46 / 80
46
しおりを挟む
「そうだな・・・」
と、ライ様は考えた後、話し始める。
「基本、魔道士はある程度の力を持って生まれ、年齢と共に増える者もいれば、大して増えない者もいる。だから、子供の頃から大体自分の使える限界は分かるものだが。優の場合は、疲れてくるとか目眩がしたらかなり魔力が減った目安かな?疲れは1/3位まで魔力が減った時で、目眩は倒れる寸前だな。だから疲れたら早めに言ってくれ。優が倒れたら、みんなご飯食べれなくなるからな」
「えっ、最終的にはソコですか?」
「優も心配だけど、食事も重要だろう!この国には食べ物が無いんだから」
「はい・・・、気をつけます」
ライ様、こんなに食い意地張ってる人だったかな?
「で、ライ様。もし倒れる程、魔力を使った場合はどうしたら戻りますか?」
「基本は睡眠だな。回復力にもよるが、1日で回復する奴もいれば、1ヶ月飲まず食わずで眠り続ける奴もいる。ああ、番がいる奴は交わればすぐに回復するぞ」
「はい、睡眠ですね」
後半はスルーする。
その後もどんどん森を再生させて行くが、お昼の時間が近づいてきた為、一旦館に戻る事にした。
「アレク、国王はどうだった?」
「王宮とは思えない位、寂れていて王も兵も疲れているようだった。優に持たされたバナナは直ぐに無くなったぞ」
ライ様と話していたアレク様だが、最後は優を見て言った。
「ライ様・アレク様、無人に見えた農村部ですが、建物内を見たところ、人が倒れていて、水とバナナを食べさせたところ、何とか起き上がる事が出来ました。辛うじて生きている者が多かったので、器に水を入れ、バナナも余分に置いてきたので午後のバナナがありません」
「俺もです」
と、4人の騎士は口々に言う。
そして、目の前に優が料理を並べ始めると
「バナナで耐えている者がいるのに、俺はこんなに贅沢をしていいのだろうか」
と呟く者もいる。
「だからだ。この地から飢えを無くす為に俺達が倒れる訳にはいかない。まずはバナナしか配れないが、優達が森を再生させ数日後には畑も再生させるよう努力する。俺達が動かなくてはならない。だからしっかり食ってしっかり働け!そして農村部の民と話が出来るのであれば、七色の雨が降っている間に、野菜とかの種を植えて欲しいと伝えろ。地域によるが数日中には降らせられるはずだ」
アレク様はいい終わり、優をチラ見する。
「はい、ライ様と今は森を頑張ってますが、この調子だと、明日の午前中には終わる目処です。すぐに食べられるバナナしか今は大量に出せませんが、明日の午後に農村部で作物が作れれば、それを他の地に分ける事が出来ます。なので、騎士の皆さんは地域の方々を助けつつ、農村部の方には七色の雨の説明をお願いしますっ」
皆で頷き、昼食をとる。食後にはライ様と優が大量バナナを育て収穫し、騎士に持たせる。騎士達が出払った後、すぐに優も出かけようとするのをライ様が止める。
「優、ちょっとお茶しようか」
ライ様が微笑みながら、ハーブティと焼き菓子を並べてくれる。
「えっ、でもライ様」
「大丈夫、優、頑張り過ぎ。ちょっと休んで気力溜めないと倒れるよ」
ふふっ、と笑いながらライ様が頭を撫でてくれる。今までそんな事をされた事がないのでドキドキする。
「あ、俺に惚れちゃダメだよ?」
「惚れませんっ!」
和やかにティータイムを過ごし、また森の再生に向かう。その途中、朝とは異なる景色が目に入る。
「ライ様っ、あれっ!」
優が指指す先には、森から出た水が少しづつ、農村部の小川に流れてきているのだ。まだ量は少ない。
「よし、まず森で間違いないようだな。残りも頑張るぞ、優っ!」
「はいっ、ライ様!」
2人は午前中よりもハイペースで森を再生して行く。遠くからその様子を見た騎士は
『山がどんどん緑に染まっていって、幻想的でした』
と言ってたらしい。
そして夕方、2人は肩でゼイゼイ息をしながら達成感に酔いしれていた。
「今日中に終わりましたよ、ライ様っ!」
「ああ、良くやった!優っ!」
2人はひとしきり抱き合ったあと、館に戻った。
と、ライ様は考えた後、話し始める。
「基本、魔道士はある程度の力を持って生まれ、年齢と共に増える者もいれば、大して増えない者もいる。だから、子供の頃から大体自分の使える限界は分かるものだが。優の場合は、疲れてくるとか目眩がしたらかなり魔力が減った目安かな?疲れは1/3位まで魔力が減った時で、目眩は倒れる寸前だな。だから疲れたら早めに言ってくれ。優が倒れたら、みんなご飯食べれなくなるからな」
「えっ、最終的にはソコですか?」
「優も心配だけど、食事も重要だろう!この国には食べ物が無いんだから」
「はい・・・、気をつけます」
ライ様、こんなに食い意地張ってる人だったかな?
