指輪に導かれて

52

 陛下の下を辞した３人はまず騎士塔に向かい、アレク様は留守の間の報告を聞く。ライ様と優は厨房にお礼に向かう。それが済むと、優はアレク様の屋敷に戻る。

「優様、お帰りなさいませ」

 エマが迎えてくれる。

「留守中、色々ありがと。洗濯物も部屋にひたすら送るばっかりで」

「いいえ、1週間分どっさり来るより、毎日届いた方が楽ですから」

 そう。ライ様に教えてもらった通り、着終わった服は夜にこの部屋に飛ばしていたのだ。アレク様の物と一緒に。なので帰りは荷物が格段に減った。他の騎士には申し訳無いけどね。



 エマに準備してもらったお風呂にのんびり浸かる。やっぱり慣れてるお風呂が1番だねっ。薔薇の香油も、例え陛下からの賜りものでも香りはいいし・・・。

 


 夜、アレク様のベッドで忘れていた事を聞く。

「アレク様、そういえばライ様が先に送った家畜とグリフィンで運んだ小さい家畜達ってどうなったんですか？」

「ああ、ライ様と優が畑を再生している間に家畜農家に分配したよ。丁度飼料が出来たタイミングで喜んでたよ」

「良かった。帰り道で思い出して、忘れてたなぁと」

「ふふっ。優はやる事がいっぱいあったからね。しばらくはゆっくりして。ライ様も優にはお休みとっても構わないって伝えてくれって伝言もらってるよ。どうする？ちなみに、俺は明日1日だけ休みをもらった」

「あ、じゃあ私も明日はお休みもらおうかな？」

「と思って、先に明日の休みだけは伝えてあるから」

「ありがとうございます、アレク様。明日は久しぶりに朝寝坊しますっ」

「ぷっ、優。そんな宣言しなくても・・・。使用人達にも明日の休みは伝えてあるから、明日はどれだけ寝ててもいいよ。おやすみ優」

「はい、おやすみなさい。アレク様」

 アレク様は優の唇に、優しいキスを落とし、優を抱きしめる。そして2人はゆっくりと眠りに就くのだ。