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14.サレたふたりは……
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聞かなくてもわかる。
彼女の全身が気持ちいいと、俺が欲しいと訴えている。
「光希……」
名前を呼ばれて悦んだ息子が涎を垂らすのを感じて、急がねばと思い、思い出した。
くそっ! ゴム、寝室だ。
ちゅうっと強めに吸い付くと、持ち上げている足が急に重くなった。
「あ……あぁ……っ!」
ビクンッと腰が跳ね、背を反らした夏依が身悶える。
唇を手で拭いながら顔を上げた。
「夏依、ベッドにいこう」
「ど……して?」
「ゴムが――」
「――ね、そのまま……シたことある?」
「え?」
夏依がずりずりとソファを下り、俺の膝の上に座った。
彼女の足に挟まれた息子が、温かな布団にくるまりたくてうずうずしている。
「夏依……」
「焦りすぎ……かな」
俺の首に手を回し、少し不安そうに問う。
焦りすぎ?
プロポーズを『マテ』できなかった俺に、そうだと言う資格なんてない。
それに、思ってもいない。
「どうかな。ただ、どうなるかはわかんねーぞ?」
「どういう――」
「――このまま挿れたことないからな。気持ち良すぎて暴走するかも」
夏依がわずかに腰を浮かす。
なぜか互いに目を閉じずに唇を重ねた。
互いの瞳に映る自分を見ながら、俺は片手で息子を入口まで誘導した。
隔てるものなく蜜口の温かさに触れただけで、全身に鳥肌が立つ。
「は……っ」と小さく吐いた息が、妻の口内に消えた。
彼女の腕にきゅっと力がこもり、俺が腰を掴むとゆっくり降下を始める。
二人の意識が深くつながっていくソコに集中していて、唇は重なっているだけ。
絡め合っていた舌の動きは止まり、唇の端からだらしなく涎がこぼれる。
「ん……」
妻の喉が鳴り、その瞳が閉じた。
たまらない。
夏依の反応も、温もりも、締め付けも。
彼女の腰がふるりと震え、止まった。
「は……っんっ」
もう少しですべてが包まれるところでの『マテ』は、人生で最も辛い『マテ』に思えた。
俺は限られたわずかな空間で、出来得る限り勢いよく、腰を上げた。
彼女の膣内を擦り上げ、最奥まで突き上げる。
「ふ……っう!」
見開いた彼女の瞳に、俺はどう映っているのか。
激しく揺さぶられるその瞳を覗くことはできないけれど、それは彼女も同じ。
きつく抱き合って腰を揺らし続けると、更なる快感を求めた夏依自身の腰が俺とは違う動きをし始めた。
俺の上下運動に彼女の前後左右への捻りが加わって、まさにぐちゃぐちゃ。
「あっ――! ん……っん!」
「ヤバッ――い……」
目の前で揺れる胸の尖りに食らいつくと、夏依が大きく仰け反った。
温かくて粘りのある蜜が絡みつき、腰を引くたびにそうさせまいと吸い寄せられるよう。
「夏依っ! も……っ……」
彼女の言った通りだ。
最速かなんて気にしている場合ではない。
綺麗に吹っ飛んだかと思われた理性がまだ、ほんの小指の爪の先ほど残っていて、このまま出していいのかと問う。
だが、答えを考える余裕と決断力はなく、あるのは欲望だけ。
とはいえ、こんな時でも独断はマズいと思うのは、理性や冷静さではなく、もはや習慣だろう。
「夏依! 出すぞ」
聞いた。一応。
「あ……っ! あぁ……」
答えらしい答えはないが、聞くには聞いた。
そして、覚悟ならある。
叱られる覚悟?
違う。
子供を持つ覚悟?
ある、だが違う。
コレでデキたらしばらく『マテ』か――っ!?
