貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 美緒が目を覚ますと、葉月にしっかり抱きしめられていた。さっき目を覚ました時はお風呂の中だったが、今回はベッドの上だ。

 喉が乾いてしまったので、お水を飲みたいのだが、ガッチリ抱きしめられているので、身動きが取れない。仕方なく、葉月さんを起こす事にする。

「葉月さん、起きて下さい」

 モゾモゾと動きながら声をかける。すると、ゆっくり葉月さんは眼を開ける。

「お水飲みたいので、腕退けてもらえますか?」

「ああ・・・」

 掠れた声を出しながら、葉月さんは解放してくれる。冷蔵庫から小さいペットボトルを2本取り出し、葉月さんにも1本渡すと、無言で飲み干す。美緒も半分位まで一気に飲む。こんなに喉が乾くのは滅多にない。あっ、昨日葉月さんに抱かれた時もか・・・と思い出し、顔が火照ってくる。

 葉月が横たわるベッドに座るのは、ちょっと気が引けたので、ソファに座る。するとバスローブを着た葉月もベッドから移動して来て、横に座る。

「あのっ、横に座らなくてもっ」

 そう言って、美緒は少し横に移動するが、移動した分葉月は寄ってくる。

「俺は今まで、女には興味が無かった。性欲処理で納得する女しか、相手にした事は無い。だから、媚薬を盛られたお前も『可哀想だな、精さえ胎内に出してやれば媚薬の効果は無くなり元に戻る』位にしか思ってなかった。でも、お前は『お蘭』なのか?」

「えっ!?」

「俺は子供の頃から何度も夢を見る。夢の中でも俺は『葉月』と呼ばれていた。お蘭とは結婚する前に一度愛し合い、結婚前に弟に殺された。夢の中の俺は、最後までお蘭にもう一度会う事を願い死んで行った。美緒、お前を抱いた時に感じたのは、お蘭を抱いた時と同じ感情だ」

 そう言って、美緒を抱きしめる。

「葉月さん、苦しい・・・」

「ああ、すまない」

「実は私もさっき、夢を見て。確かに『お蘭』と私は呼ばれていました。『葉月さん』と結婚する予定の数日前に葉月さんが亡くなり、私は全てに嫌気が差し家を出て死ぬつもりでした。しかし、一命を取り留めてしまい、お腹には葉月さんとの子供がいる事も分かりました。だから私はその子と共に生きる道を選びました」

「やはり俺の子供がいたのか。三ノ宮家は代々、初夜で子供が出来る。だから、もしかしてと気に掛かりながら俺は死んだ。昨日見せた腹戸籍でもお蘭には子供が生まれた事が分かった。それが俺の子かは分からなかったが・・・」

「葉月さん、今、なんて?」

「あ?俺の子かは分からなかった」

「じゃなくて!初夜で子供が出来る!?」

 葉月さんにいっぱい抱かれてしまった!

「ああ。出来るといいな?」

 そして、葉月は美緒のお腹を撫でるのだ。ゆっくりと愛おしそうに。




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