【完結・R18】「いらない子」が『エロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話

たたら

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獣人の国

203:ディランの家族

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 扉をノックしたのは、私たちを
この部屋に案内してくれた侍従さんだった。

ディランと、ディランの家族が
応接室に集まったので来て欲しいと言う。

もちろん、否と言うわけがない。

私はマイクに靴を履かせてもらって、
侍従さんに連れて行ってもらうことにする。

マイクは私を抱き上げようとしたけれど
さすがに初対面の人と会うのに
それはダメだと遠慮した。

マイクは残念そうだったけど
次の機会にお願いね、と言うと
嬉しそうに頷いた。

だんだん、マイクの扱いが
わかってきたような気がする。

宮殿の柱は円柱で、
ギリシャの神殿みたいな雰囲気だった。

でも、装飾は乙女だ。

外観はアラブの宮殿ぽかったし、
女神ちゃんは何を思ってこの国の
文化を作ったのだろう。

次にあったら聞いてみたい。

たぶん「ユウの世界で可愛い物を
全部集めて取り入れた」とか
言われそうだけど。

報告、連絡、相談の重要性を
何度も教えたけれど、
次に女神ちゃんに教えるのは
協調性と調和だな、うん。

「こちらへ」と少し歩いたあたりで
侍従さんが大きな両開きの扉の前で止まった。

そして侍従さんがノックをすると
中から扉が開く。

「どうぞお入りください」

うやうやしく頭を下げる侍従さんに
お礼を言って私は部屋に入った。

マイクはぴったりと私の後ろをついて来る。

「おぉーっ」
と、私は小声で思わず声を出してしまった。

だって、目の前にはアラブの大富豪の部屋?みたいな
感じの部屋に、とても体格の良い人が座ってたから。

部屋には分厚い絨毯が敷いてある。
部屋の一番奥には雛壇のように少し高くなった場所があった。

その段の上には、毛並みの長いラグマットが敷いてあって
大きなクッションがいくつも重なり、
椅子を作っていた。

その真ん中に、精悍な顔立ちの40代後半ぐらいの
男性が座っている。

漫画に出てくる昔のアラブの王様の
ハーレムみたいだと思った。

でもハーレムじゃないと思う理由は
その男性の周囲にはディランと、
5人のディランよりも年上だろうけど
どの男性も筋肉がしっかりついた
強そうな人たちが並んでいたからだ。

顔立ちが全員似ているので
家族だとすぐにわかる。

「ユウ」

ディランが私を見てすぐに
名前を呼んだ。

そして私のそばに駆け寄り、
「俺の家族だ」と小声で言う。

そしてディランは私の背に
手を回して、男性たちに顔を向けた。

「父上、セイジョのユウと
隣国のマイクです」

いきなり紹介されて、
私はとまどったけれど
頭を下げて、ユウです、と名乗った。

マイクも名前と神官であることは
名乗ったけれど、家名は名乗らなかった。

国の立場など、今は関係がないと
示したのかもしれない。

「よくいらしてくれた、セイジョ殿。
私は、この国の王でディランの父のジュリオだ」

「父上、いきなり話しかけないでください。
国王は自ら話すことはなく、
側近のわれわれが話をすると決めたではないですか」

ディランの父……と名乗る国王陛下が
私に声を掛けてくれたと途端、
すぐに陛下の隣に立っていた側近と言う人が
国王陛下を窘める。

側近、というけれど、
どうみても家族にしかみえない。

「いいではないか。
ここは非公式の場でもあるし、
ずっと待ち望んでいたセイジョ殿が
来られたのだぞ?」

側近に叱られて、
しょんぼりする国王陛下は
どこか可愛かった。

「まったく、父上は国王なのですから
そこでふんぞり返っていればいいのです」

側近はそう言って、
私に向かって頭を下げた。

「あらためまして、
ようこそお越しくださいました。
私は側近のデビアンと申します。

そのの愚弟の一番上の兄になります。
末の弟が大変お世話になりました」

「い、いえ、そのディランには
いつも助けてもらって感謝してます」

初対面の人と話すのは緊張する。
しかもディランの家族だし、
粗相しないように気を付けねば。

デビアンさんは、改めて
ディランのお父さんの国王陛下、
そして残り4人の兄弟たちを紹介してくれた。

6人兄弟ってすごくない?
名前を聞いたけど、
全然覚えられなかった。

この宮殿は、王宮の端にある
離宮からした
王族の家族が住む場所らしい。

ディランの家族とは別に、
王様の兄弟の子どもとか、
親戚同士で住んでいるというので
集団生活が好きな人たちの
集まりなのかも?

とにかく、不思議な国というのが
正直な印象だった。

私の世話は、ディランと
デビアンさんがしてくれるらしい。

この国のこととか
色々聞きたいことはあるけれど
デビアンさんが、疲れているだろうから
今日は顔見せだけで
明日から、話を聞かせて欲しいと
提案してくれたので
私は素直に頷いた。

正直休みたかったしね。

でも、そこからすぐに別室に準備されていた
歓迎会と言う名の宴会に連れて行かれ、
何の肉かわかんないけど、
塩辛い焼いた肉とか食べて、
喉が渇いて飲んだのが何故かお酒で……。

よくわからないまま、
私はマイクに寄っかかって眠ってしまった。






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