【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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9.彼女の嫉妬と元カレとの再会

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「麻衣さんはさ、色々考え過ぎなんだよ。気持ちいいことに集中して、他のことなんか考えなきゃいいのに、色々考えるから気持ちが冷めてくんだよ」

「そう……かな」

「そうだよ!」

 俺は背を伸ばし、彼女と距離を取った。

「だから、もっと俺を好きになってよ」

「……」

「俺と触れ合うと何も考えられなくなる、ってくらい」

 俺は麻衣さんの頬にチュッとキスをした。

「気持ち良過ぎて思考がぶっ飛ぶくらい」

 瞼に、鼻にキスをする。

「俺が欲しくて堪んなくなるくらい」

 唇にキス。

 チュッと触れるだけ。

 何度も。

「俺はそれくらい、好きだよ」

 再び、麻衣さんをギュッと抱き締める。

「抱き合うだけでこんなんなるくらい、好きだよ」と言いながら、脚の間で存在感を露わにしたモノを、彼女の腹部に押し付ける。

「同じくらい俺を好きになってくれたら、麻衣さんもきっと抱き合うだけで濡れるよ?」

「それって、なんか、変態っぽい」

 ははは、と笑って、両手で麻衣さんの尻を鷲掴みにした。

「変態は変態でも、制服を着せたり鞭を持たせたりはしないから」

「なんか、喜べない」と、麻衣さんは不満そう。

 けれど、俺の手を払おうとはせず、俺の腕から逃れようともしない。それだけでも、進歩だ。

 昨夜は強引にし過ぎた。


 麻衣さんは嫌がりはしなかったが戸惑っていた。そして、あのまま続けても濡れなかったろう。

「ねぇ、鶴本くん」

「ん?」

 麻衣さんの尻の感触に夢中になっていると、麻衣さんが割と冷静な声で聞いた。

「元カノの話って、どんなことだったの?」

「え?」と、思わず尻を揉む手が止まる。

「飲み会がどうとかって言ってたから、誘われたのかと思って」

 鋭い。

 まさに、その通り。

 大学を卒業してからもグループでの飲み会は続けていて、俺はずっと欠席していた。他の奴らは別れても友達付き合いは続けていて、グループで恋人関係が続いているのは一組だけだった。

「元カノがいるから、飲み会に行ってなかったの?」

「……まぁ、それもある……かな?」

 出来れば、言いたくない。

 察してほしくて、尻揉みを再開した。が、すぐに断念することになった。

 両手で俺の胸を押し離し、麻衣さんが真剣な表情で俺を見上げる。

「なんか、誤魔化したよね」

「え? そんなこと――」

「誤魔化したよね!?」

「……はい」

 俺はため息をつきながら、髪を掻き上げた。

「引かれそうで言いたくないんだけど……」

「うん?」と、麻衣さんがじっと俺を見る。



 聞く気満々だ……。



 息子も俯いてしまった。

 腹を括って話すしかないようだ。
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