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1章 白き貴公子と黒き皇帝との出会い
1-8 小さい飛竜
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サンテス王国とクエド帝国の間には険しい山岳地帯、その山々の間には大きな川が流れている。
遠くから眺める景色ということならば、その辺りは美しいが、自分の足で山を越えていけとなると別の話。
過酷の一言に尽きる。
空中散歩というのをルーシェは飛竜ボボに乗せてもらって高頻度でやっていたが、行くことができるのはその大きな川の手前まで。
川を越えてしまうと、領空侵犯としてクエド帝国の竜騎士隊が速攻で飛んでくると言われていた。
問答無用で捕まえられ、二度と祖国の地には帰れないとも。
嘘か誠か、誰も試してみたことはないので真偽のほどはわからない。
クエド帝国は敵国ではないが、許可なく入国した者を許さない。
ボボが痛い目に遭わされるのはルーシェも本意ではないので、試そうとも思わなかった。
自然による国境。
もし越えることができるのなら、どういう世界があの先には待っているのだろう。
あのどこまでも濃い青い空の下では。
サンテス王国もクエド帝国以外の他国にも接している。
そちらの国々との関係は良好なので、ルーシェも何度か飛竜でお邪魔していた。
陸地では隣国であってもクエド帝国だけは違う国を経由して行かなければ馬車が通れないので、なかなか関わる機会がなかった。
「こちらが竜騎士の訓練場の一つです。ここにいるのは、主に駆け出しの竜騎士とまだ竜に認められていない見習ですね」
「そうですか」
高い壁に囲まれている広い訓練場には、飛竜も人も多い。
竜舎にいるような統制をされた動きを見せるものは少ない。
訓練場と言いながらも、まだ幼い飛竜たちの遊び場でもあるのだろう。
特に乗り手を決めていない飛竜は遊んでいたり寝ていたりと自由に行動している。
見習たちはその飛竜たちと背に乗せてもらえるくらいに仲良くならなければならない。
飛竜に乗せてもらえなければ、見習は見習のままで竜騎士にはなれない。
剣や槍、魔法等の腕があるのなら、他の道を進んだ方が良い。
飛竜との縁がなかっただけ、と言い訳もつくのだから。
ただ、諦めきれない人たちはどこにでもいる。
クエド帝国では竜騎士こそが花形。
公式行事でも、戦争でも、竜騎士こそが名誉も喝采もすべて奪い取る。
「、、、あの、宰相殿。仕事は大丈夫なんでしょうか。激務だとお聞きしましたが」
ルーシェを案内しているのは、宰相トト・ジニルである。
反対にルーシェの方が気にする。
宰相は皇帝と同じくらい仕事が忙しいと言われているにもかかわらず。
飛竜ボボもこの二人の後ろからちょこちょこついてきている。
「ほんの数時間くらいは問題ないですよ。せっかく我が国を訪れているルーシェさんにクエド帝国の宣伝をしておかなければいけませんからねえ」
「それはありがたいことですが、お仕事を優先していただいて大丈夫ですよ」
恐縮過ぎるとルーシェの顔に書いてある。
食事や休憩の時間や公式行事等の最中とか何かのついでということならば、同じ時を過ごしてもさほど気にならないが、この案内する行為は確実にルーシェのためだけに時間を割いている。
「ふむ、私より皇帝陛下の方が嬉しかったと。陛下のスケジュールは三日後に調整がつきますので、少々お待ちくださいね」
「あ、いえいえ、宰相殿の案内も嬉しいですが、あんな過密スケジュールでよく過労で倒れないなと皆から聞いておりますから」
皆って竜舎にいる方々でしょうか、とトトは推測する。
いろいろな部門とも交流を持たせているが、やはり毎日ルーシェが顔を出す竜舎の面々と仲良くなるのは当然だ。
皇帝と違い、ルーシェは気さくだ。
謎の立ち位置になってしまったが、話しかけるし、話しかけやすい雰囲気を背負っている。
それに。
宰相さんはその考えを中断して、別の思考を開始する。
彼はありがたいことに三男である。
次男なら長男が亡くなったときに国に返してくれと言われる可能性は高いが、三男ならばその心配もまずない。
彼の飛竜を返してくれと公爵家が言う危険性もあるが、それにはすでに手を打っている。
飛竜ボボはすでにルーシェ・シルコット名義である。
シルコット公爵家の飛竜ではない。
宰相トト・ジニルがサンテス王国に手をまわした後だ。
もちろんクエド帝国が関わっていることを隠した上で。
はーい、宰相さんが怖いことはわかりましたね。
皆さんも喧嘩を売ったらダメですよ。
地獄に落ちるよりひどい目に遭わされちゃいますからね。
彼は計画だけでなく、行動できちゃう男ですから。
宰相さんはルーシェをクエド帝国に抱き込むことを企てている。
宰相さんに目をつけられることが、ルーシェにとって不運かというとそうでもないが。
今のところ利害は一致しているので、特に問題はない。
クエド帝国は今の皇帝さんになってから戦争も内戦もしていないのだから。
現在、ルーシェはサンテス王国の貴族学校の最高学年に在籍している。
卒業時には就職先が決まっていることが望ましいが、この冬季休暇の時点でまだ決まっていない。
だからこそ、彼は渡りの船のクエド帝国にやってきた。
縁談がまとまらなくとも、クエド帝国で就職してもらいたい、というのが宰相さんの率直な希望である。
ルーシェの人格が破綻していないことがわかったら、余計に欲しい人材である。
けれど、急ぎ過ぎて事を仕損じても困る。
「、、、三日後?」
宰相さんの言葉の意味にようやく気づくルーシェ。
「えっと、あの、三日後、陛下のスケジュール調整って言ってましたが」
「はい、数時間ほどですが、ルーシェ殿はクフィール皇帝陛下とのデートをお楽しみください」
ボンッとルーシェの顔が耳まで赤くなった。
すぐに顔を横にブンブン振る。
デートと言いながらも、周囲には、という展開が想像ついたようだ。
「え、えっと、あの、護衛とか従者とかいっぱいついてくるんですよね」
「いえいえ、最強の皇帝陛下に護衛は必要ないので、二人きりでお忍びで城下街でも案内させましょう」
「ふ、二人きりで」
しどろもどろに返すルーシェ。
宰相さんはにっこり笑っている。
宰相さん、ルーシェのウブな反応を面白がっちゃあいかんよ。
天罰が下っちゃうよ。
「ボボっ、」
緊張感のあるルーシェの声が自らの飛竜に指示を出す。
ボボは素早く動く。
ズドンっ。
ボボが飛んできた飛竜の小さい個体を抱きとめている。
そのまま飛んでいれば、宰相さん目掛けて突進していたコースだ。
小さくても飛竜。
飛竜同士ならじゃれ合ったくらいだが、人が突進を受けたら重傷で済めば良い方だろう。
宰相さんもさすがに息を飲む。
背を向けていて対処どころか反応すらもできなかった。
冷や汗がブワッと出てくるが、まだ調教されていない小さな飛竜がいる場で気を抜いていた自分が悪いとすぐさま切り替えた。
「ありがとうございます。助けていただきまして」
「御礼はボボに。え、イジメたらダメって言っているってこの人に伝えて?」
「いや、イジメていたわけではないのですが、そう見えましたか」
宰相さんはぶつかろうとしてきた小さい飛竜に頭を下げる。
からかうのも場所を選びましょうね、宰相さん。
長年のつきあいになると、飛竜と乗り手は意志を通じ合うこともできる。
それに、飛竜にとっては人の身分など関係ない。
人の上下関係もどうでもいい。
自分の守りたいものを守るだけだ。
「、、、おや」
宰相は少し離れてから小さい飛竜を視界に入れる。
今、行動に動いたのは、飛竜ボボではなかった。
ボボはルーシェとつながりがあるので、イジメられているわけではないということは理解できていたはず。
つまり、ボボは動かない。
ボボが動かないのならば、自分が動くっ、でこの飛竜は動いたのか?
「私を守ろうとしてくれたのか、ありがとう。嬉しいよ」
ルーシェがにこにこと笑顔を浮かべると、ボボに抱き締められていた小さい飛竜の動きはおとなしくなる。
ボボが小さい飛竜を解放する。
小さい、と言っても、ルーシェの背くらいの大きさはある。重量は相当なものだ。
もしかして、ルーシェはこの飛竜にも乗れる?
