貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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「反論は認めないと言ったはずだ。俺馬鹿な女は嫌いだ」

 葉月は冷ややかに言う。

「私は了承してませんので。帰らせてもらいます」

 そう言って、美緒は床に落ちたバッグを拾い、玄関に向かう。

 葉月は追いかけてこない。

 エレベーターで1階まで降り、なんと無くだが、車で運ばれた際に道を覚えていたので、スマホで現在地から1番近い駅を探す。

 5分弱で着きそうかな?と駅に向かい歩き始めるが、美緒の横に車が急ブレーキで止まり、扉が開き、中から引っ張られる。中の男はサングラスをしていて、顔は分からないが美緒の知っている顔ではない事は確かだ。

「離して下さいっ!」

 美緒が大声を出すと、駅に近い事もあり、多くの通行人が視線を向ける。車に引きずり込まれてはマズイと美緒は必死で抵抗していると、後ろから不機嫌な声がする。

「お前、どこの手の者だ?」

 葉月は、言いながら美緒を抱きしめ、グイッと後ろに引く。すると、あっさり車の中の手は解放する。そしてすぐさま、車は走り出したのだ。

 視界から車が消えると、美緒の身体は一気に力が抜ける。葉月に抱きしめられてなかったら、地面にヘタリ込んでいるところだ。

「あ、ありがと・・・」

 消え入りそうな声で言うが、葉月からの返事はない。チラリと背後を伺うと、葉月の鋭い視線とぶつかる。

「俺は忠告したはずだ、『色々な目に合う』と。それでも出て行ったのはお前だ。どうする?それでも帰るのか、俺の監視下に入るのか」

 うっ。

 葉月は怖いし、キスしたりエッチな事を平気でしてくる様な人間だ。一緒に居たくない。でも、この歳で誘拐されそうになるのって、どうなの?これも葉月絡みなの?何か変な事に巻き込まれたの?だったら当事者に守ってもらうのが1番?でも、監視下って言った。『守る』では無いのだ。

 黙ったままの美緒を、また担ぎ上げマンションに入って行く。玄関で先程と同じように靴をポイポイ脱ぎ捨てられるが、ソファにはちゃんと座らせてもらえた。
 
「で、どうするんだ?」

 低い艶のある声で再度問われる。


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