【完結】★赤い月(作品251008)

菊池昭仁

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第13話

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 俺と才蔵、そして花蓮の三人は酒を飲みながら食事をしていた。


 「藤堂さんは噂以上に凄いのね? たった一人でここの三分の二のソルジャーを倒しちゃうなんて」

 花蓮は俺のグラスに赤ワインを注いでくれた。

 「コイツは世界最強の人間兵器だからな?」
 「これからどうするつもりだ?」
 「もう準備は出来ているんだ。後は中性子爆弾とお前が仲間になってくれたらすべての準備は整う。
 俺はあるルートから既に戦術核を2つ持っている。だが出来ることなら使いたくはない。都市全体を破壊してしまうからな。
 だから義彦、お前も新しい世界の再生に加われ。頼む、この通りだ」

 才蔵は俺に頭を下げた。

 「藤堂さん、この国はもう死に瀕しているわ、あなたのチカラが必要なのよ」
 「取り敢えず計画を聞かせてくれ」
 「いいだろう、計画はこうだ。各方面隊の部隊長の6割は俺たちと運命を共にしてくれる同志たちだ。
 ある暗号が発せられると一斉に蜂起することになっている」
 「中には土壇場で裏切るヤツもいるだろう?」
 「それは既に想定済だ。重要なのは政府の腐った要人どもの暗殺を一度に実行して命令系統を遮断することにある」
 「在日米軍と中国、ロシア、韓国、北朝鮮はどうする?」
 「アメリカは心配無用だ。寧ろ同士討ちを歓迎するだろう」
 「中国とロシアは?」
 「手出しは出来んよ」
 「どうしてだ?」
 「日本には核があることを彼らはよく知っているからだ」
 「日本に核があるというのか?」
 「お前も知っての通りだ。正確には「ある」ではなく、一日あれば北京もモスクワも攻撃出来るということだ」
 「ICBM」
 「そうだ、大陸間弾道核ミサイル。そのためにJAXAと原発が温存されて来たわけだからな」
 「クーデターが成功したらどうするつもりだ?」
 「もちろん暫定軍事政権を樹立して新しい我が国独自の憲法を制定する。その初代総理大臣には俺が就任する。そしてその後を義彦、お前に継いでもらいたい」

 俺はそっとグラスを置いた。

 「わかった、協力はするが俺は政治家には向かない男だ。お前のサポートにまわるよ」
 「ありがとう、義彦。俺たちでこの腐りきった日本を変えるんだ。神の国、日本にな?」

 俺達三人はナイフで親指を切り、その血をグラスに注ぎ、それをワインで割って回し飲みをした。
 決意を固めるために。

 
 
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