「で、ライ様。もし倒れる程、魔力を使った場合はどうしたら戻りますか?」
「基本は睡眠だな。回復力にもよるが、1日で回復する奴もいれば、1ヶ月飲まず食わずで眠り続ける奴もいる。ああ、番がいる奴は交わればすぐに回復するぞ」
「はい、睡眠ですね」
後半はスルーする。
その後もどんどん森を再生させて行くが、お昼の時間が近づいてきた為、一旦館に戻る事にした。
「アレク、国王はどうだった?」
「王宮とは思えない位、寂れていて王も兵も疲れているようだった。優に持たされたバナナは直ぐに無くなったぞ」
ライ様と話していたアレク様だが、最後は優を見て言った。
「ライ様・アレク様、無人に見えた農村部ですが、建物内を見たところ、人が倒れていて、水とバナナを食べさせたところ、何とか起き上がる事が出来ました。辛うじて生きている者が多かったので、器に水を入れ、バナナも余分に置いてきたので午後のバナナがありません」
「俺もです」
と、4人の騎士は口々に言う。
そして、目の前に優が料理を並べ始めると
「バナナで耐えている者がいるのに、俺はこんなに贅沢をしていいのだろうか」
と呟く者もいる。
「だからだ。この地から飢えを無くす為に俺達が倒れる訳にはいかない。まずはバナナしか配れないが、優達が森を再生させ数日後には畑も再生させるよう努力する。俺達が動かなくてはならない。だからしっかり食ってしっかり働け!そして農村部の民と話が出来るのであれば、七色の雨が降っている間に、野菜とかの種を植えて欲しいと伝えろ。地域によるが数日中には降らせられるはずだ」
アレク様はいい終わり、優をチラ見する。
「はい、ライ様と今は森を頑張ってますが、この調子だと、明日の午前中には終わる目処です。すぐに食べられるバナナしか今は大量に出せませんが、明日の午後に農村部で作物が作れれば、それを他の地に分ける事が出来ます。なので、騎士の皆さんは地域の方々を助けつつ、農村部の方には七色の雨の説明をお願いしますっ」
皆で頷き、昼食をとる。食後にはライ様と優が大量バナナを育て収穫し、騎士に持たせる。騎士達が出払った後、すぐに優も出かけようとするのをライ様が止める。
「優、ちょっとお茶しようか」
ライ様が微笑みながら、ハーブティと焼き菓子を並べてくれる。
「えっ、でもライ様」
「大丈夫、優、頑張り過ぎ。ちょっと休んで気力溜めないと倒れるよ」
ふふっ、と笑いながらライ様が頭を撫でてくれる。今までそんな事をされた事がないのでドキドキする。
「あ、俺に惚れちゃダメだよ?」
「惚れませんっ!」
和やかにティータイムを過ごし、また森の再生に向かう。その途中、朝とは異なる景色が目に入る。
「ライ様っ、あれっ!」
優が指指す先には、森から出た水が少しづつ、農村部の小川に流れてきているのだ。まだ量は少ない。
「よし、まず森で間違いないようだな。残りも頑張るぞ、優っ!」
「はいっ、ライ様!」
2人は午前中よりもハイペースで森を再生して行く。遠くからその様子を見た騎士は
『山がどんどん緑に染まっていって、幻想的でした』
と言ってたらしい。
そして夕方、2人は肩でゼイゼイ息をしながら達成感に酔いしれていた。
「今日中に終わりましたよ、ライ様っ!」
「ああ、良くやった!優っ!」
2人はひとしきり抱き合ったあと、館に戻った。
10
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる