【完結・R18】「いらない子」が『エロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話

たたら

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新しい出会い

45:恐怖すぎて疲れました

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宿に戻ったけど、
私は力を使い過ぎてヘロヘロだった。

バーナードに経緯を聞かれて
ヤツが…恐ろしいヤツが
井戸の中に見えたこと。

大群だったこと。

ヤツは恐怖を生みだすから
女神ちゃんの力で消そうと思ったことを
必死で伝えた。

マイクはあれらが<闇の魔素>
から生まれた魔獣みたいなもので
<闇>の力が弱かったから
気が付かなかったのではないか、
というような話をした。

「魔獣というよりも…
虫みたいだったしな」

なんてディランが言うので
ヤメテー!って叫んで
私はベットのシーツに潜った。

「ユウは虫が苦手だったんだな」

と、バーナードが
ベットの端に座って
私の頭をシーツの上から
優しく撫でてくれる。

「怖いもん。嫌だもん」

バーナードはそんな私を
ぽんぽん、と宥めてくれる。

「俺は井戸をもう一度
見てくるから…」

「うん。
あの水、ちゃんと調べてから
飲むようにしてね」

あんなのがいた場所の
水なんて飲めるわけない。

「あぁ、わかった。
ありがとな」

バーナードはそういって
立ち上がる。

「ユウを任せていいな」
ってたぶん、ディランと
マイクに言ったのだろう。

二人が返事をする声がして
ドアが開く音がする。

バーナードが
出て行ったのだろう。

寂しくなって、
私はシーツから顔を出した。

すると、マイクとディランの顔が
すぐそばにあって驚いた。

「ユウ様、彼がいなくて
寂しいのですか?」

って聞かれて、
言葉に詰まる。

「ユウには俺がいるから
安心していいぞ」

ディランが私の頭を撫でた。

そうだった。

ディランは神だった。

私はシーツから抜け出すと、
ディランの手を握る。

「ありがとう。
よろしくお願いしますー」

次にヤツがでたら、
ぜひ、ぜひ、退治してください。

頼りにしてます!

本気で祈ったら、
ディランがまた目を
見開いて固まっていた。

「ユウさま。
あれぐらいでしたら、
私でもできますよ?

私は一応剣も使えますし
<聖>魔法も得意ですからね」

マイクが私の手を
ディランの手から引き離した。

「マイクもできるの?」

「えぇ。もちろんです。
この身に変えても、
ユウさまをお守りします」

マイクも神~っ!

わーん!
と、私はマイクにしがみつく。

「ヤツだけはね、ダメなの。
どーしても、ダメなの。

怖いし、気持ち悪いし、
ゾゾゾって鳥肌が立つし」

「はい。
大丈夫です。

次からはユウさまの目に入る前に
必ず抹殺しますから」

頼りにしてます~っ。

ってマイクに泣きついたら
ディランにシーツごと抱き上げられた。

「俺も守ってやるぜ?」

マイクから急に引きはがされて
ビックリしたけれど。

ヤツから守ってくれるなら
こんなに心強いことは無い。

私は涙ながらにお礼を言う。

さっき力を使ってしまって
疲れ切ってるし
【器】の愛も随分減ったけど。

二人に挟まれていると、
少しづつ、また【器】に愛が
溜まっていくのがわかる。

「ディラン」

「ん?」

「マイク?」

「はい」

「ありがとう。だーい好き」

二人のおかげで
気分もだいぶ復活してきた。

旅も続けられそうだし、
二人がいるなら大丈夫だと思う。

うん。

大丈夫だ。

「あれ?
二人とも…どうしたの?」

何故か二人とも動かない。

マイクなんて顔が真っ赤だ。

「可愛いな、クソ」
って聞き取れないような
小さな声で何かを言ったディランも
心なしか顔が…いや、耳まで赤い。

ディランの腕が緩んだので
私は落とされまいと、
ディランの首にしがみつく。

「ディラン、落ちるー」

って言ったら、
ディランは慌てて私を
抱っこしなおしてくれた。

「安心したら、お腹すいたね」

もうお昼ごはんの時間のハズだ。

私がそういうと
マイクも、そうですね、と
頷いてくれた。

「何か買ってきましょうか。
それとも、街に出てみましょうか?」

私は考える。

面倒だし、クタクタだし、
正直、何か食べたらすぐに寝たい。

でも、井戸の状態も気になる。

井戸…。
随分と壊しちゃったなー。

「マイク」

「はい」

「あの井戸、
弁償したら、どれぐらい
費用がいると思う?」

私、お金持ってないんだよね。
どうしよう。

「弁償ですか?

そういった心配はいらないかと」

「なんで?」

「ユウさまは
井戸の水を復活させたのですから
多少壊れたぐらい、
些細なことです」

……多少じゃないと思うけど。

いいか。
今心配しても仕方ないし、
バーナードが戻ってきたら相談しよう。

私はあくびをかみ殺した。

「じゃぁ、なんか食べに行こう?」

疲れたし、動きたくないけど
きっとマイクもディランも
お腹がすいていると思う。

ちょっと買ってきて食べる、
とかじゃなくて、
がっつり食べたいんじゃないかと
思うのだ。

「大丈夫か?」

私が眠そうにしているからか
ディランが心配そうに聞いてくる。

「うん。
でも食べた後、寝ちゃったら
ごめんね?」

って先に言っておこう。

私がてへ、って笑ったら
ディランは
「まかしとけ」って笑ってくれた。

良かった。





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