クエド帝国の竜騎士が同時に二頭以上の飛竜に乗れた例はない。
前の飛竜が死亡、怪我や竜舎を去った等の理由により、次の飛竜に竜騎士が挑戦し認められる、という例はあるのだが。
飛竜は他の飛竜に自分の乗り手を乗せたがらないと言われている。
嫉妬である可能性も高いが、飛竜の嫌がることをやってしまえば、自分の飛竜にも逃げられる。
とにかくそれは非常に稀有な行動である。
「え、乗っても良いの?ボボ、乗せてもらっていい?」
鞍をつけていない飛竜だが、ルーシェは違う飛竜にも跨った。
小さい飛竜は嬉しそうにルーシェを乗せている。
ほんの数分だったが。
訓練場にいた全員が目撃者となった。
ま、ボボにしてみれば、力関係がしっかりしているからこそだ。
本妻は僕だからねっ、僕の指示には従うんだよっ、みたいな。
それにルーシェにしてみれば、自分の世話する飛竜はボボだけであると思っているから。
遠くから眺める景色ということならば、その辺りは美しいが、自分の足で山を越えていけとなると別の話。
過酷の一言に尽きる。
空中散歩というのをルーシェは飛竜ボボに乗せてもらって高頻度でやっていたが、行くことができるのはその大きな川の手前まで。
川を越えてしまうと、領空侵犯としてクエド帝国の竜騎士隊が速攻で飛んでくると言われていた。
問答無用で捕まえられ、二度と祖国の地には帰れないとも。
嘘か誠か、誰も試してみたことはないので真偽のほどはわからない。
クエド帝国は敵国ではないが、許可なく入国した者を許さない。
ボボが痛い目に遭わされるのはルーシェも本意ではないので、試そうとも思わなかった。
自然による国境。
もし越えることができるのなら、どういう世界があの先には待っているのだろう。
あのどこまでも濃い青い空の下では。
サンテス王国もクエド帝国以外の他国にも接している。
そちらの国々との関係は良好なので、ルーシェも何度か飛竜でお邪魔していた。
陸地では隣国であってもクエド帝国だけは違う国を経由して行かなければ馬車が通れないので、なかなか関わる機会がなかった。
「こちらが竜騎士の訓練場の一つです。ここにいるのは、主に駆け出しの竜騎士とまだ竜に認められていない見習ですね」
「そうですか」
高い壁に囲まれている広い訓練場には、飛竜も人も多い。
竜舎にいるような統制をされた動きを見せるものは少ない。
訓練場と言いながらも、まだ幼い飛竜たちの遊び場でもあるのだろう。
特に乗り手を決めていない飛竜は遊んでいたり寝ていたりと自由に行動している。
見習たちはその飛竜たちと背に乗せてもらえるくらいに仲良くならなければならない。
飛竜に乗せてもらえなければ、見習は見習のままで竜騎士にはなれない。
剣や槍、魔法等の腕があるのなら、他の道を進んだ方が良い。
飛竜との縁がなかっただけ、と言い訳もつくのだから。
ただ、諦めきれない人たちはどこにでもいる。
クエド帝国では竜騎士こそが花形。
公式行事でも、戦争でも、竜騎士こそが名誉も喝采もすべて奪い取る。
「、、、あの、宰相殿。仕事は大丈夫なんでしょうか。激務だとお聞きしましたが」
ルーシェを案内しているのは、宰相トト・ジニルである。
反対にルーシェの方が気にする。
宰相は皇帝と同じくらい仕事が忙しいと言われているにもかかわらず。
飛竜ボボもこの二人の後ろからちょこちょこついてきている。
「ほんの数時間くらいは問題ないですよ。せっかく我が国を訪れているルーシェさんにクエド帝国の宣伝をしておかなければいけませんからねえ」
「それはありがたいことですが、お仕事を優先していただいて大丈夫ですよ」
恐縮過ぎるとルーシェの顔に書いてある。
食事や休憩の時間や公式行事等の最中とか何かのついでということならば、同じ時を過ごしてもさほど気にならないが、この案内する行為は確実にルーシェのためだけに時間を割いている。
「ふむ、私より皇帝陛下の方が嬉しかったと。陛下のスケジュールは三日後に調整がつきますので、少々お待ちくださいね」
「あ、いえいえ、宰相殿の案内も嬉しいですが、あんな過密スケジュールでよく過労で倒れないなと皆から聞いておりますから」
皆って竜舎にいる方々でしょうか、とトトは推測する。
いろいろな部門とも交流を持たせているが、やはり毎日ルーシェが顔を出す竜舎の面々と仲良くなるのは当然だ。
皇帝と違い、ルーシェは気さくだ。
謎の立ち位置になってしまったが、話しかけるし、話しかけやすい雰囲気を背負っている。
それに。
宰相さんはその考えを中断して、別の思考を開始する。
彼はありがたいことに三男である。
次男なら長男が亡くなったときに国に返してくれと言われる可能性は高いが、三男ならばその心配もまずない。
彼の飛竜を返してくれと公爵家が言う危険性もあるが、それにはすでに手を打っている。
飛竜ボボはすでにルーシェ・シルコット名義である。
シルコット公爵家の飛竜ではない。
