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Mission 20*誓い
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しおりを挟むあづみが立ち上がった。伊織の隣に座り、興味津々に覗き込む。
指輪はまだ箱に入ったまま、俺の手の中にあった。
俺は箱を開け、指輪を取り出した。伊織の左手を手に取り、薬指にはめる。数時間前に測ったばかりだから、ぴったり。
「これ……」
伊織が指輪から俺に視線を上げた。
「サイズがあって良かったよ」
ジュエリーショップで伊織が凝視していたピンクダイヤの指輪。
ショップを出る時に、伊織の目を盗んで取り置きを頼んでおいた。幸運なことに、在庫の一つが伊織のサイズだった。
伊織の目に涙が浮かぶ。
「泣いてばっかだな」
「圭が……泣かすんじゃない――」
「可愛いー! 古賀さんに似合うね」
いつの間にか永田もそばに来て、あづみと二人で指輪をまじまじと見ている。
「めちゃくちゃ高そう……」
「芹沢ってそんな給料もらってんの?」と、誰かが聞く。
「バカ。天下のT&Nだぞ? 当たり前だろ」
「いいなぁ……」
「永田、指輪にヨダレ垂らすなよ」
「ヨダレなんて出てない!」
「垂らしそうなほどガン見してるから」
「気に入った?」
指輪を見て呆けている伊織の耳元で、聞いた。伊織が頷く。
「ありがとう……、圭」
「お礼にこれ、書いてくんない?」
俺はショルダーバッグから封筒を取り出した。中から折りたたんだ紙を取り出す。
婚姻届。
伊織が記入する欄以外は、記入済み。
「これ――――!」
用紙を広げて、伊織は目を丸くした。
証人の欄には、俺の父さんと蓮さんの名前。
「昨日、サイン貰って来たんだ。俺の親も蓮さんも喜んでくれたよ」
「え? 何? ここで書くの?」
あづみがテーブルのグラスや皿をよけて、伊織の前を開ける。
「あ、布きん取って!」
手早くテーブルを拭く。
「伊織?」
用紙を見つめたまま、動かない。
「芹沢。お前、焦り過ぎなんだよ」と、長谷川がため息交じりに言った。
「古賀。書いたら役所まで全力疾走されるから、今すぐ書く必要ないぞ?」
「え? けど、今日の日付書いてあるよ?」
「は? マジ?」
「お前、今日出せなかったら書き直しじゃん」
「だから! 今日出すんだよ」
「え?」と、伊織がようやく顔を上げた。
「ちょうどお前の誕生日だしさ、いいかなと思って……。しかも、大安だぞ?」
「古賀さん、今日誕生日なの? おめでとー!」
「そういう問題かよ」
「そういう問題なんだよ!」
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