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救われた令嬢
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「風が気持ち良い……」
「そうですね」
やはり、ハメッドと二人でいる時とは、比べ物にならないほど二人きりの時間が楽しい。
リゼッタの両親は、今回の婚約破棄に関して、何度もリゼッタに謝った。
オーレンとリゼッタがお互いに好意を抱き始めていたにも関わらず、それを遮ってまで無理矢理結んだ婚約が、こんな結果になってしまったから……。
それを詫びるためか、両親はすぐに侯爵家と話し合い……。
オーレンが伯爵家を訪れた。と言う流れだ。
侯爵家からすれば、そんな都合の良い話があるかと、怒ってもいいようなものだが、二人の関係性は知っていたので、広い心で受け入れることに。
「どうだろう。こうして手を繋いで……。森で深く呼吸をする。それだけでも僕は幸せな気持ちになるよ」
「……私もです」
二人は見つめ合った。
すでに、リゼッタの瞳は潤んでいる。
これまで過ごしてきた公爵令息との差がありすぎて、心臓が落ち着かない。
本来恋愛というのはこういうものだったのだと、脳が突然思い出して混乱している。
「私、その……。えっと……」
「良いよ。無理に何かを言おうとしなくて」
「……これだけは、言いたいのです」
「……うん。じゃあ、ゆっくりね」
オーレンが、包み込むように、リゼッタの手を握った。
リゼッタは深呼吸をして……。
オーレンを見上げた。
「……好きです。ずっと、あなたのことが」
リゼッタが勇気を出して言葉を放った瞬間、風が強くなった。
「あっ」
その風に煽られるように、リゼッタがよろめく。
オーレンが、すぐにリゼッタの体を抱き止めた。
予期せぬ展開で、二人は抱きしめ合うような形になる。
「……オーレン様っ」
二人の顔が近い。
お互いに真っ赤になっていた。
「ご、ごめんよ……。突然だったから」
「問題ありません。……もう少し、このままで」
「良いのかい?」
「当然です」
二人は抱きしめ合い、しばらくの間無言だった。
お互いの呼吸と、風の音だけが聞こえてくる。
もう一つ、心臓の音さえ聞こえてしまっているのではないかと、リゼッタは不安になっていた。
しかし、それはオーレンも同じである。
お互いに、これまでの人生で経験したことのないほどの胸の高鳴りを感じながら、次の言葉を必死で探している。
「あの……」
先に声を発したのは、オーレンの方だった。
「僕も、君のことが好きだよ」
抱きしめ合ってから、まだ言っていないことを思い出したのだ。
思わずリゼッタは笑ってしまった。
お互いの体が離れる。
真っ赤な顔であることも構わずに……。見つめ合う。
「これからどうぞ、よろしくお願いします」
「あぁ。……二人で、幸せな時間を過ごそう」
こうして、婚約破棄をされたリゼッタは……。
本来あるべき正しい形で、オーレンと婚約を結び直した。
「そうですね」
やはり、ハメッドと二人でいる時とは、比べ物にならないほど二人きりの時間が楽しい。
リゼッタの両親は、今回の婚約破棄に関して、何度もリゼッタに謝った。
オーレンとリゼッタがお互いに好意を抱き始めていたにも関わらず、それを遮ってまで無理矢理結んだ婚約が、こんな結果になってしまったから……。
それを詫びるためか、両親はすぐに侯爵家と話し合い……。
オーレンが伯爵家を訪れた。と言う流れだ。
侯爵家からすれば、そんな都合の良い話があるかと、怒ってもいいようなものだが、二人の関係性は知っていたので、広い心で受け入れることに。
「どうだろう。こうして手を繋いで……。森で深く呼吸をする。それだけでも僕は幸せな気持ちになるよ」
「……私もです」
二人は見つめ合った。
すでに、リゼッタの瞳は潤んでいる。
これまで過ごしてきた公爵令息との差がありすぎて、心臓が落ち着かない。
本来恋愛というのはこういうものだったのだと、脳が突然思い出して混乱している。
「私、その……。えっと……」
「良いよ。無理に何かを言おうとしなくて」
「……これだけは、言いたいのです」
「……うん。じゃあ、ゆっくりね」
オーレンが、包み込むように、リゼッタの手を握った。
リゼッタは深呼吸をして……。
オーレンを見上げた。
「……好きです。ずっと、あなたのことが」
リゼッタが勇気を出して言葉を放った瞬間、風が強くなった。
「あっ」
その風に煽られるように、リゼッタがよろめく。
オーレンが、すぐにリゼッタの体を抱き止めた。
予期せぬ展開で、二人は抱きしめ合うような形になる。
「……オーレン様っ」
二人の顔が近い。
お互いに真っ赤になっていた。
「ご、ごめんよ……。突然だったから」
「問題ありません。……もう少し、このままで」
「良いのかい?」
「当然です」
二人は抱きしめ合い、しばらくの間無言だった。
お互いの呼吸と、風の音だけが聞こえてくる。
もう一つ、心臓の音さえ聞こえてしまっているのではないかと、リゼッタは不安になっていた。
しかし、それはオーレンも同じである。
お互いに、これまでの人生で経験したことのないほどの胸の高鳴りを感じながら、次の言葉を必死で探している。
「あの……」
先に声を発したのは、オーレンの方だった。
「僕も、君のことが好きだよ」
抱きしめ合ってから、まだ言っていないことを思い出したのだ。
思わずリゼッタは笑ってしまった。
お互いの体が離れる。
真っ赤な顔であることも構わずに……。見つめ合う。
「これからどうぞ、よろしくお願いします」
「あぁ。……二人で、幸せな時間を過ごそう」
こうして、婚約破棄をされたリゼッタは……。
本来あるべき正しい形で、オーレンと婚約を結び直した。
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