宰相トト・ジニルがサンテス王国に手をまわした後だ。
もちろんクエド帝国が関わっていることを隠した上で。
はーい、宰相さんが怖いことはわかりましたね。
皆さんも喧嘩を売ったらダメですよ。
地獄に落ちるよりひどい目に遭わされちゃいますからね。
彼は計画だけでなく、行動できちゃう男ですから。
宰相さんはルーシェをクエド帝国に抱き込むことを企てている。
宰相さんに目をつけられることが、ルーシェにとって不運かというとそうでもないが。
今のところ利害は一致しているので、特に問題はない。
クエド帝国は今の皇帝さんになってから戦争も内戦もしていないのだから。
現在、ルーシェはサンテス王国の貴族学校の最高学年に在籍している。
卒業時には就職先が決まっていることが望ましいが、この冬季休暇の時点でまだ決まっていない。
だからこそ、彼は渡りの船のクエド帝国にやってきた。
縁談がまとまらなくとも、クエド帝国で就職してもらいたい、というのが宰相さんの率直な希望である。
ルーシェの人格が破綻していないことがわかったら、余計に欲しい人材である。
けれど、急ぎ過ぎて事を仕損じても困る。
「、、、三日後?」
宰相さんの言葉の意味にようやく気づくルーシェ。
「えっと、あの、三日後、陛下のスケジュール調整って言ってましたが」
「はい、数時間ほどですが、ルーシェ殿はクフィール皇帝陛下とのデートをお楽しみください」
ボンッとルーシェの顔が耳まで赤くなった。
すぐに顔を横にブンブン振る。
デートと言いながらも、周囲には、という展開が想像ついたようだ。
「え、えっと、あの、護衛とか従者とかいっぱいついてくるんですよね」
「いえいえ、最強の皇帝陛下に護衛は必要ないので、二人きりでお忍びで城下街でも案内させましょう」
「ふ、二人きりで」
しどろもどろに返すルーシェ。
宰相さんはにっこり笑っている。
宰相さん、ルーシェのウブな反応を面白がっちゃあいかんよ。
天罰が下っちゃうよ。
「ボボっ、」
緊張感のあるルーシェの声が自らの飛竜に指示を出す。
ボボは素早く動く。
ズドンっ。
ボボが飛んできた飛竜の小さい個体を抱きとめている。
そのまま飛んでいれば、宰相さん目掛けて突進していたコースだ。
小さくても飛竜。
飛竜同士ならじゃれ合ったくらいだが、人が突進を受けたら重傷で済めば良い方だろう。
宰相さんもさすがに息を飲む。
背を向けていて対処どころか反応すらもできなかった。
冷や汗がブワッと出てくるが、まだ調教されていない小さな飛竜がいる場で気を抜いていた自分が悪いとすぐさま切り替えた。
「ありがとうございます。助けていただきまして」
「御礼はボボに。え、イジメたらダメって言っているってこの人に伝えて?」
「いや、イジメていたわけではないのですが、そう見えましたか」
宰相さんはぶつかろうとしてきた小さい飛竜に頭を下げる。
からかうのも場所を選びましょうね、宰相さん。
長年のつきあいになると、飛竜と乗り手は意志を通じ合うこともできる。
それに、飛竜にとっては人の身分など関係ない。
人の上下関係もどうでもいい。
自分の守りたいものを守るだけだ。
「、、、おや」
宰相は少し離れてから小さい飛竜を視界に入れる。
今、行動に動いたのは、飛竜ボボではなかった。
ボボはルーシェとつながりがあるので、イジメられているわけではないということは理解できていたはず。
つまり、ボボは動かない。
ボボが動かないのならば、自分が動くっ、でこの飛竜は動いたのか?
「私を守ろうとしてくれたのか、ありがとう。嬉しいよ」
ルーシェがにこにこと笑顔を浮かべると、ボボに抱き締められていた小さい飛竜の動きはおとなしくなる。
ボボが小さい飛竜を解放する。
小さい、と言っても、ルーシェの背くらいの大きさはある。重量は相当なものだ。
もしかして、ルーシェはこの飛竜にも乗れる?
クエド帝国の竜騎士が同時に二頭以上の飛竜に乗れた例はない。
前の飛竜が死亡、怪我や竜舎を去った等の理由により、次の飛竜に竜騎士が挑戦し認められる、という例はあるのだが。
飛竜は他の飛竜に自分の乗り手を乗せたがらないと言われている。
嫉妬である可能性も高いが、飛竜の嫌がることをやってしまえば、自分の飛竜にも逃げられる。
とにかくそれは非常に稀有な行動である。
「え、乗っても良いの?ボボ、乗せてもらっていい?」
鞍をつけていない飛竜だが、ルーシェは違う飛竜にも跨った。
小さい飛竜は嬉しそうにルーシェを乗せている。
ほんの数分だったが。
訓練場にいた全員が目撃者となった。
ま、ボボにしてみれば、力関係がしっかりしているからこそだ。
本妻は僕だからねっ、僕の指示には従うんだよっ、みたいな。
それにルーシェにしてみれば、自分の世話する飛竜はボボだけであると思っているから。
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