指輪に導かれて

9

ソファでのんびりしていると、エマさんが紅茶を持ってきてくれる。

「優様、グリフィン騎士団に入られたんですねっ。凄い事ですよっ！」

 鼻息荒くエマさんが話すが、気になる事が・・・。

「エマさん、『様』はいらないよ？私、子供だし」

「いいえ！騎士団の方には『様』は必要ですから』

 はぁ、見習いですけどね。

 エマさんが下がったので、また部屋に1人になった。城での事やアレク様との昼食時の会話を思い出す。

  

「アレク様、陛下との話に出てきた『式』って何ですか？」

 食事をしながらたずねる、

「ああ、『式』とは、コレだ」

 アレク様は騎士団の制服のポケットからメモとペンを取り出し何か書き記し、手を翳しながら『優へ』と言うと、紙が折鶴の様にパタパタと折りたたまれ、羽ばたきながら優の所に来る。それに優が触れると、紙がアレク様の姿になり言葉を発する。『デザートのおかわりはいかが？』そして、話終わるとアレク様は消え、紙がペラリと床に落ちる。

「便利だろ？優も多分、練習すれば出来る様になると思うぞ？そうだな、1日中騎士団にいても疲れるだろうから、魔導師に魔術の指導をしてもらおうか」

 うん、それがいいとアレク様はブツブツ呟きながら出かけて行った。



 この世界は凄いなっ！

 魔力も想像がつかないものが沢山だ。

 はっ、私ここに住まわせてもらっても大丈夫なのかな？



「もちろん、いいに決まってるだろ？俺が拾ったんだから俺のモノだな。なんてな。優はフェアリー候補だし、違っててもグリフィン騎士団入りだから俺が身元引き受け人になるよ。流石に独身だから養女には迎えれないからね。自分の家だと思って好きにしていいよ。足りないものがあれば俺かエマに言ってくれ」

 夕食後のアレク様にたずねると、頭をポンポンしながらそう返された。

「ありがとうございます、アレク様っ」

 良かった、置いてもらえて。でも、冗談でも『俺のモノ』なんて言われるとドキドキするよねっ。アレク様、ホント素敵なイケメンだわ・・・。