアパートを出ても追ってきた。流石に2月の寒空の下、裸では追って来ないだろうと思ったがタオルを押さえながら本気で走ってきた。
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