指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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「そうだな・・・」

 と、ライ様は考えた後、話し始める。

「基本、魔道士はある程度の力を持って生まれ、年齢と共に増える者もいれば、大して増えない者もいる。だから、子供の頃から大体自分の使える限界は分かるものだが。優の場合は、疲れてくるとか目眩がしたらかなり魔力が減った目安かな?疲れは1/3位まで魔力が減った時で、目眩は倒れる寸前だな。だから疲れたら早めに言ってくれ。優が倒れたら、みんなご飯食べれなくなるからな」

「えっ、最終的にはソコですか?」

「優も心配だけど、食事も重要だろう!この国には食べ物が無いんだから」

「はい・・・、気をつけます」

 ライ様、こんなに食い意地張ってる人だったかな?

「で、ライ様。もし倒れる程、魔力を使った場合はどうしたら戻りますか?」

「基本は睡眠だな。回復力にもよるが、1日で回復する奴もいれば、1ヶ月飲まず食わずで眠り続ける奴もいる。ああ、番がいる奴は交わればすぐに回復するぞ」

「はい、睡眠ですね」

 後半はスルーする。

 その後もどんどん森を再生させて行くが、お昼の時間が近づいてきた為、一旦館に戻る事にした。



「アレク、国王はどうだった?」

「王宮とは思えない位、寂れていて王も兵も疲れているようだった。優に持たされたバナナは直ぐに無くなったぞ」

 ライ様と話していたアレク様だが、最後は優を見て言った。

「ライ様・アレク様、無人に見えた農村部ですが、建物内を見たところ、人が倒れていて、水とバナナを食べさせたところ、何とか起き上がる事が出来ました。辛うじて生きている者が多かったので、器に水を入れ、バナナも余分に置いてきたので午後のバナナがありません」

「俺もです」

 と、4人の騎士は口々に言う。

 そして、目の前に優が料理を並べ始めると

「バナナで耐えている者がいるのに、俺はこんなに贅沢をしていいのだろうか」

 と呟く者もいる。

「だからだ。この地から飢えを無くす為に俺達が倒れる訳にはいかない。まずはバナナしか配れないが、優達が森を再生させ数日後には畑も再生させるよう努力する。俺達が動かなくてはならない。だからしっかり食ってしっかり働け!そして農村部の民と話が出来るのであれば、七色の雨が降っている間に、野菜とかの種を植えて欲しいと伝えろ。地域によるが数日中には降らせられるはずだ」

 アレク様はいい終わり、優をチラ見する。

「はい、ライ様と今は森を頑張ってますが、この調子だと、明日の午前中には終わる目処です。すぐに食べられるバナナしか今は大量に出せませんが、明日の午後に農村部で作物が作れれば、それを他の地に分ける事が出来ます。なので、騎士の皆さんは地域の方々を助けつつ、農村部の方には七色の雨の説明をお願いしますっ」

 皆で頷き、昼食をとる。食後にはライ様と優が大量バナナを育て収穫し、騎士に持たせる。騎士達が出払った後、すぐに優も出かけようとするのをライ様が止める。

「優、ちょっとお茶しようか」

 ライ様が微笑みながら、ハーブティと焼き菓子を並べてくれる。

「えっ、でもライ様」

「大丈夫、優、頑張り過ぎ。ちょっと休んで気力溜めないと倒れるよ」

 ふふっ、と笑いながらライ様が頭を撫でてくれる。今までそんな事をされた事がないのでドキドキする。

「あ、俺に惚れちゃダメだよ?」

「惚れませんっ!」

 和やかにティータイムを過ごし、また森の再生に向かう。その途中、朝とは異なる景色が目に入る。

「ライ様っ、あれっ!」

 優が指指す先には、森から出た水が少しづつ、農村部の小川に流れてきているのだ。まだ量は少ない。

「よし、まず森で間違いないようだな。残りも頑張るぞ、優っ!」

「はいっ、ライ様!」

 2人は午前中よりもハイペースで森を再生して行く。遠くからその様子を見た騎士は

『山がどんどん緑に染まっていって、幻想的でした』

 と言ってたらしい。

 そして夕方、2人は肩でゼイゼイ息をしながら達成感に酔いしれていた。

「今日中に終わりましたよ、ライ様っ!」

「ああ、良くやった!優っ!」

 2人はひとしきり抱き合ったあと、館に戻った。


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