無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ぐうのすけ

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新たな傘下貴族

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 ダークスフィアの鎮圧は無事終わる。

 ホワイト学園の2年となり、本来は入学式の予定だったが、俺は王都に来ている。
 エステルとメイは入学式に参加できている。


 謁見の間でホワイト領の傘下貴族であるアリス・ウィッチとロック・ガードが星を授与され、2つ星貴族となったが、俺が呼ばれた理由が分からない。

 アリスはポーション増産と高い教育能力が評価された。
 ロックはダークスフィアをほとんど犠牲を出さずに複数個消滅させ、さらに兵の質を上げたことが評価された。
 が、俺が呼ばれた理由がまだ分からない。

 王は俺の表情を察知する。
「ハルトどうした?」

「俺が呼ばれた理由が分からない。なぜ呼ばれたんだ?」

「うむ、ホワイト領の更なる傘下貴族受け入れをリコに命じたいが、相性もある。そこでリコと一緒に傘下貴族に会ってきて欲しいのだ。」

「護衛か?」

「それもあるが、リコと一緒に傘下貴族を見極めて欲しいのだ。更に、ハルトが同行することで妙案が出る可能性を期待している。」

「リコと俺で傘下にするか決めて良いのか?」

「任せる。更にどのような傘下受け入れをするかも任せる。」

「ハルト、向かいながら話をするのですわ。」

「うん、良く分からないが、分かった。話を聞こう。」

 こうして傘下貴族予定の領地へと向かう。





「で?馬車に乗ってるけどどこに向かうんだ?」

「南の獣人族の所ですわ。」
 南の獣人族。
 キャット家・ドック家・ラビット家・ベアー家の4家が同じ領地に住んでるんだったな。
 ベアー家だけが2つ星貴族で、他は1つ星だったはず。

 狩猟採取民族で、南の広い地域を移動しながら暮らしている。

「その内の何家を傘下にする予定なんだ?」

「4家全部ですわ。と言っても、数は合わせて6000人です。」

「多くは無いな。力をつけた今なら何とか受け入れできる気がする。」




 ◇




 こうして、のんびり南へと向かう。

 まずはベアー家当主の所に向かった。
 ベアー家当主、体が大きく熊のような大男。
 人の耳とは別に頭の上にはくま耳が生えている。

「わたくしはリコ・ホワイトですわ。傘下貴族の件で伺いましたの。」

「ああ!要らね。」

 俺とリコは顔を見合わせる。

「それは、ホワイト家の傘下貴族になりたくないってことで良いのか?」

「そう言ってるだろ!」

「・・・よし!次に行こう!」

「そ、そうですわね。それでは失礼しますわ。」
 俺とリコはすぐ場を離れた。



「あいつテイカーっぽいぞ。あいつを傘下貴族にするのはやめた方が良いと思う。リコはどう思う?」

「私も同じ考えですわ。この調子では、先が思いやられますわ。」



 次はドッグ家の元へと向かう。
 若い男が出てくるが、エステルと同じで、桃色の髪と瞳だ。
 ただ、少しやつれている。

「遠路はるばるお疲れ様です。私、ワン・ドッグと申します。」

「わたくしはホワイト家当主代理、リコ・ホワイトですわ。」

「俺はハルトだ。」

「傘下貴族の件ですね?」

「その通りですわ。ベアー家にはお断りされましたが、お心をお聞かせくださいませんか?」

「私としては、傘下に入りたいのですが、今ベアー家の傘下でして、おそらくこの地に居る限り、ベアー家に献上金を払い続けることになるかと思います。もしよろしければ、キャット家とラビット家の者も呼び、一緒に話を進めたいのですが、よろしいでしょうか?」

「かまいませんわ。」




 こうして、ドッグ家・ラビット家・キャット家すべてが呼ばれた。

「キャット家のニャム・キャットだにゃあ。よろしくたのむにゃあ。」
 ビキニのような服の上から、網目状の黒いタイツのような装備を上下に着けている。
 恐らく鎖帷子のようなものだと思うが、ぴっちりと肌に食い込んでいる。
 後ろには円盾を背負い、裏にダガーがセットされている。
 銀色の目と髪で、ショートカットとクリっと大きめの目が活発な印象を受ける。
 美人だが、痩せすぎている。
 頭の上の猫耳と後ろから尻尾が生える。

「ウサミン・ラビットだぴょん。よろしくだぴょん。」
 こちらも美人だが、痩せている。

「みんな食事を十分食べているのか?」
 皆俯いた。

「食事を出すぞ。」

「私より、他の皆に食べさせたいんだにゃあ。」

「皆って3家の領民全部で何人居るんだ?」

「約3000人ですわ。」

「俺が大食堂を出して料理を作る。後はそっちで話を進めて、みんなを大食堂に呼んでくれ。」
 俺は部屋を出て大食堂をストレージから取り出す。

 リコたちは大食堂に入り、話を続ける。

 俺は料理を作り続けた。

 リコの指示で給仕係や皿洗い係が決まり、皆食事を食べ始めるが、テーブルの方を見るとすごい食べっぷりだ。

 他の者も皆痩せている。

 一息つき、リコに話を聞く。

「どうなったんだ?」

「3家の受け入れをすることにしましたわ。ホワイト領に連れて行きますの。ベアー家は3家から献上金を吸い上げていて、皆に嫌われているようですわ。」

「テイカーだな。だからみんな連れて行くのか。」

「そうですわね。」

 その時、犬族の女性が声をかけてきた。年齢は20才ほどに見える。

「ハルト様、あなたの父の名前はカズト様ではありませんか?」

「そうだけど、どうして知ってるんだ。」

「ぎゃおおおおおおおお!」
 魔物の鳴き声が聞こえる!

 俺はすぐに走り出す。



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