107 / 182
12.逃避行、結ばれる夜
10
しおりを挟む蜜口に指よりもずっと太くて熱いモノを押し当てられ、足の指がキュッとシーツを掴む。
上下に擦られる。
いつ挿入ってくるのかと、緊張が高まる。
「痛かったら、殴ってくれ」
「え?」
「もう……っ、優しくできる気がしない」
両手で腰を掴まれると同時に、身体の中心に彼が侵入してくる。
「ん……っ、は……ぁ……」
めりめりと柔肉を押し開いて奥へと突き進む。
正直、痛かった。
一度だけ修平さんとシた時は、こんなに痛まなかった。
痛みを感じるほど奥に到達する前に、彼が想い人を抱いているという錯覚から覚めてしまったから。
眉をひそめ、痛みに耐えながらも見上げると、私と同じく眉をひそめて苦しそうに息を吐く悠久の悩まし気な表情が目に入った。
悠久も痛いのだろうか。
聞きたくて、でも声が出なくて、私は彼に手を伸ばした。
上体を起こしている彼の顔までは届かなくて腕を掴むと、パッと彼の瞳が私を映した。
「痛い?」
私が聞きたかったことを、彼が聞いた。
私は小さく首を振る。
「悠久の方が……痛そう」
私の言葉に、彼が目を見開き、ハハッと笑った。
「気持ちいいんだよ」
「でも――」
「――良すぎて、少しでも楽の膣内にいたくて、耐えてた」
「そんな――」
「――けど、もう、ちょっと……無理かも」
何が無理なのか聞く前に、彼が腰を揺らし始める。
「楽――っ」
小刻みに揺さぶられ、けれど、きっと時間にすると一分もないくらいで悠久は「うっ」と声を漏らし、動きを止めた。
私の膣内で、悠久が震えているのがわかった。
覆い被さるように私に身体を寄せる彼の肩を抱き締める。
お互いの鼓動が聞こえるほどぴったりと抱き合う。
夢を見ているようだった。
七時間前まで、悠久の姿を一目でも見たいと願うだけだった。
それが、今は、彼と身体を繋げている。
死んでもいい、と思った。
本気で、思った。
この幸せに包まれて死にたい、と。
涙がこめかみを伝う。
明日のことなんて、どうでもいいと思った。
誰に咎められても、構わない。
悠久と一緒なら、いい。
地獄でも、いい。
「楽……」
肩に、首に、悠久の口づけが落とされる。
顎に、頬に。
「悠久……」
彼の指が私の涙を拭う。
「もう、離さないから」
揺らいでいた視界が晴れる。
鼻先が触れ合うほど近くで私を見下ろす悠久の瞳も、涙に揺れていた。
彼の涙をすくうように、口づけた。
「もう、離れない」
互いの瞳を見つめたまま、キスを交わした。
目を閉じて、次に目を開けたら夢から醒めてしまうんじゃないかと怖かった。
その夜、悠久は何度も私を抱いた。
デキなかったなんて嘘のように、何度も。
「間宮楽になって」
声が枯れるほど喘がされて、意識が遠のく直前に、悠久が言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる