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第9話
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その日の夕方の酒盛りで、聖沢はいつになく饒舌だった。
「川村、俺はな、乳の垂れた妊娠して腹の皮がたるんだ女が好きでな?」
「そうですか」
(こいつ、マリアとやったな?)
(俺はマリアを落としたぞ)
それはまるでレア物のポケモンカードを手に入れた子供の自慢のようであった。
クルマを運転しながら俺はマリアにカマをかけてみた。
「お前、会長と寝たな?」
「何よいきなり。そんなわけないでしょう?」
「会長が自慢していたぞ。お前とヤッたとな?」
「・・・、会長が嘘を吐いているのよ」
「垂れた乳、妊娠してたるんだ腹が好きだとも言っていた。しかも克明にな?」
「・・・」
俺は夜の国道で強くアクセルを踏み込んだ。
「やらせないとあなたをクビにすると脅されたのよ。抱かれたらあなたを自分の後継者に指名してやると言われたの。だから、だから寝た。
私、謝らないわよ、だってあなたのためにジジイに抱かれたんだから」
「お前とはお別れだ」
「しょうがないわね。いいわよそれで。どうせ結婚もしてくれないあなたとはただのセフレだから」
どうやらマリアは会長に乗り換えたようだった。俺は近くのネットカフェの駐車場にクルマを停めた。
「降りろ」
「家まで送ってよ」
「薄汚え売春婦は俺のクルマには乗せねえ。ここで降りろ」
マリアはクルマを降りる時、ドアをバンと閉めた。
「大っきらい!」
おそらくマリアは会長に電話をして迎えに来てもらうつもりだ。
何か新しい大きな宝を掴むためには今持っているどちらか片方の手にある宝を手放さなければならない。なぜなら手は二本しかないからだ。
俺は聖沢から暗黒街の帝王の座を奪い盗り、自分が王に君臨することにしたのである。
午後三時過ぎ、会長のレクサスが本社ビルにあるのを確認して俺は5階にある会長室へと非常階段を昇って行った。
10分前にマリアがビルに入って行ったのはすでに確認済みだった。
丁度今頃、別室にある寝室で、ふたりはお楽しみの真っ最中の筈だ。
俺は会長室の前から会長に電話を掛けた。
「川村です。そちらにマリアがお邪魔していませんか?」
「いや、来てねえけどどうした?」
聖沢はマリアの股間をまさぐりながらそう返事をした。
「マリアが男と浮気したらしいんです。今からその男を殺りに行くつもりです。もちろんマリアも一緒に」
「早まるな川村、何かの間違いじゃねえのか? それにマリアちゃんはお前とは何の関係もねえと言っていたぞ」
「念を押しますが、マリアは会長のところじゃないんですね?」
「当たり前だ!」
マリアと会長の顔が強張った。
「わかりました。お忙しいところお騒がせしました。これから心当たりを探してみます」
すると思った通り、5分ほどしてマリアが会長室から飛び出して来た。
そこで仁王立ちしている俺を見てマリアが凍りついていた。
慌てて服を着たのでブラウスのボタンがブラまで掛けられていなかった。
俺はマリアの髪の毛を鷲掴みして会長室に怒鳴り込んだ。
「聖沢! よくも俺の女に手を出しやがったな!」
俺は持っていたトカレフを天井に向かって2発、威嚇射撃をした。
「待て! 川村! 俺が誘っんじゃねえ! マリアが俺を誘ったんだ!」
青ざめる聖沢に俺は歩み寄り、額に拳銃を押し当てた。
「ここでみんなで死にましょうや会長。俺とアンタとマリアと3人で」
「止めろ川村! 何でもする、何でもするから拳銃を下ろせ!」
「マリア、お前がこの爺さんをたぶらかしたのか?」
「違うわ! 私を誘惑したのは会長よ!」
「まあどっちでもいいんだ、もうそんなことは。会長、引退して下さいよ、今すぐ」
「・・・」
「出来ないんですか? それなら死んでもらうしかありませんねえ」
「わかった、わかったから助けてくれ! 頼む! 俺は今日限り引退する!」
俺は下の駐車場で待っていた黒竜会の若頭の黒田に電話を掛けた。
「若頭、話はつきました」
すぐに若頭と組員5人が会長室にやって来た。
「会長、引退なさるそうで。今日までお疲れ様でした」
「お前ら俺をはめやがったな!」
「人聞きの悪い事は言わないで下さいよ、会長。いや、聖沢さん。アンタも高齢だ、世代交代ですよ」
「川村あ!」
俺と黒田は静かに銃口を聖沢に向けた。
「どうします聖沢さん。頭がいいですか? それとも心臓? 川村を後釜にしますよねえ?」
「わかった、す、好きにしろ」
俺のクーデターはあっけなく成功した。
すべて準備をしてのことだった。その日から俺は暗黒街の帝王になった。
俺を裏切ったマリアはファッションヘルスへ落とすことにした。
「お前は死ぬまで男のチンポでもしゃぶっていろ」
「お願いだから許して」
俺はマリアの頬を平手打ちした。
「王になった俺に無礼な女だ」
その夜、俺は緊急幹部会を招集した。
「川村、俺はな、乳の垂れた妊娠して腹の皮がたるんだ女が好きでな?」
「そうですか」
(こいつ、マリアとやったな?)
