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Mission 12*協力者
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しおりを挟む「俺は末吉さんの指示に従いました。けど、徐々に誤差が大きくなって、このままじゃSIINAは申告漏れや脱税の疑いをかけられてしまう。そう思って、末吉との会話を録音するようになりました。最終的には、それが決め手になって末吉と別れ、俺はSIINAを辞めたんです」
圭がコーヒーをすすり、私もカップに口をつけた。
「その、末吉との会話の録音はまだ持っていますか?」
圭の問いに、竹井さんが頷く。パーカーのポケットからUSBメモリを出し、テーブルに置いた。
「どう使うかはお任せします。俺のことは気にしないでください」
「ありがとうございます」と言って、圭はUSBメモリを手に取った。
「もう一つ聞きたいんですけど、末吉と織田さんが知り合いだと知っていますか?」
「え?」と聞き返し、竹井さんは数秒考えて言った。
「織田さんて……SIINAの?」
「はい」
私は用意しておいた写真を竹井さんに差し出した。
「これ……いつのですか?」
写真は末吉と織田さんが腕を組んでラブホテルから出て来る姿を捉えていた。
「二週間ほど前です」
「そんな……」
竹井さんは信じられないというように、写真を凝視していた。
「知らなかったんですね?」
私に写真を返す。
「はい。けど、多分俺のせいです」
「どういうこと?」と聞いたのは、奈津さん。
「織田さんに好意を持たれて困っていると……末吉に話したことがありました」
「なるほど……。織田さんが言っていました。『竹井さんは織田さんを好きになれば良かったのに』と言ってくれた男がいると。きっと、その男に竹井さんは三浦さんに遊ばれていると吹き込まれて、信じたんだと思います。織田さんはその男のことを『太一くん』と呼んでいました」
初めて聞いた話だった。
圭が織田さんと二人で会い始めて、私からどこに行ったとかどんな話をしたとか聞いたことがない。
聞きたくないから。
自分で言いだした癖に……。
月曜日、圭と織田さんが一緒にいる姿が、『あの時』と重なった。
私と悟之さんが付き合い始めたきっかけになった光景――。
圭に会いたくて実家に帰る途中、圭が彼女と腕を組んで歩いているのを見てしまった。
圭には私の代わりがいる。
そう思うと悲しくて、苦しくて、惨めになった。その数日後に、私は悟之さんと出会った。
悟之さんと付き合っていた一年間、一度も実家に帰らなかったけれど、圭からの連絡は一度もなかった。
それが、寂しかった。
圭が織田さんと並ぶ姿を思い出す度、胸が苦しくなる。圭を好きだと言えず、セフレの自分の身の程を思い知り、打ちのめされていたあの頃を思い出す。
今の自分はセフレなんかじゃないと確かめたくて、何度も圭を求めた。
自分で言いだした癖に……。
今の私には嫉妬を隠しきる余裕もない。
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