指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 毎日の日課が増えた。

 朝、登城し厩舎に着いた優はまず、馬の葉に歌いながら水を与える。目一杯育ててからアレク様て騎士塔に向かう事になった。

 その後、魔導師塔の畑で野菜やら薬草やらを育て収穫し、魔力で野菜を厨房に運ぶ。薬草は魔導師達が使うので塔内に運ぶ。

 お昼は、呼ばれれば騎士塔で食べるし、呼ばれなければ魔導師塔でライ様と食べる。その後、厩舎に行き、大体根こそぎ無くなっている馬の葉をまた目一杯育てる。

 午後からは、新しい魔術をライ様から習う。

 そんな1日の流れを優は楽しんでいたのだが、ふと思う。そもそも、何でこの世界に飛ばされて来たのかな?


『導かれし乙女、宝剣の呼びかけに応えし時、平和へと導かん。聖なる輝きにて浄化せしめん』


 宝剣が呼びかけてくるのかなぁ?何て?

『俺宝剣、ココにいるよ』

 って?笑える~。



 夕方になり、アレク様の屋敷に帰り、夕食を食べた後、優は1人サロンでお茶を飲み寛いでいたのだが。疲れていたのかウトウト眠ってしまった様だ。ふわふわと揺れる感じが気持ちいい。そして包まれている暖かさに安心する。ふと目を開けるアレク様の顔が上にある。

「アレク様っ!?」

 どうやらアレク様にお姫様抱っこで運ばれている様だ。

「うわっ、ごめんなさい。歩けますっ」

 腕の中でジタバタしたのを、アレク様が止めようてしたけれど、勢い余って優の唇がアレク様の唇に当たってしまった。

 きゃ~っ、きゃ~っ!何て事をっ!

 「アレク様、ごめんなさいっ。キスしちゃった!?」

「ふふっ、可愛いなぁ、優。今のはぶつかっただけ。キスはこうでしょ」

 と優の唇に『チュッ』と優しいキスをする。

 その瞬間、優の身体は光輝くのだった。




 うわっ!?

 何?私どうした!?

 自分自身も眩しくて目を瞑る。




「優・・・?」

 名前を呼ばれ、目を開けるとキョトンとしたアレク様と目が合う。

「アレク様、今のは?」

 と言う優に、アレク様は慌てながらクルリと後ろを向き上着を『パサリ』と投げてくる。

!?

 不思議に思いながら、ソレを持ち上げると腕から破れた布がハラリと落ちる。

「え?・・・、きゃあ!?」

 今迄着ていた服が破れているのだ。しかも、見慣れた手のひらよりも大きい。とりあえず、アレク様から投げられた上着を着る。

「アレク様、すいません。何が起こったのか分からないんですけど」

「毛布を持って来るから、ちょっと待って」

 アレク様は優の姿を見ない様にしながら自室に入り、毛布を手に優を直視しないようにして戻ってくる。後ろ手に優に毛布を手渡してくれる。優はそれをクルリと身体に巻きつける。

「アレク様、もう大丈夫です」

 そう言うとアレク様はゆっくり振り返る。

「優、どういう事なんだろう?とりあえず、部屋に戻って?エマに服を持って行かせるから」

 と、アレク様はふらふらしながらエマを呼びに行った。

 
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