指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 グリフィン騎士団一行はストニアに向かう途中、家畜の大移動を確認し、アレク様が様子を聞きに行く。家畜達はどうやら昨日、ライ様が指示した家畜達の様だ。今の所は変わりが無いとの事らしい。

 城を出てから2時間程経った頃、休憩の為地上に降りる。そこは草原が広がっていて、所々に木陰もある。ライ様から願いの箱から食べ物を出す様に言われ、早速簡易テーブルに出していく。それを見た騎士団からは

「うお~っ!」

 と、低い歓声が上がる。

 出てきたのは、お肉たっぷりのサンドイッチ、スープ、焼き菓子、お茶。サンドイッチは出したそばから無くなり、ライ様がおかわりの式を飛ばす。5分後、再び願いの箱から取り出すと、やっと優は一切れ食べる事が出来た。気をつけないと食べ損なうな、と思う。

 焼き菓子を食べながら、優はいちごを育て、収穫しテーブルに追加する。それも綺麗さっぱり無くなる。着いたら館の空いている所に果樹園作ろう。やっぱり果物はみんな好きだよね?



 再度飛行を始めた一行だが、飛行ペースが速かったらしく、6時間と見ていた飛行時間が4時間で着いた。

「馬の葉の影響か?グリフィン達の体調もここ最近いいようだし」

 アレク様が呟く。

「多分な。優、先ずは馬の葉をグリフィン達に与えてくれ」

 ライ様の指示で、グリフィンが降りたった広場に馬の葉を大量に育てる。勢い良く食べるので、後からもう一度育てに来なきゃなと思う。そして、館の近くにいちごと桃の木とバナナを育て、いつでも食べれるようにする。騎士達にバナナは人気が高かった。やっぱり栄養価の高い物は、本能的に分かるのかな?

 館の中はホコリっぽかったが、荒れている様子は無く、ライ様と優が魔術で清掃し、すぐに生活できる様になった。ただし、井戸は枯れていて水が無かったので、ライ様が地下の水脈を探し、それを井戸に直結させ使える様にした。井戸の水が満たされると、その井戸と建物内は元々魔術がかけられているらしく、簡単に水が出せる様な仕組みになっていた。

 ライ様と優が建物内をメンテナンスしている間、騎士団の面々は早速、明日からの視察を前倒しで行なっていた。


 まずはストニアとラトニアに境界線の尾根伝いを見にいくが、予想をしない風景があった。ラビリオ・ストニア・ラトニアの3国が交わる辺りの山には豊かな自然が残っているのに、それより北側は一切木が生えていないのだ。土砂崩れの形跡もある。

「豊かな森の恵みが、壊滅的だな。あちらのラトニア側も同じか」

 アレク様がブツブツと呟く。

 そして、山から村の上空を飛び、更に異常性を見る。畑はひび割れ、砂ホコリが舞っている。川らしきモノは干からび上空まで異臭を放っているのだ。

「コレは酷いな。それに農民の姿が一切ないのはどういう事だ?」

 騎士団一行は飛行高度を下げるが、農民を確認する事は出来なかった。街まで視察に行きたい気持ちを抑え、館に戻る。



「皆さん、お帰りなさい。食事の用意、出来てますよ」

 ダイニングに遠征とは思えない様な食事が並ぶ。いつも騎士塔で食べているものだ。

 しかし、騎士達の様子は暗い。休憩時に見せた食に対する歓喜を期待した優だが、誰1人明るい顔にならないのだ。

「?」

 ライ様と優は顔を見合わせる。

 


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