65 / 93
65
しおりを挟む
色とりどりの花が咲き乱れる庭園で、これまた華やかに着飾ったご令嬢たちが、優雅に茶の入ったカップを傾けている。そしてコツっとカップを置きながら、
「クシュル領は今年も豊作だとお聞きしましたわ」
「ええ、おかげで本日の夜会にも素晴らしいワインを添えられそうですわ。そちらこそ、いつもご贔屓にしてくださり、父に代わって礼を言いますわ」
「そういえば、カルル様とミランダ嬢がご婚約されたようですわよ? 」
「確かお二人共まだ十二歳ではありませんでした? 」
「随分とお早いのね」
「どちらから持ちかけたのでしょう? 」
「確かカルル子爵は穏健中立派でしたわよね」
「婚約を通してカルル子爵を引き込むつもりですわね」
かなりレベルの高い話をしている。もっとキャッキャウフフとアクセサリーの話やらドレスの話やらしているのかと思ったら、商売の話とか貴族情勢の話とかいった、随分とリアルな話だった。
私はというと、四匹を連れて、ずっとスイーツコーナーでもぐもぐしている。
さすが王宮、ちゃんと高級スイーツの味だ。種類も豊富で、今は完全にスイーツバイキングの気分。しかも無料、茶会ってなんてお得!
「シエルさん、ずっと食べていいんですか? 」
「ん、はにあ? 」
「その、ご令嬢たちと親交を深めておかなくてもいいんですか? 」
なんだ、そんな事を気にしてたのか。もぐもぐごっくん。
「別にいいんじゃない? 私が今日参加してるってことさえ広めればいいわけだし」
「ですが・・・」
うーん・・・、心配してくれるのは嬉しいんだけどね・・・。
なおも心配するアルシュさんだが、私は手をあげてその話を遮った。
「アルシュさん、なにか勘違いしてない? 私は別に夜会のための仲良しごっこをしようとして、ここに来てるわけじゃない。私の存在を知らせるために来たんだよ」
さっきまで味があーだ食感がこーだ言ってた四匹も、静かに話を聞いてくれている。
「そもそもこの茶会は、夜会での顔ぶれを確認するために行われているんでしょ? だったら、私がここにいることでその目的は十分果たせてるよ」
「しかし謁見の場に令嬢たちはいらっしゃらなかったですし・・・」
「本当に接点を持ちたいと思っている人なら、親や知り合いから情報を入手しているはず。見た目の情報すらもないのなら、そもそも興味がないか、私の存在を軽んじてるかの二択だよ」
今はただのぼっち令嬢だと思われるのも、それはそれで面白い。本番は夜会なのだから。
まあ、本当に接点を持ちたいのなら、どうにかして目に留まろうとしてくるだろうし。
ドンッ!
「も、申し訳ありません! 」
ほらね?
「クシュル領は今年も豊作だとお聞きしましたわ」
「ええ、おかげで本日の夜会にも素晴らしいワインを添えられそうですわ。そちらこそ、いつもご贔屓にしてくださり、父に代わって礼を言いますわ」
「そういえば、カルル様とミランダ嬢がご婚約されたようですわよ? 」
「確かお二人共まだ十二歳ではありませんでした? 」
「随分とお早いのね」
「どちらから持ちかけたのでしょう? 」
「確かカルル子爵は穏健中立派でしたわよね」
「婚約を通してカルル子爵を引き込むつもりですわね」
かなりレベルの高い話をしている。もっとキャッキャウフフとアクセサリーの話やらドレスの話やらしているのかと思ったら、商売の話とか貴族情勢の話とかいった、随分とリアルな話だった。
私はというと、四匹を連れて、ずっとスイーツコーナーでもぐもぐしている。
さすが王宮、ちゃんと高級スイーツの味だ。種類も豊富で、今は完全にスイーツバイキングの気分。しかも無料、茶会ってなんてお得!
「シエルさん、ずっと食べていいんですか? 」
「ん、はにあ? 」
「その、ご令嬢たちと親交を深めておかなくてもいいんですか? 」
なんだ、そんな事を気にしてたのか。もぐもぐごっくん。
「別にいいんじゃない? 私が今日参加してるってことさえ広めればいいわけだし」
「ですが・・・」
うーん・・・、心配してくれるのは嬉しいんだけどね・・・。
なおも心配するアルシュさんだが、私は手をあげてその話を遮った。
「アルシュさん、なにか勘違いしてない? 私は別に夜会のための仲良しごっこをしようとして、ここに来てるわけじゃない。私の存在を知らせるために来たんだよ」
さっきまで味があーだ食感がこーだ言ってた四匹も、静かに話を聞いてくれている。
「そもそもこの茶会は、夜会での顔ぶれを確認するために行われているんでしょ? だったら、私がここにいることでその目的は十分果たせてるよ」
「しかし謁見の場に令嬢たちはいらっしゃらなかったですし・・・」
「本当に接点を持ちたいと思っている人なら、親や知り合いから情報を入手しているはず。見た目の情報すらもないのなら、そもそも興味がないか、私の存在を軽んじてるかの二択だよ」
今はただのぼっち令嬢だと思われるのも、それはそれで面白い。本番は夜会なのだから。
まあ、本当に接点を持ちたいのなら、どうにかして目に留まろうとしてくるだろうし。
ドンッ!
「も、申し訳ありません! 」
ほらね?
334
あなたにおすすめの小説
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について
水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】
千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。
月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。
気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。
代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。
けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい……
最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。
※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】
ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。
女神はミナの体を創造して問う。
「要望はありますか?」
ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。
迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
この優しさには絶対に裏がある!~激甘待遇に転生幼女は混乱中~
たちばな立花
ファンタジー
処刑された魔女が目を覚ますと、敵国の王女レティシアに逆行転生していた。
しかも自分は――愛され王女!?
前世とは違う扱いに戸惑うレティシア。
「この人たちが私に優しくするのは絶対に何か裏があるはず!」
いつも優しい両親や兄。
戸惑いながらも、心は少しずつ溶けていく。
これは罠? それとも本物の“家族の愛”?
愛を知らないレティシアは、家族の無償の愛に翻弄されながらも成長していく。
疑り深い転生幼女が、初めて“幸せ”と出会う――
じんわり心あたたまる、愛されファンタジー。
他サイトでも掲載しています。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる