【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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9.彼女の嫉妬と元カレとの再会

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「つ……るもとく――」

「麻衣さん……」

 全身の血液が沸騰しそうだ。いや、沸騰したのかもしれない。

 身体が熱くて堪らない。

「好きだよ」

 彼女の舌に吸い付きながら、両手で胸を揉みしだく。昨夜も思ったが、重量が堪らない。指の間から溢れる柔らかさ。

「ちょ――、待って! 鶴も――!」

 麻衣さんに拒絶する隙を与えるまいと、唇を押し付ける。

 熱すぎる。暑すぎる。

 俺は自らシャツのボタンを外し、脱ぎ捨てた。次に、彼女の服の裾から手を忍ばせる。タンクトップか何かをスカートから引っ張り出して、素肌に触れた。

 ひんやりしていて気持ちいい。

 俺の手には収まりきらない乳房を揉み上げ、ツルッとした手触りのブラジャーを引き下げた。

 麻衣さんの身体がビクッと跳ねて、強張る。

 何も考えられなかった。

 胸の先端を摘まみ、捏ね、クリクリと弄る。

 麻衣さんは俺のキスから逃れようと身を捩るが、本気で嫌がっているようには思えず、俺はやめなかった。

 とにかく、熱い。

 勃ち過ぎて痛くて、ベルトを外す。僅かな刺激でも発射しそうだ。

 興奮し過ぎて、息が苦しい。

 飢えた獣のように、俺は浅い呼吸を繰り返していた。

「麻衣さん……」

「ちょ――っ! え!? きゃっ!」

 ラグの上に押し倒し、麻衣さんの両足首を掴んで大きく広げ、俺は下着越しにガチガチのモノを押し付けた。今なら、下着も突き破れそうだ。

「麻衣……」

「ストーップ!!」

 突然、色気のない声で制止され、ハッとした。

 ゴムを着けずに押し当てたせいで、麻衣さんの下着にシミを作ってしまった。

 服は乱れ、布越しに乳首が浮き上がっている。

「ごめ――」

 慌てて足から手を離すと、彼女は素早く起き上がって服を直した。

「ごめん……」

 妄想し過ぎて夢と現実の区別もつかずに襲い掛かるなんて、最低だ。

 それでなくても、麻衣さんはセックスに抵抗があるのに。

「ごめ……」

 情けなさすぎて、泣けてくる。

 気づけば俺は真っ裸で、靴下だけを穿いているという見た目も情けない。なのに、下半身だけは勘違いし続けて、鼻高々に直立していた。

 恥ずかしすぎて、麻衣さんの顔を見れない。本気で涙が溢れてきた。

「ごめん……」

 殴られても文句は言えない。

 一年待たずに振られても、縋る資格もない。



 もう、同僚にも戻れないかもしれない……。



「鶴本くん」

 麻衣さんの声に覚悟を決めた時、肩に柔らかくて暖かい感触を覚えた。それから、首筋にひんやりと冷たい感触。

「やっぱり! 熱、あるでしょ」

「……え?」

 麻衣さんは俺の肩の膝掛けの両端を引っ張り、ソファの上で俺の愚行を眺めていた猫を膝に落とした。俺は裸で猫を抱くという、更に情けない格好になった。

「ちょっと待ってて!」

 麻衣さんはパタパタと寝室に行き、数秒で戻ってきた。

「これ! 私のだけどオーバーサイズで買ったから、着れると思う」と言って、派手なオレンジのTシャツを頭から被せた。

 ようやく、自分に熱があると自覚した。抵抗する気力もない。

 俺はなされるがままにTシャツに手を通した。ぴったり。派手だが。

「やっぱり、昨日の夜寒かったよね」

 麻衣さんとぴったりくっついていたとはいえ、十一月も半ばになると夜は冷える。

「ほら! パンツ穿いて。流石に鶴本くんが穿けるのはないから、とりあえずベッドに入って?」

 そう言って視線を落とした麻衣さんは、困った顔で俺の下半身を凝視した。

「え……っと。コレは……どうしよっか?」
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