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獣人の国
278:浴室で
しおりを挟む浴室に私の押し殺した声が響いている。
キモチイイが襲ってきて、声を押さえられない。
マイクは私の正面に膝立になっていて、
「声を我慢をせずともよろしいのに」
と言ったが、自分の声が恥ずかしすぎて
首を振ることしかできなかった。
指を動かすとキモチイイが沸き起こる。
樹幹のどこに触れたらキモチイイになるのか
どのように動けばいいのか、
私はマイクと一緒にそれを見つけていく。
与えられる快楽に流されて、
わけがわからなくなるのではない。
私が自分で快楽を求め、
生みだしているのだ。
私の、からだ。
それを確かめるように指を動かす。
自分で触れた場所から、
キモチイイが生まれる。
そんな当たり前のことに今まで気が付かなかった。
何度も誰かと肌を重ねたというのに。
私はせり上がってくる熱に、
さらに樹幹が固くなるのを感じた。
『蜜』が出る前兆なのかもしれない。
もしここで、あの甘い匂いが充満したら
また私は理性を無くし、『祝福』に
翻弄されるのだろうか。
それが嫌で、一瞬、動きを止める。
と、同時に、私の手を包み込むようにして
私と一緒に樹幹を扱いていたマイクも
動きを止めた。
「ユウさま?」
「そ……の」
何て言う?
『祝福』が発動するのが嫌だって言う?
でも女神ちゃんを敬愛しているマイクに
そんなことを言ってもいいのだろうか。
迷って視線を下に向けると、
私の樹幹のそばで……マイクの欲棒が
滾っているのが目に入った。
タオルで隠しているのだろうけど、
全く隠れていない。
私が動きを止めて下を見つめているので
マイクも私が何を見ているのか
気が付いたようだ。
「申し訳ありません。
ユウさまが……あまりにも
お可愛らしいので」
マイクが恥ずかしそうな顔をして
私から顔を少し背けた。
マイクが私から視線をずらすのも
珍しかったし、マイクのそんな顔を
見るのも初めてだと思う。
可愛い、と一瞬、思った。
「マイクも一緒にする?」
一人でキモチイイになっているので
申しわけないという気持ちもあったし、
マイクだけ放置というのも
良くないと思ったのだ。
だからこその、一緒にやる?
という言葉だったのだけれど。
マイクは驚いたように目を見開いた。
「だ、だって、マイクも辛いでしょ?」
そうだ。
私はいつも樹幹が固くなってたら
すぐに『祝福』が発動して
キモチイイに流されていたけれど。
樹幹が痛いほど固くなり、
脈打つような熱を持っている今、
私は何かを放出したくて
苦しいような、もどかしいような
そんな感じを味わっていた。
つまりマイクも同じなんだと思う。
「わ、私もマイクの、してあげる」
私は樹幹から手を離して
マイクの欲棒に手を伸ばした。
けれど、イスに座っていた私は
当たり前だけど手は届かない。
マイクは伸ばされた私の手に
さらに驚いたようで、
一瞬、身を後ろに引いた。
私はその動きにつられて、
椅子からずり落ちる。
それを正面からマイクが支えてくれた。
両脇の間に腕を入れて、
私を膝立の状態にして抱き寄せてくれたのだ。
熱く、固い欲棒が、私の樹幹に擦れた。
お互いに膝立になって
抱きしめ合っているからだろう。
身長差があるので、
マイクの欲棒と私の樹幹が
重なり合うことは無いけれど
それでも、マイクの欲棒の固さや熱を
感じることはできる。
マイクも私の樹幹に気づいたはずだ。
私を抱きしめたまま、
耳元に唇を寄せた。
「ユウさま、ではこのまま
少し動いても構いませんか?」
動く?
体を離してくれるのかと思って
頷いたら、ずり、っとマイクの欲棒が
私の樹幹を擦った。
思わず、喘ぎ声が出た。
驚くほどの快感を感じた。
樹幹から、蜜が零れるのがわかる。
私の様子にマイクは安心したのか
さらに私を抱き寄せた。
そしてゆっくりと腰を動かし始める。
マイクの熱くて固い欲望が
私の樹幹の裏側を何度も刺激する。
ズリズリと固い欲棒で擦られ、
時には欲棒と樹幹の位置がずれて
互いの腹や太ももに、
濡れた先端が押し当てられる。
快感と、もどかしさで、
私もつい腰を動かしてしまった。
そして思いつく。
二人で抱き合っているから
欲棒と樹幹が上手く重なって
擦ることができないのだと。
「こう……しよう?」
私はマイクから体を離して
私とマイクの身体の間に手を入れた。
「ユウさま?」
「ほら、こうしたら……」
私は欲棒と樹幹を手で重ねるように
包み込んで固定した。
私の手では、すべてを包み込むことはできないけど
これなら腰を動かしたら一緒に
扱くことができる。
勃ち上がった樹幹の裏側、
マイクの欲棒の裏側を擦り合わせて
キモチイイになれるに違いない。
私の手で樹幹と欲望の動く範囲が
固定されるので、腰を軽く動かすと
思った通り、物凄い快感が突き抜けた。
少し動いただけで私は腰が抜けたように
動けなくなってマイクにもたれかかる。
「では、私も」
マイクが私の手に自分の大きな手を重ねた。
「こうして一緒に、扱きましょう。
あぁ、確かに……悦い、ですね、ユウさま」
マイクが言いながら強めに腰を打ち付けてくる。
まるで私に酔うような声に、
私は物凄く満足していた。
いつもは私が流され、
キモチイイに翻弄されるのに、
今は私がマイクを翻弄しているみたいだ。
マイクが快感に震えながら動く様に、
私は嬉しくなって指を動かす。
このまま二人で快楽に溺れたい。
そんな気持ちで目の前のマイクの胸に
唇を押し当てると、マイクは指の動きも早めた。
あぁ、キモチイイ。
ずっと感じていたいと思ったけれど、
その終わりはすぐだった。
私の樹幹からせり上がってくる何を
我慢できなくなってしまって、
マイクと私の手の中で吐き出してしまったのだ。
しかも、出しても出しても止まらない。
「マイク……と、とま……らない」
蜜、なんだろうか。
透明だから尿でも精液でもないと思う。
でも甘い匂いもなかったので、蜜とも思えない。
狼狽える私の樹幹を自身の欲棒と共に
両手で包み込んでいたマイクは
私の吐き出す液をそのまま受け止めている。
「大丈夫、ユウさま。
おさまりましたよ?」
私の樹幹が柔らかくなり始めて
マイクはようやく樹幹から手を離した。
そして、私に大きな手のひらを見せ
ぺろり、と舐めた。
「いつもとは違う味がしますね」
なんて言われて、
私は顔を熱くしてマイクにしがみつくしかできなかった。
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