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6.女子会
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「わかんないよ? わかんないけど、男の人って……そうなのかも?」
私は、フォローにならないフォローを入れた。
千尋があきらの手を払い除ける。
「それは、麻衣の経験?」
「経験……っていうか……」
「鶴本くんに言われたの?」
「言われた……というか……」
さなえじゃなくても、こんな話は恥ずかしい。
「もうっ! ハッキリ言っちゃいなさい」
千尋の一声に、もう誤魔化せないと覚悟を決めた。
千尋は曖昧なのが、嫌いだから。
「鶴本くんが……私の匂いのついたものがあったら、いい夢見れそうだって……言ってた……か……ら……」
覚悟を決めても、しどろもどろになってしまう。
「例えば?」
「え?」
「鶴本くんに麻衣の服が欲しいって言われたの?」
とりあえず、首を振る。
「じゃあ、なに?」と、千尋の猛攻は止まらない。
「シー……ツを――」
「なに?」
「シーツ!」
最早、やけくそだ。
「はっ!? 麻衣のシーツが欲しいって言ったの? そんなん、使い道は――」
「千尋! 声がデカい!」
そばにいた店員さんにジロリと見られた。
「一昨日、鶴本くん家に泊まったの。シてないよ!? ――けど、シーツは洗っちゃダメだって言われて――」
「使うから?」
「――じゃなくて!」
千尋の露骨な表現に、顔が熱くて仕方がない。
「ああ。『いい夢』を見れそうだから、だっけ?」
頷く。
「まあ、確かに『いい夢』だよね」
「そうは言うけど!」と、辛辣な物言いの千尋に、私は反撃した。
「千尋はないの? 寂しい時とか、好きな人の服を抱き締めて眠ったりしちゃうこと!」
「……」
千尋が黙る。
あるんだ……。
「試してみる価値はあるかも……ね?」
千尋から恋人のことは聞いたことがない。ないけれど、いるんだろう。
今度、絶対聞き出す!
けど、まずは、さなえ。
「とりあえず、やってみよう! さなえ」
「けど、反応なかったら?」と、ここまで言ってもさなえは後ろ向き。
「それは、その時に考えよ? 美容室に行ってさっぱりしてさ、普段着てるパーカーとかカーディガンとか、うっかり忘れちゃったみたいに置いとくの。次の日にはわかるじゃない? 大和がそれに触れたのか」と、私は言った。
「それか、『パーカー置き忘れた』とか言って、大和の部屋に行っちゃえば? で、くっだらない話でもしてさ」と、あきら。
「そうそう」と、千尋が頷く。
「ま、とりあえず! 美容室行って、さっぱりしよ。それだけで、気分も変わるよ」
三時間後。
私たちの作戦は、早くも半分が成功した。
あきらが送ったメッセージに既読が付くや否や、有り得ない速さで大和がさなえを迎えに来た。
こりゃ、次の飲み会では二人目を妊娠したと報告を受けるかも!?
きっと、あきらと千尋もそう思ったはず。
車に乗り込むさなえは、嬉しそうだった。
車を見送った私たち三人は、一仕事を終えた安堵と達成感でいっぱいだった。
何となく、三人してスマホを見て、それから、解散した。
私は、フォローにならないフォローを入れた。
千尋があきらの手を払い除ける。
「それは、麻衣の経験?」
「経験……っていうか……」
「鶴本くんに言われたの?」
「言われた……というか……」
さなえじゃなくても、こんな話は恥ずかしい。
「もうっ! ハッキリ言っちゃいなさい」
千尋の一声に、もう誤魔化せないと覚悟を決めた。
千尋は曖昧なのが、嫌いだから。
「鶴本くんが……私の匂いのついたものがあったら、いい夢見れそうだって……言ってた……か……ら……」
覚悟を決めても、しどろもどろになってしまう。
「例えば?」
「え?」
「鶴本くんに麻衣の服が欲しいって言われたの?」
とりあえず、首を振る。
「じゃあ、なに?」と、千尋の猛攻は止まらない。
「シー……ツを――」
「なに?」
「シーツ!」
最早、やけくそだ。
「はっ!? 麻衣のシーツが欲しいって言ったの? そんなん、使い道は――」
「千尋! 声がデカい!」
そばにいた店員さんにジロリと見られた。
「一昨日、鶴本くん家に泊まったの。シてないよ!? ――けど、シーツは洗っちゃダメだって言われて――」
「使うから?」
「――じゃなくて!」
千尋の露骨な表現に、顔が熱くて仕方がない。
「ああ。『いい夢』を見れそうだから、だっけ?」
頷く。
「まあ、確かに『いい夢』だよね」
「そうは言うけど!」と、辛辣な物言いの千尋に、私は反撃した。
「千尋はないの? 寂しい時とか、好きな人の服を抱き締めて眠ったりしちゃうこと!」
「……」
千尋が黙る。
あるんだ……。
「試してみる価値はあるかも……ね?」
千尋から恋人のことは聞いたことがない。ないけれど、いるんだろう。
今度、絶対聞き出す!
けど、まずは、さなえ。
「とりあえず、やってみよう! さなえ」
「けど、反応なかったら?」と、ここまで言ってもさなえは後ろ向き。
「それは、その時に考えよ? 美容室に行ってさっぱりしてさ、普段着てるパーカーとかカーディガンとか、うっかり忘れちゃったみたいに置いとくの。次の日にはわかるじゃない? 大和がそれに触れたのか」と、私は言った。
「それか、『パーカー置き忘れた』とか言って、大和の部屋に行っちゃえば? で、くっだらない話でもしてさ」と、あきら。
「そうそう」と、千尋が頷く。
「ま、とりあえず! 美容室行って、さっぱりしよ。それだけで、気分も変わるよ」
三時間後。
私たちの作戦は、早くも半分が成功した。
あきらが送ったメッセージに既読が付くや否や、有り得ない速さで大和がさなえを迎えに来た。
こりゃ、次の飲み会では二人目を妊娠したと報告を受けるかも!?
きっと、あきらと千尋もそう思ったはず。
車に乗り込むさなえは、嬉しそうだった。
車を見送った私たち三人は、一仕事を終えた安堵と達成感でいっぱいだった。
何となく、三人してスマホを見て、それから、解散した。
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