貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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43 〜前田目線〜

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 美緒様が誘拐された日、葉月様の形相は鬼の様に凄まじい顔だった。

 その日の仕事は全て放棄し、車の中から卯月さんの全ての持ちマンションに卯月の車が無いか調べるように指示していた。それと本人の行動もだ。葉月様は、知り合いの警察幹部にも連絡して美緒様が見つかった際には一緒に突入してもらえるように手を回してした。そしてしばらく、志乃さんから連絡を受け、美緒様の居所候補を教えてきた。志乃さんは独自で四条家の人間を、卯月の取り巻きに加えて見張らせていた様だ。

 「わかった、志乃。警察ち向かう。お前だけで踏み込むなよ、警察が現場に踏み込む事実と美緒が監禁されていた事を記録に残さなければならない。だから、待て」

 葉月様から指示がある前だが、とりあえず、地下の駐車場から地上に出ておく。電話をしながら葉月様が指示する場所に向かう。

 到着してしばらくすると、既に志乃さんはいた。その後沢山の警察も到着し、志乃さんから部屋ナンバーを聞いたりセキュリティ解除をしてもらい、突入した。

 運転の私は車で待機だ

 中で何があったかは分からないが、葉月様は美緒様を抱え、車に乗り込んで、馴染みのある病院名を告げた。葉月様の顔はまだ鬼の様な顔が継続中だ。美緒様の顔は腫れ上がり、意識がないようだった。病院に連絡をし、救急で処置してもらっている間、葉月様の顔は一気に豹変し、酷く疲れて見えた。処置を終え、病室に移動しても葉月様は安心されなかった。夜遅くなり、明日の仕事の為に家に帰る事を促したが、帰ろうとしなかった。

 私は一旦家に帰り、翌日、病室に来たが、葉月様は全く寝ていないようだった。

 目を覚ました美緒様と話をされた葉月様は「離縁かもな」と車内で呟いたあとから病院には寄らなくなった。

 退院の日も、マンションではなくホテルに美緒様を送る様に言われた。納得出来ず、美緒様に立場も弁えず、葉月の心情をお話ししてしまった。美緒様とホテル内を片付けながら、内心は宮田の仕事に文句を言いたかったが堪えた。思いのほか時間が掛かったが、片付け後に美緒様を送り、荷物は部屋の横にある収納スペースに入れておいた。

 そして翌日朝、葉月様の窶れ具合はあまり変わりなかったが、表情はスッキリしていた。

 ああ、美緒様と打ち解けたのだ。

 「葉月様、おはようございます。よろしゅうございました」

 「ああ、迷惑かけたな前田」

 「とんでもございません。前田の仕事をしたまでです」

 その言葉に葉月様は珍しく薄っすらと笑われました。





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