「みつ――っ! イ――ッ!!」
先に達したのは、夏依。
渦潮に吞まれたのは、俺。
抗えるはずがない。
「く――っ!」
激しい脈動と共に新妻の胎内を俺で染めていく。
溢れ出た白濁が垂れてきて、冷たい。
「これ――」
肩や胸を上下させながら、夏依がやっとのように絞り出した言葉の先をじっと待つ。
「――きじょーいじゃない……」
初めて、セックス直後に声を上げて大笑いした。
彼女の全身が気持ちいいと、俺が欲しいと訴えている。
「光希……」
名前を呼ばれて悦んだ息子が涎を垂らすのを感じて、急がねばと思い、思い出した。
くそっ! ゴム、寝室だ。
ちゅうっと強めに吸い付くと、持ち上げている足が急に重くなった。
「あ……あぁ……っ!」
ビクンッと腰が跳ね、背を反らした夏依が身悶える。
唇を手で拭いながら顔を上げた。
「夏依、ベッドにいこう」
「ど……して?」
「ゴムが――」
「――ね、そのまま……シたことある?」
「え?」
夏依がずりずりとソファを下り、俺の膝の上に座った。
彼女の足に挟まれた息子が、温かな布団にくるまりたくてうずうずしている。
「夏依……」
「焦りすぎ……かな」
俺の首に手を回し、少し不安そうに問う。
焦りすぎ?
プロポーズを『マテ』できなかった俺に、そうだと言う資格なんてない。
それに、思ってもいない。
「どうかな。ただ、どうなるかはわかんねーぞ?」
「どういう――」
「――このまま挿れたことないからな。気持ち良すぎて暴走するかも」
夏依がわずかに腰を浮かす。
なぜか互いに目を閉じずに唇を重ねた。
互いの瞳に映る自分を見ながら、俺は片手で息子を入口まで誘導した。
隔てるものなく蜜口の温かさに触れただけで、全身に鳥肌が立つ。
「は……っ」と小さく吐いた息が、妻の口内に消えた。
彼女の腕にきゅっと力がこもり、俺が腰を掴むとゆっくり降下を始める。
二人の意識が深くつながっていくソコに集中していて、唇は重なっているだけ。
絡め合っていた舌の動きは止まり、唇の端からだらしなく涎がこぼれる。
「ん……」
妻の喉が鳴り、その瞳が閉じた。
たまらない。
夏依の反応も、温もりも、締め付けも。
彼女の腰がふるりと震え、止まった。
「は……っんっ」
もう少しですべてが包まれるところでの『マテ』は、人生で最も辛い『マテ』に思えた。
俺は限られたわずかな空間で、出来得る限り勢いよく、腰を上げた。
彼女の膣内を擦り上げ、最奥まで突き上げる。
「ふ……っう!」
見開いた彼女の瞳に、俺はどう映っているのか。
激しく揺さぶられるその瞳を覗くことはできないけれど、それは彼女も同じ。
きつく抱き合って腰を揺らし続けると、更なる快感を求めた夏依自身の腰が俺とは違う動きをし始めた。
俺の上下運動に彼女の前後左右への捻りが加わって、まさにぐちゃぐちゃ。
「あっ――! ん……っん!」
「ヤバッ――い……」
目の前で揺れる胸の尖りに食らいつくと、夏依が大きく仰け反った。
温かくて粘りのある蜜が絡みつき、腰を引くたびにそうさせまいと吸い寄せられるよう。
「夏依っ! も……っ……」
彼女の言った通りだ。
最速かなんて気にしている場合ではない。
綺麗に吹っ飛んだかと思われた理性がまだ、ほんの小指の爪の先ほど残っていて、このまま出していいのかと問う。
だが、答えを考える余裕と決断力はなく、あるのは欲望だけ。
とはいえ、こんな時でも独断はマズいと思うのは、理性や冷静さではなく、もはや習慣だろう。
「夏依! 出すぞ」
聞いた。一応。
「あ……っ! あぁ……」
答えらしい答えはないが、聞くには聞いた。
そして、覚悟ならある。
叱られる覚悟?
違う。
子供を持つ覚悟?
ある、だが違う。
コレでデキたらしばらく『マテ』か――っ!?
「みつ――っ! イ――ッ!!」
先に達したのは、夏依。
渦潮に吞まれたのは、俺。
抗えるはずがない。
「く――っ!」
激しい脈動と共に新妻の胎内を俺で染めていく。
溢れ出た白濁が垂れてきて、冷たい。
「これ――」
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「――きじょーいじゃない……」
初めて、セックス直後に声を上げて大笑いした。
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