無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ぐうのすけ

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ホワイト領のブースト成長

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 俺達はすぐにホワイト領を目指すが、キュキュクラブはリコに呼び出される。

 いや、正確にはリコから俺へのお説教だ。

「王都の謁見ははらはらしましたわ。」

「だが、悪い提案ではなかった。カイはブラック領に詳しくて人望もあるだろ?」

「そういう問題ではなく、王への態度が良くありませんわ。」

「普通にしゃべっていいって言われてるぞ。」

「はあ、もういいですわ。」

 俺はケーキとコーヒーを取り出す。
 きゅうにはクッキーだ。

 リコは黙って食べだす。ケーキさえ出しとけばおとなしくなる。楽だな。
 この隙にキュキュクラブで話を進める。

「色々進めるために金が無いと思う。これからキュキュクラブはダンジョンで魔物狩りをしたいと思う。希望はあるか?」

「レベル上げをしたいよ。」

「私もエステルと同じでレベル上げをしたいです。」

「きゅう魔法、いっぱい使う。」

 ステータスとスキルのレベル上げか。

「俺はホワイト領ダンジョンの40階を目指したい。上の魔物は大きくて金になる。食料不足も解決できる。」

 みんな頷く。

 リコがケーキを食べ終わり、コーヒーを飲み始める。

「ハルト、ご機嫌ですわね。」

「ああ、今テイカーに邪魔されず、ホワイト領の発展と俺達のレベルアップが出来る!今ブーストタイムだぞ!」

「そ、そうですのね。」

「それと、俺が作ったカレーなんだけど、1皿1万ゴールドで売りたい。ホワイト領で売れなければ、王都の騎士にも売れるだろ。クッキーも一袋1万ゴールドな。」

「良いと思いますわ。普通のカレーは1皿1000ゴールドですが、ハルトのカレーは回復ブーストがかかり、生命力、魔力、スタミナすべての回復力を上げますものね。1万ゴールドの価値はありますわ。」

「今テイカーがやらかした影響でポーションの値段も高くなっているだろ?タイミングもちょうどいいと思うぞ。」

「生命力を回復するポーションが普段は10万ゴールドですが、今は15万に高騰しているようですわね。高給取りで武具の支給もされる騎士なら、喜んで買うでしょう。」




 ◇




 キュキュクラブはハルト以外のレベルアップを優先しつつダンジョンを進む。

「20階から40階まで早めに行くぞ!みんなのレベル上げはその後だ!」

 俺は出てくる魔物を瞬殺しつつ40階に向かう。

「あっという間に40階に着いたよ。」

「一旦魔物の素材を売りに行くが、皆今日は休んでくれ。」

「サウナに行こうよ!」

「きゅうも行く。」

「きゅう、私が洗ってあげますよ。」

 俺は魔物の納品を済ませ、サウナに入る。

「余裕すぎるな。」

 40階到達後は、俺は39階でカレーを作り、他のみんなはレベル上げを進めた。

 ハルトは、カレーを作るよりダンジョンで魔物を狩りまくった方が多くの資金を稼ぐことが出来る。
 だが、今回は長期的な視点で考え、キュキュクラブ全体のレベルアップと騎士の回復ブーストによる騎士団の立て直しを優先し、カレー作りを行った。

 ゲンさんをはじめとする腕の良い大工や木こりもカレーを食べた。
 カレーの売値を高くすることで、スキルを上げて給料を増やしハルトカレーを食べることが、良い意味で新人の目標となった。





 リコはカイへの引継ぎを行う。

「・・・というわけですの。時期が来ればカイはブラック領の貴族として統治する仕事が待っていますわ。」

「分かりました。私もどちらかと言えば、サポートの方が得意なのですが、仕方ありません。私がいる内にホワイト領の内政を終わらせます!」
 カイの眼が輝く。

「お願いしますわ。ホワイト領が力をつければ、王都とカイの領地を助けることが出来ますの。」

 リコとカイはポーション増産、ホワイト学園の増設、無職者の就職支援と様々な対策を進めた。
 キュキュクラブの資金を得たホワイト領はスケジュールを前倒しで問題を解決していった。




 王都、ホワイト騎士団宿舎前

 ブラック騎士団の一人が異変に気付く。

「くんくん!これは!ハルトカレーの匂い!」
 すぐさま宿舎の敷地の窓から偵察する。

 間違いない!ハルト殿のカレーだ!
 思わず窓の外から叫ぶ
「ホワイト騎士団だけハルトカレーを食べている!ずるいではないか!」

「ずるくない!これは高い金を出して買ったものだ!」

「そうだぞ!15000ゴールドするんだ!」

「15000ゴールドか、なるほど。」
 そういってブラック騎士の宿舎へと走り出す。






 ブラック騎士団宿舎

 ブラック騎士団大隊長である私は、さっきまで書類仕事に追われていた。

 やっと魔物狩りと新たな人員の受け入れも落ち着いた。

 少しコーヒーブレイクにしよう。

 わずかな時間でもこのコーヒータイムの優雅な時間を楽しむ。
 この時間こそが私の心を潤す。

 新人はがむしゃらに頑張るものが多い。もちろんそれは若さという力。
 良い面もある。
 だが、私のように1流ともなると、わずかな休息すら無駄にはしない。

 この優雅な時間こそが次の活力を生むのだ。

 こんこんこんこんこんこんこんこん
「大隊長!至急連絡したいことがあります。」

 まったく、せわしない。

 私を見習って落ち着いて欲しいものだ

 一口コーヒーを啜る。
「入りたまえ。」

 ガチャン!と勢いよく扉が明けられると同時に騎士が話し出す。
「ホワイト騎士団が!ハルトカレーを高値で取り寄せているようです!」

「何だと!」
 大隊長は椅子から勢いよく立ち上がり、机のコーヒーカップが地面に落ちる。
 ガシャンという音とともにコーヒーカップが割れる。
 大隊長の顔に優雅さは無く、怒りがにじむ。

「値段は分かるか!」

「1皿15000ゴールドとのことです!」
 隊長はすぐさま自身の金が入った袋を机にドンと置く。

「この金を使って、ホワイト領から1皿2万ゴールドで買い占めてこい!至急だ!一刻の猶予もないぞ!」

「は!直ちに補給小隊を向かわせます!」

 まったく、ホワイト騎士団め!前も良く分からない理由でハルトカレーの独占を企んだ!
 カレーを楽しみつつ、カレーの回復ブーストで多くの魔物を倒し給金の手当てを増やしていく非情な行いをしていた。
 今回も言語道断!
 我ら協力すべき4騎士団の足並みを乱す行為だ!





 この後ブラック騎士団大隊長は同じ理由で他の大隊長から怒られたのだった。

「ハルトカレーを買い占めるとはブラック騎士団の大隊長として恥ずかしくないのか!」
「我らの4騎士団の結束を乱す行為であろう!」
「ハルトカレーを楽しみ、カレーブーストで魔物を多く倒し、給金の手当てまでもらうとは!ずるいのではないか!」

 全てブーメランの為、ブラック騎士団の大隊長は何も言えなかった。


 こうして、騎士団間と団員同士の熾烈なハルトカレー争奪戦が始まり、カレーは1皿3万ゴールドに高騰した。クッキーも同じく高騰する。

 だが、騎士の魔物討伐ペースは早まり、ホワイト領の内政は進み、ホワイト領の経営良化は目前に迫っていた。
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