大統領は風俗嬢（全37話）

第1章

第14話 情報収集

　 ともかく情報収集が始まった。全世界の情報を集めるなんて途方に暮れるな、と思っていたら、それは拍子抜けするほど簡単だった。

　宇宙の衛生が指定した場所をモニターに映し出してくれて、怪しいところが金色に光るので、その場所をスケルトンスコープなるもので覗いて中の行動を観察するのだ。

　「こんな便利なシステムがあったなら、とっくに情報収集できたんじゃないんですか」

「いや、このシステムができたのは最近なんだ」

「最近っていつですか」

「この星の時間で先月」

「なら、先月からやればよかったんじゃ・・・」

「いや、他の星も使ってるから、いつでも使えるわけじゃないんだ。大王が見つかったんで、先に回してもらえたんだよ。それに操作を覚えるのに時間がかかってね。ははは」

　笑っているけど、操作はスマホよりずっと簡単だったし、大王が見つかったからっていうなら早すぎる。ごまかしてるけど、また楽しいことに夢中で任務を後回しにしてたんだね、まったく。その間に泣いてる女の子が世界中にいっぱいいるんだよ。責任取れえーーーーーーーーーーーーー！。

「まあ、全世界となるとさあ、時間も体力もいるし」

　確かにシステムが光らせた場所は2万か所。でも機能をありったけ使って、全員で全力で挑めば1カ月で終わるとシステムが計算ではじき出している。

「ってことは、先月からやっていれば今頃終わってたんですよね。」

「まあ、僕たちも人間の体だからね、人間としての仕事もあるし」

いや、私はもともと人間じゃ。仕事もしてるよ！

　もう、この組織の人間ってみんなこんな間抜けなの？　だったらほかの星も心配だよ。

「あ、ほかの星はそんなに誘惑ないんで大丈夫です。この星が特別なんですよ。悲しみや苦しみの成分が多い分、喜びや楽しみの成分も同じだけあってバランスを取っているんです。でも無配慮に悲しみ苦しみを増大させる勢力はバランスをくずすので阻止するために僕たちが働いています。」

　ああ、心読まれた。この能力だけは優秀みたい。っていうか、あんたたち誘惑に弱すぎだろ！理性を持て、理性を！バランス保つはずのあんたたちが悲しみや苦しみ増やしてんだろ。バカ！

「いやあ、もともと誘惑がないところで生きてたから理性っていう概念もなかったんだよね。だから、欲望に素直」

　また心読まれたし、ああ、素直という言葉がこんなに罪悪を内に秘めていると人生で初めて知った。へこむ"(-""-)"

　ともあれ、光った場所2万か所をスコープで覗き、それをAIが分析して2000カ所にまで減った。

　その中でこの前みたいに緊急なところはピックアップして、利子ちゃんが遠隔操作チームに連絡して、被害者を救出してもらっている。

　が、目的は根本解決。組織を元からぶっ壊すこと。緊急なケースの処理は利子ちゃんに任せて3人+龍で本格的に始動するよ。