完結・転生したら前世の弟が義兄になり恋愛フラグをバキバキに折っています

たたら

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創造神の愛し子

149:ナイショのお出かけ

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 結局俺は、
クリムの家のタウンハウスに
行くことにした。

しかも、学園を早退して。

考えに考えたのだが、
おじいちゃん大神官とは
まずは一人で会って
話がしたいと思う。

俺の考えに共感してくれるのか
様子を見てみたいし、
そもそも神殿が何を考え
望んでいるのかを確認したい。

でも義兄を連れて行くと
ケンカ腰になるかも? だし、
そもそもルイは、前世では
宗教とかは嫌いなタイプだった。

困ったら神様に頼るより
自分で解決策を
探すのが好きだったのだ。

さすがにカミサマによって
この世界に来たのだから
カミサマ批判はしないだろうが
念には念をいれておいたほうがいいだろう。

学園が終わってからだと
俺が王宮にも行かず、
タウンハウスにも戻らないとなれば
また父が大騒ぎをするのは
目に見えている。

そこでナイショで行って、
ナイショで帰ってくる作戦を
取ることにしたのだ。

そうは言っても、
護衛のキールにだけは
本当のことを言わなければならないが。

問題はルイだな。
何と言って早退しようか。

ティスはおそらく
学園には来てないと思う。

神殿からの使者がどうとか
言ってたから、
その対応に追われているだろう。

逆に言うと、
王宮にいる神殿の使者と
おじいちゃん大神官は
別行動ってことだよな?

やっぱり神殿は
一枚岩ではないんだな。

俺はクリムに
学園を早退してクリムの家に
行きたいと言うと
クリムは驚いたようだが、
「内緒で行きたいんだ」というと
素直に頷いてくれた。

そして急いでクリムの侍従に
オルガノ家のタウンハウスと
連絡を取ってもらう。

キールは事情を説明したけれど
学園に残ってもらうことにした。

最悪、義兄から
神殿関係で
王宮に召集命令が
来るかもしれないからだ。

俺は学園は早退するけれど
授業が終わる時間までには
戻ってくるつもりでいる。

だからそれまで
何かあったらキールに
誤魔化してもらうことにした。

……キールはめちゃくちゃ
嫌がってたけど、
お願い!っと拝み倒して
なんとか頷いてもらった。

キールは
「ジェルロイド様を
ごまかすなどできません」
なんて言うが、
義兄をごまかす必要はない。

俺が戻ってくるまで
時間かせぎをするだけだ。

俺が休み時間に
廊下で小声でキールを
説得していたら急にルイが
割り込んで来た。

「なに?
やっかいごと?」

何故か嬉しそうに言うルイに
俺は仕方なしに
事情を説明する。

「とにかく一度、
教会も公爵家も関係なく、
あの大神官と話がしたいんだ」

だからルイも連れて行かないぞ。

俺がそう言うと
ルイは「しょうがないな」と言う。

「じゃぁ、俺も手助けしてやるよ。
王宮からなんか言ってきたら
誤魔化してやろう」

「ほんとか! 助かる」

「その代わり、
どんな話をしたか、
今日もゲストハウスに
泊まりに来て話をしろよ」

泊まりに来て、か。

ルイも昨日は楽しかったんだな。

「わかった」

「アキルティア様!」

キールが慌てた様子で声を挙げる。

「キール?」

「その、お泊り……は、
ジェルロイド様の許可がないと……」

自分の家の離れだぞ?
俺、どこまで過保護なんだよ。

「そう。じゃあ、兄様には
僕から言うよ。
ルイ、兄様から許可貰ってからね」

俺がルイに返事をすると
ルイはまた口元が
にやけている。

何がおかしいんだ?
今、笑うところだったか?

俺がルイの様子に
何かいってやろうと思った時、
クリムが俺の所に来た。

クリムの家に遣わした侍従が
戻って来たらしい。

「我が家はいつでも
大丈夫です、アキ様」

そういうので
俺はすぐに学園を出ることにする。

早く行って、早く戻ってくるのだ。

早退届はキールにお願いをして
俺とクリムは、オルガノ家の
馬車を使ってクリムの家の
タウンハウスに向かう。

ルイには「くれぐれも頼む」と
何度も念を押しておいた。

ルイは何故かしら
余計なところで茶化したり、
冗談を言ってその場を
ヤヤコシイ状態にする癖がある。

俺と二人の時は
それでも構わないが
正直、義兄が関わる時は
そういうのは遠慮して欲しい。

ルイの冗談に義兄が
振り回されるのは可哀そうだし、
ティスが振り回されるのは
もっと不憫だ。

クリムの馬車は公爵家の馬車と
見劣りしないぐらいに
広くて快適だった。

クリム曰く、
オルガノ家の人たちが
身体が大きな人が多いので
馬車だけでなく、家の家具等も
通常よりも大きめのものを
注文して作ってもらうそうだ。

凄いな。

俺、結構チビだし
椅子に座るために
よじ登るようなことになったら
どうしよう。

俺はカミサマとの茶会で
必死になって
短い足を上にあげて
椅子によじ登っているクマを思い出した。

俺、あんなことになるかも?

それはめちゃくちゃ恥ずかしい。

やばいな。

馬車の中で俺は嫌な想像をして
冷たい汗をかいてしまった。

馬車が止まり、扉が開く。

一度は来たことがあるクリムのタウンハウスだ。

って。
ん?

俺、一度お茶会に呼ばれて
この家のサロンに
来たことあるよな?

なーんだ。
俺が椅子をよじ登るなんて
あるわけないじゃん。

あの時は気が付かなかったけど、
俺が座った椅子は、
普通の椅子より大きめだったんだな。

俺、もともと小柄だから
普通の椅子でも結構大きく
感じる椅子もあるしな。

前回は何も思わず、
違和感なく座ってたぜ。

なーんて思って。
俺は意気揚々とオルガノ家の
タウンハウスに入ったのだが。

何といえばいいのか……。

巨大な障害物(?)の多さに
俺は圧倒されて
玄関で立ち尽くしてしまった。






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