指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 優はマークと一緒に厩舎の前に佇んでいる。2人の前では紅が騎乗用の鞍をつけられている。マークは先程、アレク様から直々にに優の教育係を命令された。1番入隊歴が浅いらしく、まだ16歳らしい。う~ん、実際年齢は私よりも年下だけど、素直に従っておこう。

「優、俺はマーク。初の俺の後輩だな。よろしく」

 優の身長に合わせ、中腰になりながら笑顔で右手を差し出す。ブラウンのウェーブのかかった髪にアーモンドアイの大きな瞳が、人なつこい印象を与える。優しそうだ。

「よろしくお願いします、マークさん」

 ニコリと笑顔を作り、握手する。

「俺、妹や弟がいるから同じ扱いになっちゃうかも。あ、マークでいいよ?同僚だし」

「はい、マーク」

 と答えると、うんうんと笑顔で頷く。

「優は紅と出会ってどれくらい?」

「まだ、3日目なんです。銀には数回乗せてもらいましたけど」

「えっ、銀に。羨ましい。俺のグリフィンはガイっていいんだけど、銀よりも小振りだしちょっと少しパワー不足かなぁ。もう少し強化出来るといいんだけど。紅はどうかな?」

「う~ん、銀にはちゃんと付いて飛んでたけど、どうなんだろう?」

「ま、今日はいきなり飛ばないから大丈夫だよ。乗り降りの練習からね。付いて歩くのは問題ないみたいだし、優の言葉にはちゃんと従ってくれるみたいだし良かったね」

「良かったね?」

「ああ、俺はグリフィン騎士になってからガイとペアを組んでるんだけど。アイツ、最初の1ヶ月位は全然言う事聞かなくって。泣かされたよ、先輩は笑って『ま、グリフィンの洗礼だ。有り難く戦え』て言うばかりだし。騎乗して飛んでも全然降りてくれないし。ホント、今が嘘みたいだよ」

 と、横に佇んでいるガイのお尻をペチンと叩くと、ガイは尻尾をペチペチ地面に叩きつける。まるでお前が悪いと言わんばかりだ。そうこうしているうちに、紅の準備が出来た様だ。

「じゃあ、先ずは俺が乗る見本見せるね」

 マークは言いながらハシゴを登り始める。

「ハシゴを登るんですか?てっきり、ぴょんと飛ぶんだと・・・」

「ああ、アレク様はそうだけど。基本はみんなコレだよ」

 ハシゴを指す。

 そうなのか。アレク様のあの姿を見てるから、この乗り方は正直ダサい。

「ハシゴがずれない様に手早く乗ってね」

「は~い。でも、ぴょんと乗れると格好いいですよね~」

「ははっ、俺もそう思うけどね」

 マークは苦笑いする。

 何となく、ぴょんと飛び乗るイメージをして、紅の横でジャンプしてみる。

 すると、難なく紅の上の鞍に、ちょこんと座れたのだった。

 「「ええ~っ!?」」

 優とマークは同時に叫んでしまうのだった。



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