無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ホワイト領VSブラック領 ポーション納品対決

「テイカーよ。圧勝できるならポーションの納品対決はハンデとしてホワイト領のポイントを2倍で計算するがどうか？」

「ハンデ無しでお願いします。」

　王はため息をつく
「それは、ハンデ無しでなければ負けるという事か？ホワイト領の力を認め、自身の領の力の無さを認めるという事で良いな！」

「いえ！そのようなことはありません！」

「ではハンデ無しの理由を聞きたい。」

「ポイントを2倍にすることで計算がややこしくなります。そのような手間を取り除きたいと考えました。」

「前も言ったはずだ！そのような気遣いは無用とな！」
　王はため息をつく。

「まあ良い。ハンデ無しにするが、ホワイト領は負けても気にしなくて良い。が、ブラック領がまた負ければ2連敗となる。評価が下がるぞ。」

「必ず勝利を納めます。」
　テイカーはふらふらと謁見の間を後にする。



　◇



　リコはすぐに帰還し、ポーション対決の詳細を伝える。

「ギルドへのポーションの納品対決です。前回と同じで買取金額の合計で勝負します。」

　エステルが立ち上がる。
「私が採取するよ？」

「エステル、皆さんにも伝えておきます。勝負を受けてはいますが、皆さんの成長も大事です。長い目で見た皆さんの成長を1番に望みます。」

「エステル、キュキュクラブはダンジョンの上の階で魔物狩りをするぞ。俺達の成長と、魔物の肉も大事だろ。」

　こうして今回の対決、ホワイト領は力を抜いて対決を始めた。






　ダンジョン15階

　アサルトボアの群れがダンジョン合宿者に迫る。

「ひいい！」

「挑発！」
　ロックが魔物のターゲットを集める。

「今の内に倒せ！」

　無事魔物を討伐すると、皆がロックにお礼を言う。

「ロック様、助かりました！」

「おかげで安全にレベルアップ出来るだよ。」

「いや、皆が無事で良かった。もう少し強くなれば、ダンジョン２０階を目指せる。あと一頑張りだ。いくぞ！」

「「はい！」」

　ロック家は優秀だ。
　街の周りを巡回することで、魔物からの脅威は減り、ダンジョンの護衛としても力を発揮する。
　ロック家の傘下加入により、けが人の数は減少した。
　ロック家は重戦士が多く、魔物を引き付ける『挑発』や、一定時間防御力を上昇させる『ガードスタンス』などの、盾としての能力が高く、このことで、ポーションの使用率も減った。
　そのことでポーションの納品能力が上がったのだ。




　ダンジョン5階

「えい！えい！」
　ウィッチ家がレベルアップの為短剣を振り回す。

　すでにポーションを作れる者もレベルアップを行う。

　ウィッチ家のステータスをアップしたいという方針をリコは飲んだ。

　たまにポーションを作りはするが、レベルアップを優先し、ダンジョンの合宿を行う。

　短期的にポーションの生産量は落ちたが、魔力がアップしたことで、長期的なポーション作成の能力は上昇しつつある。

　リコはウィッチ家の方針に満足していた。

　自身を成長させ、のちに大きな結果を生む。
　ウィッチ家の動きは他の生産従事者に刺激を与え、ホワイト領の人を成長させつつあった。

「ウィッチ家がレベル上げしてるぞ。」

「何でもレベルを上げてポーションの生産量を増やす作戦らしい。」

「俺、ベーコン工房で働いてるんだけど、レベルアップしてる先輩の給料が高いんだよな。やっぱ体力って大事だと思うんだ。」

「俺、ダンジョン合宿に参加してみようかな。」





　ポーション納品対決は、序盤ホワイト家が劣勢に立たされるものの、ブラック家の失速とホワイト家の粘り強さでホワイト家が勝利する。





　謁見の間

「僅差ではあったが、ホワイト家の勝利だな。テイカー。２連敗だな。」

「僅差にございます。」

「だが負けだ！」

　テイカーはリコを睨みつける。

「テイカー！リコのせいにするな！自身と向き合え！何度も言う。ルールを守り、人を助け、領地を発展させよ！」

「次は勝ちます！」

「そうではない！ルールを守り、人を助け、領地を発展させよ。テイカーよ。負けたことに怒っているのではない。今までルールを破り、人を踏みつけ、領地を衰退させ自身の利益のみに執着したことを言っているのだ！」

「今回はたまたまです！次こそは勝利します！」

　王はため息をつく。
「もうよい、次の対決もその次も同じポーションの納品だ。」





　こうして、ブラック領のポーション納品はどんどん失速し、ホワイト領のポーション納品は徐々に納品数を伸ばし、2回目と3回目のポーション対決もホワイト領が勝利を納めた。




　謁見の間

　テイカーは疲れ果て、元気が無い。

「今回もホワイト領の勝利、４連勝だな。」

　テイカーは濁った眼でリコを睨みつける。

「テイカー、人のせいにするのをやめろと言っている。」

「話は変わるが、暗黒時代に突入した。」
　暗黒時代とは、魔物の発生率が急増する期間の事である。


　数年前に国力を削いだ暗黒時代の幕開けであった。