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29.接触
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自身の力を過信し過ぎたようだ。
1度目は、本人の魔術により逃げられた。
2度目は、全く気配を感知する事が出来ない相手の腕の中に抱かれて消えてしまった。
叶夢はアシェルとは別人だと思うが、雰囲気は似ている。
ガルシア王家に現れると言う、深緑とワインレッドに変色する瞳の持ち主だ。
王家の秘匿された血族の可能性が高い、それが俺の見解だ。
髪色は黒だった。
アシェルは、ミルクティー色のダークブロンド。
違うのに重なっていく──
気になって頭から離れない。
叶夢は最初に遭遇した時と2度目では、同じ顔をした別人のようだった。1人ならば二重人格なのか?2人いるのか?
だが、欲しい──
あれだけの魔術師だ。
身分など関係ない。王家の者だとしても。追われているのなら、尚更手に入れたい。
帝国は実力主義だ。
俺の側近でも、護衛でも側に置く理由付けはどうとでもなる。魔力の相性の良さも都合が良い。
ガルシア王国を落ち着かせて、こちらに取り込めばいい。
その為には、やはりアシェルの足取りを追う必要がある。
アシェルの側近には、ディランという護衛魔術騎士がいる。かなりの実力者として名を馳せていたはずだ。
そして、
魔術師がもう1人付いているとの噂がある。影、暗部の凄腕魔術師だ。
ならば───
それこそ、『ノア』ではないのか?
アシェルに帝国でまとめて面倒見てやると言ってもいいのだが…
使える奴は大歓迎だ。
ディランもノアも、叶夢も。
それにしても、叶夢とノアは、恋人同士なのか?
少し、印の反応が薄くなっている。
あれからノアが対応したのかもしれない。
結局、叶夢とノアに接触するしか、アシェルの足取りは追えないのかもしれないな。
考えが、上手くまとまらないな。
汗を流せば、頭もスッキリするかもしれない。
ああ、もうこんな時間なのか…。
浴場へと移動する。
手伝いをしようと侍従が側に来たが、1人で良いからと扉の外へと追い出す。
結界を張り、全てを脱ぎ捨て湯を浴びる。
確保すべき優先順位は、アシェルだ。
だが──
他人の物かもしれない叶夢を欲しがるなんて、翻弄され過ぎだろう。
突然、温度が低下する。
なん、だ?
お湯が氷り始めた。
自身の体温を守るため
《保護》
で防御する。
「変な印つけられて、迷惑しているんだよね。」
「悪趣味だな。裸を襲うなら、寝所の方が嬉しいんだが?」
全く気配がしないとは…叶夢こそ暗部の者なのか?
だが──そっちから接触してくれるなら、ありがたい。
「俺に会いたかったのか?」
「どうだろう?借りた物は、返さないと気がすまないんだよね。お礼付きで。」
初めて会った時の方だな。
「叶夢とお前は、別人なのか?」
「そうだよ。叶夢を簡単に渡したくないからね。
王子さまは、あんまり強く無さそうだよね?」
「俺の評価は、最悪のようだな?叶夢じゃないなら、名前を教えてくれないか?」
《拘束》
速攻魔術で叶夢の拘束を試す。
「ふふ。ざ~んねん。卑怯者に名乗る名前はないんだ。」
叶夢の姿が消えて蝶が溢れ出す。
「幻影か?」
「じゃあね。ちゃんと返したからね。
あーもう。心配症なんだから。」
そう言って、空間に手をのばす。
空間が歪む。
くそ。また、アイツか?ノアなら、顔をみてやる。
《解除》
空間が広がり、そこに1人の男が現れた。
「その髪、顔───アシェル?」
ミルクティー色のダークブロンド。
ワインレッドの瞳。
「アシェル、生きていたのか!」
アシェルは、黙ったまま表情を変える事なく叶夢では無いと言い張る男の腕を掴み抱き寄せる。
「心配し過ぎ。」
「アシェル!クロスウェルに来い!ノアもディランも、もちろん叶夢も帝国でお前達を引き受ける。」
「王子さま。風邪ひくよ。俺達に構う時間あったら、自分の国しっかり見た方がいいよ?」
「おいっ!」
《閃光》
「なっ」
目が開けられない───
《空間移動》
また逃げられたのか?
だが…印を探索するだけだ。
「反応なしだと!」
腕に異界の蝶の印が付けられていた。
こっちの居場所が、逆に筒抜けにされたって事か?
「やられたな。」
アシェルとノアが同じ人物なのか?幻影か?