(俺はマリアを落としたぞ)
それはまるでレア物のポケモンカードを手に入れた子供の自慢のようであった。
クルマを運転しながら俺はマリアにカマをかけてみた。
「お前、会長と寝たな?」
「何よいきなり。そんなわけないでしょう?」
「会長が自慢していたぞ。お前とヤッたとな?」
「・・・、会長が嘘を吐いているのよ」
「垂れた乳、妊娠してたるんだ腹が好きだとも言っていた。しかも克明にな?」
「・・・」
俺は夜の国道で強くアクセルを踏み込んだ。
「やらせないとあなたをクビにすると脅されたのよ。抱かれたらあなたを自分の後継者に指名してやると言われたの。だから、だから寝た。
私、謝らないわよ、だってあなたのためにジジイに抱かれたんだから」
「お前とはお別れだ」
「しょうがないわね。いいわよそれで。どうせ結婚もしてくれないあなたとはただのセフレだから」
どうやらマリアは会長に乗り換えたようだった。俺は近くのネットカフェの駐車場にクルマを停めた。
「降りろ」
「家まで送ってよ」
「薄汚え売春婦は俺のクルマには乗せねえ。ここで降りろ」
マリアはクルマを降りる時、ドアをバンと閉めた。
「大っきらい!」
おそらくマリアは会長に電話をして迎えに来てもらうつもりだ。
何か新しい大きな宝を掴むためには今持っているどちらか片方の手にある宝を手放さなければならない。なぜなら手は二本しかないからだ。
俺は聖沢から暗黒街の帝王の座を奪い盗り、自分が王に君臨することにしたのである。
午後三時過ぎ、会長のレクサスが本社ビルにあるのを確認して俺は5階にある会長室へと非常階段を昇って行った。
10分前にマリアがビルに入って行ったのはすでに確認済みだった。
丁度今頃、別室にある寝室で、ふたりはお楽しみの真っ最中の筈だ。
俺は会長室の前から会長に電話を掛けた。
「川村です。そちらにマリアがお邪魔していませんか?」
「いや、来てねえけどどうした?」
聖沢はマリアの股間をまさぐりながらそう返事をした。
「マリアが男と浮気したらしいんです。今からその男を殺りに行くつもりです。もちろんマリアも一緒に」
「早まるな川村、何かの間違いじゃねえのか? それにマリアちゃんはお前とは何の関係もねえと言っていたぞ」
「念を押しますが、マリアは会長のところじゃないんですね?」
「当たり前だ!」
マリアと会長の顔が強張った。
「わかりました。お忙しいところお騒がせしました。これから心当たりを探してみます」
すると思った通り、5分ほどしてマリアが会長室から飛び出して来た。
そこで仁王立ちしている俺を見てマリアが凍りついていた。
慌てて服を着たのでブラウスのボタンがブラまで掛けられていなかった。
俺はマリアの髪の毛を鷲掴みして会長室に怒鳴り込んだ。
「聖沢! よくも俺の女に手を出しやがったな!」
俺は持っていたトカレフを天井に向かって2発、威嚇射撃をした。
「待て! 川村! 俺が誘っんじゃねえ! マリアが俺を誘ったんだ!」
青ざめる聖沢に俺は歩み寄り、額に拳銃を押し当てた。
「ここでみんなで死にましょうや会長。俺とアンタとマリアと3人で」
「止めろ川村! 何でもする、何でもするから拳銃を下ろせ!」
「マリア、お前がこの爺さんをたぶらかしたのか?」
「違うわ! 私を誘惑したのは会長よ!」
「まあどっちでもいいんだ、もうそんなことは。会長、引退して下さいよ、今すぐ」
「・・・」
「出来ないんですか? それなら死んでもらうしかありませんねえ」
「わかった、わかったから助けてくれ! 頼む! 俺は今日限り引退する!」
俺は下の駐車場で待っていた黒竜会の若頭の黒田に電話を掛けた。
「若頭、話はつきました」
すぐに若頭と組員5人が会長室にやって来た。
「会長、引退なさるそうで。今日までお疲れ様でした」
「お前ら俺をはめやがったな!」
「人聞きの悪い事は言わないで下さいよ、会長。いや、聖沢さん。アンタも高齢だ、世代交代ですよ」
「川村あ!」
俺と黒田は静かに銃口を聖沢に向けた。
「どうします聖沢さん。頭がいいですか? それとも心臓? 川村を後釜にしますよねえ?」
「わかった、す、好きにしろ」
俺のクーデターはあっけなく成功した。
すべて準備をしてのことだった。その日から俺は暗黒街の帝王になった。
俺を裏切ったマリアはファッションヘルスへ落とすことにした。
「お前は死ぬまで男のチンポでもしゃぶっていろ」
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俺はマリアの頬を平手打ちした。
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その夜、俺は緊急幹部会を招集した。
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