指輪に導かれて

38

 ライ様が陛下に話してくると言ってかなりの時間が経つが戻ってこない。その間、優は畑の収穫と片付けをする。至るところに生えてしまった馬の葉は紅に食べてもらった。

 そしてこの国の主食である小麦と家畜の餌となるコーン粉(この世界特有)を育ててみる。ふむ、大した力も必要なく作れる。野菜系は自分達で植えてくれれば、小麦達が育つ間に何回かは収穫出来ると思うんだけどな。

 ブツブツと考えていると式が飛んで来る。

『優、陛下がお呼びだ』

 とライ様はが言ったと思ったらそのまま移動させられる。

「もうっ！ライ様、勝手に飛ばさないで下さいよ～っ」

 と、片手に小麦を握りしめたまま怒るが・・・。そこには、陛下やライ様をはじめ、何だか偉そうなオジサンたちが目を丸くしている。あ、アレク様もいるが俯いて笑いを堪えている・・・。もうっ！ライ様め～っ！

「先程、話した魔導師・・・優です。彼女の魔力は強大です。問題のストニアとエトニア国ですが、ストニア国の方は我が国の提案を受け入れるそうですが、何ぶん予算が枯渇しているため、遠征等の費用は出せないとの事。ですが、ストニア側の防衛費が今後減るのであれば今回の遠征に多少の費用がかかってもその価値はあります。いかがでしょうか？」

 ライ様の発言に一同は黙る。

「俺は優の魔力を見ているので、優の体力さえ持続出来れば問題ないかと。ストニアで結果を出し、エトニアを再度説得するのも手だと思います。優も2国同時のタイミングで魔力を使いのは難しいですし」

 アレク様がライ様の後押しをする。

「よし、では、ライアン・アレクサンドル・優は遠征決定だ。後の面々はアレクサンドルの指揮の元決定せよ。速やかに結果を出せ。以上だ」

 陛下が言い放ち席を立つと、一斉に皆立ち上がり礼の姿勢をとる。優はワタワタしながら従う。




 会議が解散になり、アレク様は一旦騎士塔のに行ってから魔導師塔に来る事になった。優とライ様はそのまま魔導師塔に戻る。

「ぷぷっ。優、小麦握りしめて軍の会議って」

「も～うっ！誰のせいですか！式が来たと思ったらすぐに移動って！せめてもう少し時間下さい」

「急いでたからな。次回からは考えるよ」

「こないだはアレク様ペン握りしめてたし」

「あれも仕方ない。悟られる訳にはいかなかったし。それより優、昼食何にする？」

 プリプリ怒る優を気にする風も無く、ライ様はメニューを聞いてくる。

「オムライスとミネストローネがいいです。あとデザートも」

デザートは日によって変わるので何が来るかは分からない。

「わかった、後は適当に頼むぞ」

 ライ様は色々書き記した式を飛ばす。厨房行きだね。

 お腹すいたよ～。