貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 美緒はゆっくり目を開けると、既に見慣れてしまった光景だ。葉月さんの部屋の天井、ベッド、そして葉月さん本人。

 懲りない美緒はベッドから降りると、シャワーを浴びに行く。そして自分の部屋で着替え、リビングのソファーに座る。そして、久しぶりにテレビを見る。朝の情報番組が始まる所だ。日にちや曜日感覚は既に美緒にはない。時間の感覚もかなり麻痺してきている。

 ぼ~っとテレビ見ていると、宮田さんがやって来る。

「あら、美緒さん。おはようございます」

 こうしていると普通の人なのに、美緒の鎖には全く不快感無しなのだ。

「宮田さん、おはようございます」

 宮田さんは冷蔵庫内を確認ししながら、美緒に話しかける。

 「朝ご飯は、お味噌と冷蔵庫のお惣菜でもいいですか?」

「はい、すいません。なかなか夜食べれない事が多くて」

 話してるそばから、美緒のお腹は『グゥ』と盛大に鳴る。昨日の夜に食べ損なったお惣菜を、宮田さんがすぐに温めてくれ緑茶も入れてくれる。

「冷凍のご飯をチンでもいいですか?」

「はい、すいません。冷凍ご飯溜まってきちゃいましたよね?」

 葉月さんがご飯を食べる暇もない位に抱いてくるので、食べれなかったご飯は宮田さんが冷蔵庫してくれるのだが、それもなかなか食べれず、どんどん溜まるのだ。

「ある程度溜まったら、私が持って帰りますから。冷凍ご飯は家でチャーハンすると減りが早いんですよ」

「チャーハン!宮田さん、お昼にチャーハン食べたい。それに、お昼は一緒に食べましょう。宮田さん以外ちゃんと話す人が居なくて、日本語忘れそうです」

「ふふっ、美緒さんには葉月さんがいるじゃないですか」

「いえ、まともな会話になってないですから」

 ちゃんと普通の話がしたいのよ~っ。

「そう言えば、宮田さんはもう葉月さんのお世話は長いんですか?」

「ええ、かれこれ10年以上ですよ?あまり他人には関わりあいたくないみたいで、お世話をさせて頂く際の面接で『長く勤める、余計な口出しはしない、口外しない』が条件でした。なので、美緒さんの事は誰にも話してないですよ?」

「はぁ。でも、私とは色々話して欲しいです」

「ふふっ、わかりました」

「葉月さんて、仕事以外に趣味とかないんですか?」

「さあ、わかりませんが。趣味らしいモノは見た事も聞いた事もないですね。仕事一筋、女性の影もありませんでしたから」

「へ~。息抜きとか何してるんだろ。あ、宮田さん、今度一緒にケーキ食べましょうよ~。買いに行けないからネット見てたら、色々美味しそうなんです。コレとかコレも」

 と、スマホを見ながら盛り上がる。可愛くて美味しそう。

 久しぶりに、ほんわりした気分になったのに葉月さんが起きて来た。

 う~っ、ずっと寝ててくれればいいのに。


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