叶夢は、何者なんだ。
本当に、こちらを煽ってくるな。
叶夢──
まずは、お前から捕まえてやる。
1度目は、本人の魔術により逃げられた。
2度目は、全く気配を感知する事が出来ない相手の腕の中に抱かれて消えてしまった。
叶夢はアシェルとは別人だと思うが、雰囲気は似ている。
ガルシア王家に現れると言う、深緑とワインレッドに変色する瞳の持ち主だ。
王家の秘匿された血族の可能性が高い、それが俺の見解だ。
髪色は黒だった。
アシェルは、ミルクティー色のダークブロンド。
違うのに重なっていく──
気になって頭から離れない。
叶夢は最初に遭遇した時と2度目では、同じ顔をした別人のようだった。1人ならば二重人格なのか?2人いるのか?
だが、欲しい──
あれだけの魔術師だ。
身分など関係ない。王家の者だとしても。追われているのなら、尚更手に入れたい。
帝国は実力主義だ。
俺の側近でも、護衛でも側に置く理由付けはどうとでもなる。魔力の相性の良さも都合が良い。
ガルシア王国を落ち着かせて、こちらに取り込めばいい。
その為には、やはりアシェルの足取りを追う必要がある。
アシェルの側近には、ディランという護衛魔術騎士がいる。かなりの実力者として名を馳せていたはずだ。
そして、
魔術師がもう1人付いているとの噂がある。影、暗部の凄腕魔術師だ。
ならば───
それこそ、『ノア』ではないのか?
アシェルに帝国でまとめて面倒見てやると言ってもいいのだが…
使える奴は大歓迎だ。
ディランもノアも、叶夢も。
それにしても、叶夢とノアは、恋人同士なのか?
少し、印の反応が薄くなっている。
あれからノアが対応したのかもしれない。
結局、叶夢とノアに接触するしか、アシェルの足取りは追えないのかもしれないな。
考えが、上手くまとまらないな。
汗を流せば、頭もスッキリするかもしれない。
ああ、もうこんな時間なのか…。
浴場へと移動する。
手伝いをしようと侍従が側に来たが、1人で良いからと扉の外へと追い出す。
結界を張り、全てを脱ぎ捨て湯を浴びる。
確保すべき優先順位は、アシェルだ。
だが──
他人の物かもしれない叶夢を欲しがるなんて、翻弄され過ぎだろう。
突然、温度が低下する。
なん、だ?
お湯が氷り始めた。
自身の体温を守るため
《保護》
で防御する。
「変な印つけられて、迷惑しているんだよね。」
「悪趣味だな。裸を襲うなら、寝所の方が嬉しいんだが?」
全く気配がしないとは…叶夢こそ暗部の者なのか?
だが──そっちから接触してくれるなら、ありがたい。
「俺に会いたかったのか?」
「どうだろう?借りた物は、返さないと気がすまないんだよね。お礼付きで。」
初めて会った時の方だな。
「叶夢とお前は、別人なのか?」
「そうだよ。叶夢を簡単に渡したくないからね。
王子さまは、あんまり強く無さそうだよね?」
「俺の評価は、最悪のようだな?叶夢じゃないなら、名前を教えてくれないか?」
《拘束》
速攻魔術で叶夢の拘束を試す。
「ふふ。ざ~んねん。卑怯者に名乗る名前はないんだ。」
叶夢の姿が消えて蝶が溢れ出す。
「幻影か?」
「じゃあね。ちゃんと返したからね。
あーもう。心配症なんだから。」
そう言って、空間に手をのばす。
空間が歪む。
くそ。また、アイツか?ノアなら、顔をみてやる。
《解除》
空間が広がり、そこに1人の男が現れた。
「その髪、顔───アシェル?」
ミルクティー色のダークブロンド。
ワインレッドの瞳。
「アシェル、生きていたのか!」
アシェルは、黙ったまま表情を変える事なく叶夢では無いと言い張る男の腕を掴み抱き寄せる。
「心配し過ぎ。」
「アシェル!クロスウェルに来い!ノアもディランも、もちろん叶夢も帝国でお前達を引き受ける。」
「王子さま。風邪ひくよ。俺達に構う時間あったら、自分の国しっかり見た方がいいよ?」
「おいっ!」
《閃光》
「なっ」
目が開けられない───
《空間移動》
また逃げられたのか?
だが…印を探索するだけだ。
「反応なしだと!」
腕に異界の蝶の印が付けられていた。
こっちの居場所が、逆に筒抜けにされたって事か?
「やられたな。」
アシェルとノアが同じ人物なのか?幻影か?
叶夢は、何者なんだ。
本当に、こちらを煽ってくるな。
叶夢──
まずは、お前から捕まえてやる。
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