【完結】 魔導書の守護者は悪役王子を護りたい

Shizukuru

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59約束の答え②※

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「──余裕ですね」
「そ、そんなのない」
 レライエが一度ベッドから降りて、一気に全てを脱ぎ去った。放り投げたジャケットやズボンが皺にならないか、不安になってしまう。

「ふ、服が……皺になっちゃうよ?」
「それが、余裕だと言うんです」
「でも……緊張して、どうしていいのか分からないから。動いた方がいいの?レイが、僕に幻滅するかも知れない。僕は、人じゃないから……きっと、もっと相応しいがレイに出来るかも知れない。ごめ……ん。怖いんだ」

 レライエが唱えた魔法が服をハンガーに掛けると、すぐにベッドの上に戻って来てセラフィーレを抱きしめた。

「いい加減にして下さい。ずっと、会った時からずっと、セーレだけを追いかけて思って来たんです。セーレ以外は要らない。貴方がいたから、王妃や神殿への恨みも飲み込んでこれた。俺が人として存在出来るのは、セーレが俺に向けてくれる愛情のおかげだ。浄化なんてせずに、この国が滅んでしまっても、昔の俺なら王家や神殿の自業自得としか思わなかったはずです」

 レライエが子供の頃から受けて来た扱い。頑張っても認めてもらうことなく、失ってきた大切な人達。

「僕は、レライエを助けたくてこの世界に来たんだ。誰よりも大切で、愛おしいから……嫌われたくないし、出来るのなら一緒に生きて生きたい」

 言葉にすれば、もう隠す事など出来ない想いがあふれてしまう。

「レイ……好き。大好き」
「セーレ、愛してる」

 レライエの方が泣きそうな顔をしていた。思わず身を乗り出してレライエの唇を奪う。それに応えるように、レライエが深く求めてきてくれる。

 今は、先のことなんて考えずに好きな人を受け入れたい。

「なら……レイの好きにして」
「知ってるでしょう?俺も初めてなんです。なるべく優しくしたいけど、痛かったら言って」
「うん」
 二人で微笑みあった後にレライエに身を任せる。先程の性急さがなくなり、ゆっくりと確かめるかの様にキスが鎖骨から胸へと降りてくる。臍を舐めた後、先端を指で触れられて「アッ……ん」と声がもれて恥ずかしくて手で口を塞いだ。

 クチュ、クチュと静かな室内に水音が響く、何かを唱えたレライエの指が蕾に触れてヌチュと滑りをまとい入って来た。中を擦られ、思わず太ももすり寄せようとしてもレライエがそれを阻む。広げられる両足が足の指先まで甘く痺れて、白い蜜がいやらしくビュクッと溢れていく。羞恥と快感の間にいて、声が抑えきれない。
「あ、あ……やぁ。んん。レ……ィ、ア。やめッああああんん」

「水魔法の応用です。痛くないと思うのですが?」
「──み、ず……ま、ほう?」
「すみません。痛くないように少し媚薬も……痛み止めとして混ぜました」
「びやく……?」
 また指が増えて、セラフィーレの体を暴いていく。知らなかった快感とレライエの優しい表情が、嬉しくてふにゃりと笑う。

「こんなに蕩けた可愛い姿を他の誰にも見せないで」
「レイ……も、いいから、さいごまでし……て。消えちゃ……わないよ、に」
 レライエの熱いそれが、セラフィーレの解かされた蕾をゆっくりと広げていく。息が止まりそうになると、レライエの声がした。
「セーレ。息を吐いて。力を抜いて」
 声も出せずに、コクンと頷いて、息を吐きその圧迫感を必死に逃した。グッ、グッと押し入って来たものが、ようやく止まりレライエも息を吐く。

「──はいったの?」
「やっと、セーレと繋がった」
「嬉しい」
「本当に凶悪だな……」
「え?」
「セーレに、魔力をあげる」
 腰をがっしり掴まれて、埋め尽くされていた場所から一気にレライエのものが引き抜かれた。
「ひっ」
 次の瞬間には、一気に突き立てられる。
「ああああ」
 ズンと下腹部に重みがかかるが、掴まれていて逃げ場所がない。徐々に速度が上がり、抽挿を繰り返えされて、リネンを必死に握り締めた。

「セーレ、その手を俺の首に回して。爪を立てても構わない。もっと俺に触れて」
 抱き起こされてベッドの上で対面で抱き合っているが、レライエの杭に貫かれたままなので、落ちないよう首に抱きついた。揺らされれば、自身の重みで更に奥深く入ってくるのを止められない。

「あ、あ。いやぁ、やだ。ふかすぎ……いやああああ」

 思わず手の指先に力が入り、必死に落ちないようしがみつく。それをレライエは許してくれない。腰を引き落とされると、お腹に温かいものが溢れていく。温かい魔力が体を巡っていくのが分かった。
 レライエの甘い吐息が漏れて、ドクンドクンと脈うつ音までも聞こえそうだった。でも、もう意識を保てそうもなくて、身を委ねる。「レイ……も、むり……ごめん、ね」徐々に音も聞こえなくなり、瞼を閉じた。



「──セーレ、手放してあげられない。義兄上の方が、セーレを幸せに出来たとしても。誰にも渡さない」


 長い一日がようやく、終わりの夜を迎えた。



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